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【日本】日弁連、消費者庁に機能性表示食品を届出制から登録制へ変更要請。抜本的改正

 日本弁護士連合会(日弁連)は4月11日、消費者庁に対し、機能性表示食品制度を届出制から登録制に変更する等を求める会長声明を発表した。小林製薬が製造販売する「紅麹」の成分を含む機能性表示食品に関する事案から実態が一気に動いてきている。

 消費者庁は4月11日、医療関係者等で構成する「機能性表示食品を巡る検討会」を設置。制度の在り方の再検討を始めている。機能性表示食品は、消費者庁に事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示することを届け出る仕組み。国が審査し、消費者庁長官が許可する「特定保健用食品(トクホ)」とは異なる。

 機能性表示食品については、消費者庁は届出用のデータベースを用意しており、届出企業に対し、新たな科学情報等を考慮し、半年に一回の情報更新を要請してきた。しかし、東京商工リサーチ(TSR)が3月に調査したところ、機能性表示食品を届け出てしている1,671社のうち、資本金1億円未満の中小企業が74.2%を占め、届け出されている約6,800製品のうち約15%が未更新の状態だったことが発覚。制度が形骸化していることがわかった。

 日弁連会長は今回、機能性の表示を事業者の自主性に委ねることを懸念し、機能性表示食品制度の創設自体に反対してきたと強調。さらに小林製薬事案を引き合いに出し、被害の公表や行政への報告の遅さ、製品回収の遅さ、行政の事後的監督機能の不十分さが問題視されており、日弁連が当初から指摘してきた懸念が現実化していると指摘した。

 政府に対する要請では、機能性表示食品制度の抜本的な改正として、まず、国の監督機能確保のため、届出制ではなく登録制とし、安全性及び機能性の要件を満たさないことが明らかになった場合には国による登録取消が可能な制度とするよう求めた。次に、事業者に対して十分な安全性及び品質確保の体制を整備すること並びに被害情報の公表及び行政に対する報告を義務付けることを求めた。また、消費者庁による事後的監視監督結果が十分に情報開示されるようにすることや、同制度を食品表示基準の中に位置付けるのではなく、法律に直接の根拠を置くことを改めて求めるとともに、過去にも繰り返されてきた深刻な食品事故を踏まえ、食品事故の被害者救済制度創設を検討することを求めた。

 消費者庁の新井ゆたか長官は4月4日の定例会見の中で、機能性表示食品は、データベースの機能そのものは有効であり、データベースに記載された科学的データを消費者がチェックしたうえで購入することを前提にしてるとの趣旨の説明を行った。今後、消費者のリテラシーを前提にできるかどうかも焦点になりそうだ。

【参照ページ】機能性表示食品による食品事故に関する会長声明
【参照ページ】「機能性表示食品」届出は1,671社 22社が倒産や廃業 データベース未更新も15%
【参照ページ】新井消費者庁長官記者会見要旨

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 日本弁護士連合会(日弁連)は4月11日、消費者庁に対し、機能性表示食品制度を届出制から登録制に変更する等を求める会長声明を発表した。小林製薬が製造販売する「紅麹」の成分を含む機能性表示食品に関する事案から実態が一気に動いてきている。

 消費者庁は4月11日、

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 日本弁護士連合会(日弁連)は4月11日、消費者庁に対し、機能性表示食品制度を届出制から登録制に変更する等を求める会長声明を発表した。小林製薬が製造販売する「紅麹」の成分を含む機能性表示食品に関する事案から実態が一気に動いてきている。

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 日本弁護士連合会(日弁連)は4月11日、消費者庁に対し、機能性表示食品制度を届出制から登録制に変更する等を求める会長声明を発表した。小林製薬が製造販売する「紅麹」の成分を含む機能性表示食品に関する事案から実態が一気に動いてきている。

 消費者庁は4月11日、医療関係者等で構成する「機能性表示食品を巡る検討会」を設置。制度の在り方の再検討を始めている。機能性表示食品は、消費者庁に事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示することを届け出る仕組み。国が審査し、消費者庁長官が許可する「特定保健用食品(トクホ)」とは異なる。

 機能性表示食品については、消費者庁は届出用のデータベースを用意しており、届出企業に対し、新たな科学情報等を考慮し、半年に一回の情報更新を要請してきた。しかし、東京商工リサーチ(TSR)が3月に調査したところ、機能性表示食品を届け出てしている1,671社のうち、資本金1億円未満の中小企業が74.2%を占め、届け出されている約6,800製品のうち約15%が未更新の状態だったことが発覚。制度が形骸化していることがわかった。

 日弁連会長は今回、機能性の表示を事業者の自主性に委ねることを懸念し、機能性表示食品制度の創設自体に反対してきたと強調。さらに小林製薬事案を引き合いに出し、被害の公表や行政への報告の遅さ、製品回収の遅さ、行政の事後的監督機能の不十分さが問題視されており、日弁連が当初から指摘してきた懸念が現実化していると指摘した。

 政府に対する要請では、機能性表示食品制度の抜本的な改正として、まず、国の監督機能確保のため、届出制ではなく登録制とし、安全性及び機能性の要件を満たさないことが明らかになった場合には国による登録取消が可能な制度とするよう求めた。次に、事業者に対して十分な安全性及び品質確保の体制を整備すること並びに被害情報の公表及び行政に対する報告を義務付けることを求めた。また、消費者庁による事後的監視監督結果が十分に情報開示されるようにすることや、同制度を食品表示基準の中に位置付けるのではなく、法律に直接の根拠を置くことを改めて求めるとともに、過去にも繰り返されてきた深刻な食品事故を踏まえ、食品事故の被害者救済制度創設を検討することを求めた。

 消費者庁の新井ゆたか長官は4月4日の定例会見の中で、機能性表示食品は、データベースの機能そのものは有効であり、データベースに記載された科学的データを消費者がチェックしたうえで購入することを前提にしてるとの趣旨の説明を行った。今後、消費者のリテラシーを前提にできるかどうかも焦点になりそうだ。

【参照ページ】機能性表示食品による食品事故に関する会長声明
【参照ページ】「機能性表示食品」届出は1,671社 22社が倒産や廃業 データベース未更新も15%
【参照ページ】新井消費者庁長官記者会見要旨

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