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【ランキング】2018年 AODP「Global Climate Index:グローバル気候インデックス 年金基金編」

 機関投資家の気候変動リスクを調査・報告している国際NGOのAsset Owner Disclosure Project(AODP)は9月10日、年金基金世界上位100機関の格付とランキングを実施し、「Global Climate Index(グローバル気候インデックス)2018:年金基金編」を発表しました。このランキングの発表は今年で6回目です。今年からは、保険編、年金基金編等、業種別のランキング発表を実施しています。

 AODPは、元オーストラリア自由党党首で、首相補佐官、ABNアムロ・オーストラリア社長、経済学教授などを歴任したジョーン・ヒューソン氏が議長を務め、金融出身者や労働組合幹部などが理事に就いているNGO。本部は英国ロンドンにあります。2017年に英NGOのShareActionがAODPを吸収合併しました。

 この調査では、運用資産総額で世界上位100機関に入る年金基金を評価対象とし、公開情報と機関投資家へのアンケート内容をもとに格付とランキングを実施しています。アンケートを回答しなかった年金基金については、AODPが公開情報のみを用いて評価した結果を当該年金基金について通知し、抗弁の機会が設けられました。

 今年のアンケートでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに関連するものを含む合計27の質問項目が設定されており、公開情報とあわせ点数化され、最終的にAAA-A(Leaders)、BBB-B(Challengers)、CCC-C(Learners)、D(Bystandars)、X(Laggards)の5段階で格付されます。

順位 格付 機関
1 AAA AP4 スウェーデン
2 AAA FRR(フランス年金準備基金) フランス
3 AA ニューヨーク州退職年金基金 米国
4 AA ABP オランダ
5 A Varma Mutual Pension Insurance Company フィンランド
6 A GPFG ノルウェー
7 A 国連合同職員年金基金(UNJSPF) 米国
8 A AP3 スウェーデン
9 A Ilmarinen Mutual Pension Insurance Company フィンランド
10 BBB PFZW オランダ
11 BBB BPF Bouw オランダ
12 BBB カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS) 米国
13 BBB ファースト・ステート・スーパー オーストラリア
14 BBB AP7 スウェーデン
15 BBB AP2 スウェーデン
16 BBB オンタリオ州教職員年金基金 カナダ
17 BB ATP デンマーク
18 BB オーストラリア・スーパー オーストラリア
19 BB PFA デンマーク
20 BB KEVA フィンランド

 今年の調査では、AP4、FRRが最高位のAAAを、ニューヨーク州退職値近畿金、ABPがAAを取得。TCFDに十分に対応していることが明らかとなりました。また、KEVA、ケベック州年金基金、ATP、PFA、オンタリオ州教職員退職年金基金は、5段階も格付を上げ、大きな改善が見られました。その一方で、60%以上の年金基金は気候変動に十分対応できていませんでした。

 前回発表の保険企業との比較では、AAAからBまでの格付企業が保険企業は全体の6分の1しかなかったのに対し、年金基金は4分の1と相対的に高い傾向が出ました。しかし、最低位X格付では、保険企業は全体の14%に留まったのに対し、年金基金は31%と約3分の1が気候変動に関する情報開示をしていませんでした。地域別では、欧州の年金基金は、米州やオセアニアに比べ、格付が高く、一方アジア地域は全体の中で最も格付が低い状況でした。

【参考】【ランキング】2018年 AODP「Global Climate 500 Index:グローバル気候500インデックス 保険編」(2018年6月1日)

日本の年金基金

順位 格付 機関
37 C 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 日本
46 D 地方公務員共済組合連合会 日本
52 D 国家公務員共済組合連合会(KKR) 日本
52 D 勤労者退職金共済機構 日本
52 D 公立学校共済組合 日本
52 D 企業年金連合会 日本
70 X 全国市町村職員共済組合連合会 日本
70 X 国民年金基金連合会 日本
70 X 私学事業団 – 日本私立学校振興・共済事業団 日本

 日本の年金基金は、GPIFが最も高かったが、それでもCに甘んじました。その他は全部DとX。AODPも日本の状況に言及し、日本の保険企業は大きな改善が見られましたが、年金基金は進展がないと苦言を呈しました。

【参照ページ】60% of the world’s largest public pension funds in breach of duties on climate change, new data reveals.

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 機関投資家の気候変動リスクを調査・報告している国際NGOのAsset Owner Disclosure Project(AODP)は9月10日、年金基金世界上位100機関の格付とランキングを実施し、「Global Climate Index(グローバル気候インデックス)2018:年金基金編」を発表しました。このランキングの発表は今年で6回目です。今年からは、保険編、年金基金編等、業種別のランキング発表を実施しています。

 AODPは、元オーストラリア自由党党首で、首相補佐官、ABNアムロ・オーストラリア社長、経済学教授などを歴任したジョーン・ヒューソン氏が議長を務め、金融出身者や労働組合幹部などが理事に就いているNGO。本部は英国ロンドンにあります。2017年に英NGOのShareActionがAODPを吸収合併しました。

 この調査では、運用資産総額で世界上位100機関に入る年金基金を評価対象とし、公開情報と機関投資家へのアンケート内容をもとに格付とランキングを実施しています。アンケートを回答しなかった年金基金については、AODPが公開情報のみを用いて評価した結果を当該年金基金について通知し、抗弁の機会が設けられました。

