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【EU】不公正商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)の改正成立。カーボンオフセットでの製品環境訴求禁止

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は2月20日、不公正商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)の改正を可決した。すでに欧州議会でも可決されており、双方の改正EU指令が成立した。EU官報掲載の20日後に発効する。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、不公正商行為指令と消費者権利指令の改正案で政治的合意(2023年10月3日)

 今回の改正は、企業が環境性能を不当に訴求する「グリーンウォッシュ」を禁止するもの。「environmentally friendly」「eco-friendly」「green」「ecological」「environmentally correct」「climate friendly」「gentle on the environment」「carbon friendly」「energy efficient」「biodegradable」「biobased」等を表示する場合は、優れた環境性能を実証し、具体的な内容を同じ広告スポット、製品の容器・包装、オンライン販売のページ等に記載することを義務付ける。

 また、製品の特定の側面や販売者の事業の特定の例外的な活動のみに関係するにもかかわらず、製品全体または販売者の事業全体について環境に関する訴求を行うことも禁止される。具体的には、ある商品が「リサイクル材を使用」と表示され、実際にはパッケージ材のみがリサイクル材でできているにもかかわらず、その商品全体がリサイクル材でできているかのような印象を与える場合、また、ある事業者が再生可能なエネルギーのみを使用しているかのような印象を与えるにもかかわらず、実際にはその事業者のいくつかの事業施設では依然として化石燃料が使用されている場合等が禁止事項に該当する。

 製品、商品、サービスでの環境訴求に関し、カーボンオフセットを活用して、「climate neutral(気候ニュートラル)」「CO2 neutral certified(CO2ニュートラル認証済み)」「carbon positive(カーボンポジティブ)」「climate net zero(気候ネットゼロ)」「climate compensated(気候相殺済み)」「reduced climate impact(気候インパクト低減済み)」「limited CO2 footprint(CO2フットプリント低減済み)」等の表現することも禁止となる。バリューチェン内での「インセット」としてカーボンクレジットを利用することは認められる。また、企業が誤解を招かない方法で、かつEU法に定められた要件に準拠した情報を提供する場合には、カーボンクレジットを含む環境プロジェクトに投資していると宣伝することは合法となる。これにより、日本で浸透しているカーボンオフセットを用いた「カーボンニュートラルガス」のような表現はEU域内では禁止となる。

【参考】【国際】Verra、クレジットの除去理由に「企業排出インベントリー会計」追加。インセット可能に(2023年10月17日)

 サステナビリティ関連ラベルでは、認証スキームに基づいていない、あるいは公的機関によって確立されていないラベルの表示は、禁止となる。そのため販売者は、サステナビリティ関連ラベルを表示する前に、一般に入手可能な認証スキームの条件に基づき、スキームの要求事項の遵守に関する客観的なモニタリングの存在を含め、透明性と信頼性の最低条件を満たしていることを確認すべきとした。具体的には「ISO17065:適合性 評価-製品、プロセス及びサービスを認証する機関に対する要求事項」のような国際規格への準拠が証明されている場合や、欧州議会及びEU理事会規則No 765/2008に規定されたメカニズムを通じ、第三者検証機関が準拠を保証している場合には、同ルールに適合していると認められる。

 一方、環境ラベルに関しては、社会観点等が含まれていない可能性があるため、環境ラベルだけをもって、「conscious」「sustainable」「responsible」と訴求することは禁止される。グリーンボンドやサステナビリティボンド等のESG債に関するラベルについては、主に機関投資家向けに販売されている慣行から、同指令の対象とはならないことを明確にした。欧州委員会は、より細かいルールについて今後定めていく。

 今回の改正では、耐久性やソフトウェア・アップデートでの訴求に関する規定も盛り込まれている。まず、ある一定期間後または所定の使用強度後に早期に陳腐化または機能しなくなる「早期陳腐化」も規制対象に指定。耐久性を制限するような製品を販売することも禁止される。また、ソフトウェアのアップデートによりハードウェアのパフォーマンスや充電寿命が低下するような場合には、事前にユーザーに通知することも義務化される。

 修理が不可能なのに、修理が可能であるかのように表示することも禁止。製品の消耗品を本来必要な時期よりも早く交換または補充するよう消費者を誘導することも禁止となる。純正の消耗品、スペアパーツ、付属品を使用した場合に商品の機能を制限する場合には、事前にその事実を開示しなければならない。

【参照ページ】Consumer rights: final approval for the directive to empower consumers for the green transition

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 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は2月20日、不公正商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)の改正を可決した。すでに欧州議会でも可決されており、双方の改正EU指令が成立した。EU官報掲載の20日後に発効する。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、不公正商行為指令と消費者権利指令の改正案で政治的合意(2023年10月3日)

