Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】ILO、強制労働による違法企業利益で報告書。民間セクターで年間35兆円

 国際労働機関(ILO)は3月19日、強制労働による違法な企業利益を分析した報告書を発表した。年間2,360億米ドル(約35兆円)と推計した。

 同報告書は、強制労働による経済効果を分析したもの。強制労働に従事する人口は2021年時点で2,760万人であり、世界の人口1,000人当たり3.5人の割合。2016年から2021年の間に270万人増加した。


(出所)ILO

 地域別では、アジア・太平洋地域が世界全体の半分以上の1,510万人、ヨーロッパ・中央アジアが410万人、アフリカが380万人、北米・南米が360万人、アラブ諸国が900万人。人口に占める割合でみると、最も多いのはアラブ諸国であり人口1,000人当たり5.3人、ヨーロッパ・中央アジアが4.4人、アジア・太平洋と北米・南米が3.5人、アフリカが2.9人だった。


(出所)ILO

 強制労働の86%は民間セクターであり、民間セクターの強制労働による違法な利益は年間2,360億米ドル(約35兆円)と推計した。2014年以降、640億米ドル(約9.4兆円)増え、37%増加していると発表した。被害者一人当たりの利益額は約1万米ドル。


(出所)ILO

 地域別の違法な年間利益額は、ヨーロッパ・中央アジアが840億米ドル(約13兆円)と最も高く、アジア・太平洋地域が620億米ドル(約9.3兆円)、北米・南米が520億米ドル(約7.8兆円)、アフリカが200億米ドル(約3.2兆円)、アラブ諸国が180億米ドル(約2.7兆円)。被害者一人当たりの金額が最も高い地域は、ヨーロッパ・中央アジアであり、アラブ諸国、北米・南米、アフリカ、アジア・太平洋地域が続く。


(出所)ILO

 民間セクターの強制労働による違法な利益全体の中で、性的搾取が最も大きな割合を占める。性的搾取の労働者数は強制労働者数全体の27%しかないが、違法性利益の73%を占めており、1,730億米ドル(約26兆円)。被害者一人当たりの利益では、性的搾取が約2.7万米ドル(約400万円)、強制労働が3,687米ドル(約56万円)。


(出所)ILO

 強制的な性的搾取の被害者一人当たりの利益が高いのは、被害者に還元される利益が極めて限定的であるためとした。被害者は全く報酬を受け取らないか、ごく一部の報酬を受け取るケースがほとんど。被害者に支払われない理由は、人身売買業者への引き渡し時に発生した借金の返済のためであり、家賃等の衣食住に関する費用や法外な金利が差し引かれる。同時に性的搾取がほとんどの国では違法行為であるため、被害者が司法に頼る手段がほとんどないことも被害が大きくなる原因だと報告した。

 同報告書では、根本原因への対処と被害者の保護を最優先とする包括的なアプローチが重要であることを強調。その中の1つの手段として、強制労働による違法な利益の拡大を止め、加害者に責任を追求するための法的措置への投資が必要であるとした。具体的には、法的枠組みの強化、執行官に対するトレーニングの提供、リスクの高いセクターへの労働検査の拡大、労働法と刑法執行の連携等を提言した。

【参照ページ】Annual profits from forced labour amount to US$ 236 billion, ILO report finds

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 国際労働機関(ILO)は3月19日、強制労働による違法な企業利益を分析した報告書を発表した。年間2,360億米ドル(約35兆円)と推計した。

 同報告書は、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 国際労働機関(ILO)は3月19日、強制労働による違法な企業利益を分析した報告書を発表した。年間2,360億米ドル(約35兆円)と推計した。

 同報告書は、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 国際労働機関(ILO)は3月19日、強制労働による違法な企業利益を分析した報告書を発表した。年間2,360億米ドル(約35兆円)と推計した。

 同報告書は、強制労働による経済効果を分析したもの。強制労働に従事する人口は2021年時点で2,760万人であり、世界の人口1,000人当たり3.5人の割合。2016年から2021年の間に270万人増加した。


(出所)ILO

 地域別では、アジア・太平洋地域が世界全体の半分以上の1,510万人、ヨーロッパ・中央アジアが410万人、アフリカが380万人、北米・南米が360万人、アラブ諸国が900万人。人口に占める割合でみると、最も多いのはアラブ諸国であり人口1,000人当たり5.3人、ヨーロッパ・中央アジアが4.4人、アジア・太平洋と北米・南米が3.5人、アフリカが2.9人だった。


(出所)ILO

 強制労働の86%は民間セクターであり、民間セクターの強制労働による違法な利益は年間2,360億米ドル(約35兆円)と推計した。2014年以降、640億米ドル(約9.4兆円)増え、37%増加していると発表した。被害者一人当たりの利益額は約1万米ドル。


(出所)ILO

 地域別の違法な年間利益額は、ヨーロッパ・中央アジアが840億米ドル(約13兆円)と最も高く、アジア・太平洋地域が620億米ドル(約9.3兆円)、北米・南米が520億米ドル(約7.8兆円)、アフリカが200億米ドル(約3.2兆円)、アラブ諸国が180億米ドル(約2.7兆円)。被害者一人当たりの金額が最も高い地域は、ヨーロッパ・中央アジアであり、アラブ諸国、北米・南米、アフリカ、アジア・太平洋地域が続く。


(出所)ILO

 民間セクターの強制労働による違法な利益全体の中で、性的搾取が最も大きな割合を占める。性的搾取の労働者数は強制労働者数全体の27%しかないが、違法性利益の73%を占めており、1,730億米ドル(約26兆円)。被害者一人当たりの利益では、性的搾取が約2.7万米ドル(約400万円)、強制労働が3,687米ドル(約56万円)。


(出所)ILO

 強制的な性的搾取の被害者一人当たりの利益が高いのは、被害者に還元される利益が極めて限定的であるためとした。被害者は全く報酬を受け取らないか、ごく一部の報酬を受け取るケースがほとんど。被害者に支払われない理由は、人身売買業者への引き渡し時に発生した借金の返済のためであり、家賃等の衣食住に関する費用や法外な金利が差し引かれる。同時に性的搾取がほとんどの国では違法行為であるため、被害者が司法に頼る手段がほとんどないことも被害が大きくなる原因だと報告した。

 同報告書では、根本原因への対処と被害者の保護を最優先とする包括的なアプローチが重要であることを強調。その中の1つの手段として、強制労働による違法な利益の拡大を止め、加害者に責任を追求するための法的措置への投資が必要であるとした。具体的には、法的枠組みの強化、執行官に対するトレーニングの提供、リスクの高いセクターへの労働検査の拡大、労働法と刑法執行の連携等を提言した。

【参照ページ】Annual profits from forced labour amount to US$ 236 billion, ILO report finds

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。