 今年のアンケートでは

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 機関投資家の気候変動リスクを調査・報告している国際NGOのAsset Owner Disclosure Project(AODP)は9月10日、年金基金世界上位100機関の格付とランキングを実施し、「Global Climate Index(グローバル気候インデックス)2018:年金基金編」を発表しました。このランキングの発表は今年で6回目です。今年からは、保険編、年金基金編等、業種別のランキング発表を実施しています。

 AODPは、元オーストラリア自由党党首で、首相補佐官、ABNアムロ・オーストラリア社長、経済学教授などを歴任したジョーン・ヒューソン氏が議長を務め、金融出身者や労働組合幹部などが理事に就いているNGO。本部は英国ロンドンにあります。2017年に英NGOのShareActionがAODPを吸収合併しました。

 この調査では、運用資産総額で世界上位100機関に入る年金基金を評価対象とし、公開情報と機関投資家へのアンケート内容をもとに格付とランキングを実施しています。アンケートを回答しなかった年金基金については、AODPが公開情報のみを用いて評価した結果を当該年金基金について通知し、抗弁の機会が設けられました。

 今年のアンケートでは

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 機関投資家の気候変動リスクを調査・報告している国際NGOのAsset Owner Disclosure Project(AODP)は9月10日、年金基金世界上位100機関の格付とランキングを実施し、「Global Climate Index(グローバル気候インデックス)2018:年金基金編」を発表しました。このランキングの発表は今年で6回目です。今年からは、保険編、年金基金編等、業種別のランキング発表を実施しています。

 AODPは、元オーストラリア自由党党首で、首相補佐官、ABNアムロ・オーストラリア社長、経済学教授などを歴任したジョーン・ヒューソン氏が議長を務め、金融出身者や労働組合幹部などが理事に就いているNGO。本部は英国ロンドンにあります。2017年に英NGOのShareActionがAODPを吸収合併しました。

 この調査では、運用資産総額で世界上位100機関に入る年金基金を評価対象とし、公開情報と機関投資家へのアンケート内容をもとに格付とランキングを実施しています。アンケートを回答しなかった年金基金については、AODPが公開情報のみを用いて評価した結果を当該年金基金について通知し、抗弁の機会が設けられました。

 今年のアンケートでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに関連するものを含む合計27の質問項目が設定されており、公開情報とあわせ点数化され、最終的にAAA-A(Leaders)、BBB-B(Challengers)、CCC-C(Learners)、D(Bystandars)、X(Laggards)の5段階で格付されます。

順位 格付 機関
1 AAA AP4 スウェーデン
2 AAA FRR(フランス年金準備基金) フランス
3 AA ニューヨーク州退職年金基金 米国
4 AA ABP オランダ
5 A Varma Mutual Pension Insurance Company フィンランド
6 A GPFG ノルウェー
7 A 国連合同職員年金基金(UNJSPF) 米国
8 A AP3 スウェーデン
9 A Ilmarinen Mutual Pension Insurance Company フィンランド
10 BBB PFZW オランダ
11 BBB BPF Bouw オランダ
12 BBB カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS) 米国
13 BBB ファースト・ステート・スーパー オーストラリア
14 BBB AP7 スウェーデン
15 BBB AP2 スウェーデン
16 BBB オンタリオ州教職員年金基金 カナダ
17 BB ATP デンマーク
18 BB オーストラリア・スーパー オーストラリア
19 BB PFA デンマーク
20 BB KEVA フィンランド

 今年の調査では、AP4、FRRが最高位のAAAを、ニューヨーク州退職値近畿金、ABPがAAを取得。TCFDに十分に対応していることが明らかとなりました。また、KEVA、ケベック州年金基金、ATP、PFA、オンタリオ州教職員退職年金基金は、5段階も格付を上げ、大きな改善が見られました。その一方で、60%以上の年金基金は気候変動に十分対応できていませんでした。

 前回発表の保険企業との比較では、AAAからBまでの格付企業が保険企業は全体の6分の1しかなかったのに対し、年金基金は4分の1と相対的に高い傾向が出ました。しかし、最低位X格付では、保険企業は全体の14%に留まったのに対し、年金基金は31%と約3分の1が気候変動に関する情報開示をしていませんでした。地域別では、欧州の年金基金は、米州やオセアニアに比べ、格付が高く、一方アジア地域は全体の中で最も格付が低い状況でした。

【参考】【ランキング】2018年 AODP「Global Climate 500 Index:グローバル気候500インデックス 保険編」(2018年6月1日)

日本の年金基金

順位 格付 機関
37 C 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 日本
46 D 地方公務員共済組合連合会 日本
52 D 国家公務員共済組合連合会(KKR) 日本
52 D 勤労者退職金共済機構 日本
52 D 公立学校共済組合 日本
52 D 企業年金連合会 日本
70 X 全国市町村職員共済組合連合会 日本
70 X 国民年金基金連合会 日本
70 X 私学事業団 – 日本私立学校振興・共済事業団 日本

 日本の年金基金は、GPIFが最も高かったが、それでもCに甘んじました。その他は全部DとX。AODPも日本の状況に言及し、日本の保険企業は大きな改善が見られましたが、年金基金は進展がないと苦言を呈しました。

【参照ページ】60% of the world’s largest public pension funds in breach of duties on climate change, new data reveals.

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