 今回の改正は、

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【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、不公正商行為指令と消費者権利指令の改正案で政治的合意(2023年10月3日)

 今回の改正は、

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 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は2月20日、不公正商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)の改正を可決した。すでに欧州議会でも可決されており、双方の改正EU指令が成立した。EU官報掲載の20日後に発効する。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、不公正商行為指令と消費者権利指令の改正案で政治的合意(2023年10月3日)

 今回の改正は、企業が環境性能を不当に訴求する「グリーンウォッシュ」を禁止するもの。「environmentally friendly」「eco-friendly」「green」「ecological」「environmentally correct」「climate friendly」「gentle on the environment」「carbon friendly」「energy efficient」「biodegradable」「biobased」等を表示する場合は、優れた環境性能を実証し、具体的な内容を同じ広告スポット、製品の容器・包装、オンライン販売のページ等に記載することを義務付ける。

 また、製品の特定の側面や販売者の事業の特定の例外的な活動のみに関係するにもかかわらず、製品全体または販売者の事業全体について環境に関する訴求を行うことも禁止される。具体的には、ある商品が「リサイクル材を使用」と表示され、実際にはパッケージ材のみがリサイクル材でできているにもかかわらず、その商品全体がリサイクル材でできているかのような印象を与える場合、また、ある事業者が再生可能なエネルギーのみを使用しているかのような印象を与えるにもかかわらず、実際にはその事業者のいくつかの事業施設では依然として化石燃料が使用されている場合等が禁止事項に該当する。

 製品、商品、サービスでの環境訴求に関し、カーボンオフセットを活用して、「climate neutral(気候ニュートラル)」「CO2 neutral certified(CO2ニュートラル認証済み)」「carbon positive(カーボンポジティブ)」「climate net zero(気候ネットゼロ)」「climate compensated(気候相殺済み)」「reduced climate impact(気候インパクト低減済み)」「limited CO2 footprint(CO2フットプリント低減済み)」等の表現することも禁止となる。バリューチェン内での「インセット」としてカーボンクレジットを利用することは認められる。また、企業が誤解を招かない方法で、かつEU法に定められた要件に準拠した情報を提供する場合には、カーボンクレジットを含む環境プロジェクトに投資していると宣伝することは合法となる。これにより、日本で浸透しているカーボンオフセットを用いた「カーボンニュートラルガス」のような表現はEU域内では禁止となる。

【参考】【国際】Verra、クレジットの除去理由に「企業排出インベントリー会計」追加。インセット可能に(2023年10月17日)

 サステナビリティ関連ラベルでは、認証スキームに基づいていない、あるいは公的機関によって確立されていないラベルの表示は、禁止となる。そのため販売者は、サステナビリティ関連ラベルを表示する前に、一般に入手可能な認証スキームの条件に基づき、スキームの要求事項の遵守に関する客観的なモニタリングの存在を含め、透明性と信頼性の最低条件を満たしていることを確認すべきとした。具体的には「ISO17065:適合性 評価-製品、プロセス及びサービスを認証する機関に対する要求事項」のような国際規格への準拠が証明されている場合や、欧州議会及びEU理事会規則No 765/2008に規定されたメカニズムを通じ、第三者検証機関が準拠を保証している場合には、同ルールに適合していると認められる。

 一方、環境ラベルに関しては、社会観点等が含まれていない可能性があるため、環境ラベルだけをもって、「conscious」「sustainable」「responsible」と訴求することは禁止される。グリーンボンドやサステナビリティボンド等のESG債に関するラベルについては、主に機関投資家向けに販売されている慣行から、同指令の対象とはならないことを明確にした。欧州委員会は、より細かいルールについて今後定めていく。

 今回の改正では、耐久性やソフトウェア・アップデートでの訴求に関する規定も盛り込まれている。まず、ある一定期間後または所定の使用強度後に早期に陳腐化または機能しなくなる「早期陳腐化」も規制対象に指定。耐久性を制限するような製品を販売することも禁止される。また、ソフトウェアのアップデートによりハードウェアのパフォーマンスや充電寿命が低下するような場合には、事前にユーザーに通知することも義務化される。

 修理が不可能なのに、修理が可能であるかのように表示することも禁止。製品の消耗品を本来必要な時期よりも早く交換または補充するよう消費者を誘導することも禁止となる。純正の消耗品、スペアパーツ、付属品を使用した場合に商品の機能を制限する場合には、事前にその事実を開示しなければならない。

【参照ページ】Consumer rights: final approval for the directive to empower consumers for the green transition

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