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【国際】ESG議決権行使キャンペーン「Say on Climate」、ムーディーズとユニリーバが受入れ。気候変動株主提案の新風

 英国のザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド財団(CIFF)が10月に開始した上場企業への気候変動戦略情報開示を迫る国際キャンペーン「Say on Climate」に支持が集めており、新たな台風の目になりそうだ。12月14日にはユニリーバ、12月22日にはムーディーズが自主的に同キャンペーンへのコミットメントを表明している。

 CIFFは、英ヘッジファンド大手ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド・マネジメント(TCI)の創業者クリストファー・ホーン卿が2002年に設立した財団。TCIは、運用リターンの一部をCIFFに寄付しており、双方は創業者によって一体的に運営している。

 TCIの運用資産は2019年12月時点で271億米ドル(約2.8兆円)。アクティビスト株主としても世界的有名で、上場企業の株式を大量保有した上で、投資先企業の経営に大きく介入することを何度も実施してきた。日本の電源開発も2006年から2007年にかけ、ターゲットになったことがある。

 CIFFは、発展途上国の児童の貧困問題をテーマとし、特に構造的な課題を解決するために、スケーラビリティがあるが投資リスクの高いアイデアへのベンチャー型寄付を行っている。運用資産は、TCIから一定金額毎年得られるため潤沢で、現在は60億億ポンド(約8,500億円)。開発支援分野の財団で世界5位の規模。2018年だけで2.32億米ドル(約240億)への寄付金を拠出しているが、児童の貧困に大きな影響を与える気候変動にも関心が高く、2020年の同分野への寄付金は1.5億米ドル(約155億円)となる見込み。

 CIFFが今回開始した「Say on Climate」キャンペーンは、上場企業に対して行う議決権行使型のキャンペーン。二酸化炭素排出量の大胆な削減目標とともに、それを実現するための実効性のある戦略・道筋の開示も要求する株主提案を行い、賛成株主を集め、議決権行使で可決させることを狙う。同株主提案では、上場企業の削減計画に対し、株主総会で毎年株主からの賛否を問うための「勧告的決議」型の議案設定を義務化し、これにより毎年、株主が企業の削減計画に対し発言する機会を与えるものとなっている。このことから、上場企業の役員報酬について株主総会で株主の発言・介入機会を与える「Say on Pay」になぞらえて、「Say on Climate」という名称が付けられている。

 CIFFは、同様の内容の株主提案は、世界最大の空港運営会社であるスペインのAenaに対し、同様の株主提案を行い、10月の株主総会で、98%の賛成を得て可決。議決権行使助言会社のISSとグラスルイスも賛成を推奨していた。ブラックロックも賛成した。この成功により、CIFFは「Say on Climate」という国際キャンペーンを開始することを決めた。

 CIFFは11月、Say on Climateの次のターゲット企業として、ムーディーズ、S&Pグローバル、アルファベット、ユニオン・パシフィック鉄道、カナダ太平洋鉄道、カナディアン・ナショナル鉄道、チャーター・コミュニケーションズの7社を宣言。これを受け、ムーディーズは自主的にSay on Climateの提案事項を受入れた形。ユニリーバは、ターゲットではなかったが、自主的に同提案事項を実行することに決めた。

 Say on Climateには、すでにCDPとShareholderもパートナーとして参加を決定。また機関投資家からも次々と賛成を取り付けている。現時点で賛同しているアセットオーナーは、CIFF、英Local Authority Pension Fund Forum(LAPFF)、オックスフォード大学、Gjensidige Stiftelsen。賛同している運用会社は、TCI、Sarasin & Partners、Algebris Investments、Appian Way Asset Management、BDL Capital Management、Vista Equity Partners、Capricorn Investment Group、Menhaden。

【参照ページ】Say on Climate
【参照ページ】CIFF CALLS ON INVESTORS, ADVISERS AND REGULATORS TO ENSURE EVERY COMPANY PUTS A CLIMATE TRANSITION ACTION PLAN TO AN ANNUAL SHAREHOLDER VOTE
【参照ページ】Moody’s Announces Commitment to ‘Say on Climate’ Campaign
【参照ページ】Unilever to seek shareholder approval for climate transition action plan

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 英国のザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド財団(CIFF)が10月に開始した上場企業への気候変動戦略情報開示を迫る国際キャンペーン「Say on Climate」に支持が集めており、新たな台風の目になりそうだ。12月14日にはユニリーバ、12月22日にはムーディーズが自主的に同キャンペーンへのコミットメントを表明している。

 CIFFは、英ヘッジファンド大手ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド・マネジメント(TCI)の創業者クリストファー・ホーン卿が2002年に設立した財団。TCIは、運用リターンの一部をCIFFに寄付しており、双方は創業者によって一体的に運営している。

 TCIの運用資産は2019年12月時点で271億米ドル(約2.8兆円)。アクティビスト株主としても世界的有名で、上場企業の株式を大量保有した上で、投資先企業の経営に大きく介入することを何度も実施してきた。日本の電源開発も2006年から2007年にかけ、ターゲットになったことがある。

