Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【宇宙】宇宙ビジネスの市場規模、2035年に270兆円。世界経済フォーラム報告

 世界経済フォーラム(WEF)は4月8日、世界の宇宙ビジネスに関する報告書を発表した。WEFとマッキンゼーが主導し、官民合わせた60名以上が作成に協力した。

 同報告書は、世界の宇宙ビジネスに関する分析と見通しを報告したもの。宇宙ビジネスの市場規模は2023年の6,300億米ドル(約95兆円)から2035年には1.8兆米ドル(約270兆円)に拡大し、年平均成長率は9%と予測した。既存のロケット等のハードウェアを提供する事業者の割合は徐々に低下し、2035年までの経済増加分の60%以上は、サプライチェーンと輸送、食品と飲料、国防、小売と消費財、デジタル通信の5つの産業が生み出し、ライドシェアサービスを提供する企業等が恩恵を受けるとした。


(出所)WEF

 同報告書では、宇宙ビジネスに関連する通信、位置情報、地球観測等の技術により、災害警報、気候監視、人道的対応のモニタリング等、世界の課題を軽減する上で重要な役割を果たすと報告。日本、ペルー、サウジアラビア、タイ等の国々が宇宙産業に投資を行い、インドが月の南極付近に探査機を着陸させた世界初の国となった。民間セクターでは、企業が投資する宇宙ステーション等で開発が進んでおり、宇宙以外の民間セクターとの連携も進んでいる。

 宇宙が日常生活に浸透しつつある要因として、まず、人工衛星の打ち上げコストの低下を挙げた。2019年から2023年の間に打ち上げられる衛星の数は年率50%で急増し、打ち上げコストは過去20年間で10分の1となった。2つ目に、衛星の小型化や商業的なイノベーション。宇宙を利用した地球観測では、現在15cmの解像度で物体の認識が可能となっており、ピクセル単位のコストが低下し続けている。

 3つ目は、投資と用途の多様化。幅広い投資家が宇宙産業に注目しており、民間セクターの投資家は2021年、2022年ともに700億米ドル(約10兆円)を超え、過去最高を記録した。宇宙を利用した活動も多様化しており、宇宙観光も現実的な事業になってきている。最後に、文化的な認識と宇宙産業に対する意欲の高まり。政府や企業が将来的に宇宙をどう活用するかをより検討するようになったとした。

 提言として、宇宙産業のポテンシャルを最大化する鍵は官民の連携だと報告。公共、民間セクター問わず、宇宙産業の標準化、アクセシビリティとユーザビリティ、認知度拡大と教育への投資の重要性を説いた。宇宙データへのアクセス向上と宇宙への進出コストの低減が実現されれば、宇宙産業の市場規模は2.3兆米ドル(約350兆円)に上方修正されるが、実現されない場合には1.4兆米ドル(212兆円)に下方修正されると予測した。

 同報告書の作成に協力したのは、アマゾン、エアバス・グループ、ブルー・オリジン、エア・リキード、ハネウェル・インターナショナル、アクシアム・スペース、ハンファ・エアロスペース、ハンファ・パワー・システムズ、BAEシステムズ、ダッソー・システムズ、アストラ、バーティ・エンタープライズ、HCLテクノロジーズ、ヒルトン・ワールドワイド、アクサ、ING、日本企業では、ispace、アストロスケール、ANAホールディングス傘下の全日本空輸の3社が名を連ねた。

【参照ページ】Space Economy Set to Triple to $1.8 Trillion by 2035, New Research Reveals

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 世界経済フォーラム(WEF)は4月8日、世界の宇宙ビジネスに関する報告書を発表した。WEFとマッキンゼーが主導し、官民合わせた60名以上が作成に協力した。

 同報告書は、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 世界経済フォーラム(WEF)は4月8日、世界の宇宙ビジネスに関する報告書を発表した。WEFとマッキンゼーが主導し、官民合わせた60名以上が作成に協力した。

 同報告書は、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 世界経済フォーラム(WEF)は4月8日、世界の宇宙ビジネスに関する報告書を発表した。WEFとマッキンゼーが主導し、官民合わせた60名以上が作成に協力した。

 同報告書は、世界の宇宙ビジネスに関する分析と見通しを報告したもの。宇宙ビジネスの市場規模は2023年の6,300億米ドル(約95兆円)から2035年には1.8兆米ドル(約270兆円)に拡大し、年平均成長率は9%と予測した。既存のロケット等のハードウェアを提供する事業者の割合は徐々に低下し、2035年までの経済増加分の60%以上は、サプライチェーンと輸送、食品と飲料、国防、小売と消費財、デジタル通信の5つの産業が生み出し、ライドシェアサービスを提供する企業等が恩恵を受けるとした。


(出所)WEF

 同報告書では、宇宙ビジネスに関連する通信、位置情報、地球観測等の技術により、災害警報、気候監視、人道的対応のモニタリング等、世界の課題を軽減する上で重要な役割を果たすと報告。日本、ペルー、サウジアラビア、タイ等の国々が宇宙産業に投資を行い、インドが月の南極付近に探査機を着陸させた世界初の国となった。民間セクターでは、企業が投資する宇宙ステーション等で開発が進んでおり、宇宙以外の民間セクターとの連携も進んでいる。

 宇宙が日常生活に浸透しつつある要因として、まず、人工衛星の打ち上げコストの低下を挙げた。2019年から2023年の間に打ち上げられる衛星の数は年率50%で急増し、打ち上げコストは過去20年間で10分の1となった。2つ目に、衛星の小型化や商業的なイノベーション。宇宙を利用した地球観測では、現在15cmの解像度で物体の認識が可能となっており、ピクセル単位のコストが低下し続けている。

 3つ目は、投資と用途の多様化。幅広い投資家が宇宙産業に注目しており、民間セクターの投資家は2021年、2022年ともに700億米ドル(約10兆円)を超え、過去最高を記録した。宇宙を利用した活動も多様化しており、宇宙観光も現実的な事業になってきている。最後に、文化的な認識と宇宙産業に対する意欲の高まり。政府や企業が将来的に宇宙をどう活用するかをより検討するようになったとした。

 提言として、宇宙産業のポテンシャルを最大化する鍵は官民の連携だと報告。公共、民間セクター問わず、宇宙産業の標準化、アクセシビリティとユーザビリティ、認知度拡大と教育への投資の重要性を説いた。宇宙データへのアクセス向上と宇宙への進出コストの低減が実現されれば、宇宙産業の市場規模は2.3兆米ドル(約350兆円)に上方修正されるが、実現されない場合には1.4兆米ドル(212兆円)に下方修正されると予測した。

 同報告書の作成に協力したのは、アマゾン、エアバス・グループ、ブルー・オリジン、エア・リキード、ハネウェル・インターナショナル、アクシアム・スペース、ハンファ・エアロスペース、ハンファ・パワー・システムズ、BAEシステムズ、ダッソー・システムズ、アストラ、バーティ・エンタープライズ、HCLテクノロジーズ、ヒルトン・ワールドワイド、アクサ、ING、日本企業では、ispace、アストロスケール、ANAホールディングス傘下の全日本空輸の3社が名を連ねた。

【参照ページ】Space Economy Set to Triple to $1.8 Trillion by 2035, New Research Reveals

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。