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【アメリカ】EPA、火力発電所のCO2削減義務ルールで既存ガス火力を除外。既存石炭火力と新規ガス火力に絞る

 米環境保護庁(EPA)のマイケル・リーガン長官は2月29日、2023年に原案を発表していた火力発電所からの二酸化炭素排出量削減義務化ルールについて、当初予定していた既存ガス火力発電への規制は延期し、石炭火力発電への規制のみに絞る方向で整理していることを明らかにした。

 同ルール案は、大気浄化法に基づき、既存の石炭火力発電所、既存のガス火力発電所、新規のガス火力発電所の3つで排出量削減を義務化するというもの。既存の石炭火力発電所では、2030年までに90%減。既存のガス火力発電所では、稼働率が50%以上で設備容量300MW以上の発電所のみを対象とし、2035年までに(水素を使用する場合は2038年までに)90%減。新規のガス火力発電所では、稼働率の高いベースロード電源に対し、2035年(水素を使用する場合は2038年)までに排出量を90%減。稼働率の低い既存及び新規のガス火力発電所には、水素の部分混焼またはエネルギー効率に基づき、より緩やかな基準を提案していた。

 また同ルール案では、達成のための手法は限定せず、大気浄化法に基づき、各州政府が達成方法について計画を定めることとなっている。各州政府は、同ルールが確定してから2年以内に州実施計画を策定し、その後1年間以内にEPAが承認または不承認の審査を行う。新規発電所では、事前に承認要件が定められる。

 今回の発表は、同ルール案のパブリックコメントを受け、方向性を修正したというもの。規制対象を一旦、既存の石炭火力発電所と新規のガス火力発電所に絞り、既存のガス火力発電所については、別途検討する考えを披露した。一方、環境NGOからの意見を踏まえ、発電所に対する規制物質強化について、広範な大気汚染物質も含めて検討することも打ち出した。

 同ルールは、春頃にでも最終決定する見通し。今回の決定に対し、環境NGO側からは楽観と悲観の双方の意見が出ており、既存のガス火力発電所について規制強化が延期されることを批判する声がある一方、優先度の高い既存の石炭火力発電所と新規のガス火力発電所で規制が強化させることは大きな前進と受け止める向きもある。また、全米鉱業協会(NMA)からは、石炭産業の早期閉鎖を進めるルールとして反対の立場。

 既存のガス火力発電所のルール強化は延期された形だが、今年秋の大統領選挙までに決着がつく見込みはない。共和党側のトランプ前大統領は今回の規制強化全体に反対の立場。同ルールの施行についても、大統領選挙結果次第と言える。

 米エネルギー情報局(EIA)によると、米国での石炭火力発電割合は、2010年の45%から、2023年には16%強にまですでに減少している。一方、ガス火力発電が約43%に伸長している。

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 米環境保護庁(EPA)のマイケル・リーガン長官は2月29日、2023年に原案を発表していた火力発電所からの二酸化炭素排出量削減義務化ルールについて、当初予定していた既存ガス火力発電への規制は延期し、石炭火力発電への規制のみに絞る方向で整理していることを明らかにした。

 同ルール案は、

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 米環境保護庁(EPA)のマイケル・リーガン長官は2月29日、2023年に原案を発表していた火力発電所からの二酸化炭素排出量削減義務化ルールについて、当初予定していた既存ガス火力発電への規制は延期し、石炭火力発電への規制のみに絞る方向で整理していることを明らかにした。

 同ルール案は、

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 米環境保護庁(EPA)のマイケル・リーガン長官は2月29日、2023年に原案を発表していた火力発電所からの二酸化炭素排出量削減義務化ルールについて、当初予定していた既存ガス火力発電への規制は延期し、石炭火力発電への規制のみに絞る方向で整理していることを明らかにした。

 同ルール案は、大気浄化法に基づき、既存の石炭火力発電所、既存のガス火力発電所、新規のガス火力発電所の3つで排出量削減を義務化するというもの。既存の石炭火力発電所では、2030年までに90%減。既存のガス火力発電所では、稼働率が50%以上で設備容量300MW以上の発電所のみを対象とし、2035年までに(水素を使用する場合は2038年までに)90%減。新規のガス火力発電所では、稼働率の高いベースロード電源に対し、2035年(水素を使用する場合は2038年)までに排出量を90%減。稼働率の低い既存及び新規のガス火力発電所には、水素の部分混焼またはエネルギー効率に基づき、より緩やかな基準を提案していた。

 また同ルール案では、達成のための手法は限定せず、大気浄化法に基づき、各州政府が達成方法について計画を定めることとなっている。各州政府は、同ルールが確定してから2年以内に州実施計画を策定し、その後1年間以内にEPAが承認または不承認の審査を行う。新規発電所では、事前に承認要件が定められる。

 今回の発表は、同ルール案のパブリックコメントを受け、方向性を修正したというもの。規制対象を一旦、既存の石炭火力発電所と新規のガス火力発電所に絞り、既存のガス火力発電所については、別途検討する考えを披露した。一方、環境NGOからの意見を踏まえ、発電所に対する規制物質強化について、広範な大気汚染物質も含めて検討することも打ち出した。

 同ルールは、春頃にでも最終決定する見通し。今回の決定に対し、環境NGO側からは楽観と悲観の双方の意見が出ており、既存のガス火力発電所について規制強化が延期されることを批判する声がある一方、優先度の高い既存の石炭火力発電所と新規のガス火力発電所で規制が強化させることは大きな前進と受け止める向きもある。また、全米鉱業協会(NMA)からは、石炭産業の早期閉鎖を進めるルールとして反対の立場。

 既存のガス火力発電所のルール強化は延期された形だが、今年秋の大統領選挙までに決着がつく見込みはない。共和党側のトランプ前大統領は今回の規制強化全体に反対の立場。同ルールの施行についても、大統領選挙結果次第と言える。

 米エネルギー情報局(EIA)によると、米国での石炭火力発電割合は、2010年の45%から、2023年には16%強にまですでに減少している。一方、ガス火力発電が約43%に伸長している。

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