 CIFFは、

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 英国のザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド財団(CIFF)が10月に開始した上場企業への気候変動戦略情報開示を迫る国際キャンペーン「Say on Climate」に支持が集めており、新たな台風の目になりそうだ。12月14日にはユニリーバ、12月22日にはムーディーズが自主的に同キャンペーンへのコミットメントを表明している。

 CIFFは、英ヘッジファンド大手ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド・マネジメント(TCI)の創業者クリストファー・ホーン卿が2002年に設立した財団。TCIは、運用リターンの一部をCIFFに寄付しており、双方は創業者によって一体的に運営している。

 TCIの運用資産は2019年12月時点で271億米ドル(約2.8兆円)。アクティビスト株主としても世界的有名で、上場企業の株式を大量保有した上で、投資先企業の経営に大きく介入することを何度も実施してきた。日本の電源開発も2006年から2007年にかけ、ターゲットになったことがある。

 CIFFは、

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 英国のザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド財団(CIFF)が10月に開始した上場企業への気候変動戦略情報開示を迫る国際キャンペーン「Say on Climate」に支持が集めており、新たな台風の目になりそうだ。12月14日にはユニリーバ、12月22日にはムーディーズが自主的に同キャンペーンへのコミットメントを表明している。

 CIFFは、英ヘッジファンド大手ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド・マネジメント(TCI)の創業者クリストファー・ホーン卿が2002年に設立した財団。TCIは、運用リターンの一部をCIFFに寄付しており、双方は創業者によって一体的に運営している。

 TCIの運用資産は2019年12月時点で271億米ドル(約2.8兆円)。アクティビスト株主としても世界的有名で、上場企業の株式を大量保有した上で、投資先企業の経営に大きく介入することを何度も実施してきた。日本の電源開発も2006年から2007年にかけ、ターゲットになったことがある。

 CIFFは、発展途上国の児童の貧困問題をテーマとし、特に構造的な課題を解決するために、スケーラビリティがあるが投資リスクの高いアイデアへのベンチャー型寄付を行っている。運用資産は、TCIから一定金額毎年得られるため潤沢で、現在は60億億ポンド(約8,500億円)。開発支援分野の財団で世界5位の規模。2018年だけで2.32億米ドル(約240億)への寄付金を拠出しているが、児童の貧困に大きな影響を与える気候変動にも関心が高く、2020年の同分野への寄付金は1.5億米ドル(約155億円)となる見込み。

 CIFFが今回開始した「Say on Climate」キャンペーンは、上場企業に対して行う議決権行使型のキャンペーン。二酸化炭素排出量の大胆な削減目標とともに、それを実現するための実効性のある戦略・道筋の開示も要求する株主提案を行い、賛成株主を集め、議決権行使で可決させることを狙う。同株主提案では、上場企業の削減計画に対し、株主総会で毎年株主からの賛否を問うための「勧告的決議」型の議案設定を義務化し、これにより毎年、株主が企業の削減計画に対し発言する機会を与えるものとなっている。このことから、上場企業の役員報酬について株主総会で株主の発言・介入機会を与える「Say on Pay」になぞらえて、「Say on Climate」という名称が付けられている。

 CIFFは、同様の内容の株主提案は、世界最大の空港運営会社であるスペインのAenaに対し、同様の株主提案を行い、10月の株主総会で、98%の賛成を得て可決。議決権行使助言会社のISSとグラスルイスも賛成を推奨していた。ブラックロックも賛成した。この成功により、CIFFは「Say on Climate」という国際キャンペーンを開始することを決めた。

 CIFFは11月、Say on Climateの次のターゲット企業として、ムーディーズ、S&Pグローバル、アルファベット、ユニオン・パシフィック鉄道、カナダ太平洋鉄道、カナディアン・ナショナル鉄道、チャーター・コミュニケーションズの7社を宣言。これを受け、ムーディーズは自主的にSay on Climateの提案事項を受入れた形。ユニリーバは、ターゲットではなかったが、自主的に同提案事項を実行することに決めた。

 Say on Climateには、すでにCDPとShareholderもパートナーとして参加を決定。また機関投資家からも次々と賛成を取り付けている。現時点で賛同しているアセットオーナーは、CIFF、英Local Authority Pension Fund Forum(LAPFF)、オックスフォード大学、Gjensidige Stiftelsen。賛同している運用会社は、TCI、Sarasin & Partners、Algebris Investments、Appian Way Asset Management、BDL Capital Management、Vista Equity Partners、Capricorn Investment Group、Menhaden。

【参照ページ】Say on Climate
【参照ページ】CIFF CALLS ON INVESTORS, ADVISERS AND REGULATORS TO ENSURE EVERY COMPANY PUTS A CLIMATE TRANSITION ACTION PLAN TO AN ANNUAL SHAREHOLDER VOTE
【参照ページ】Moody’s Announces Commitment to ‘Say on Climate’ Campaign
【参照ページ】Unilever to seek shareholder approval for climate transition action plan

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