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【日本】金融庁と日銀、メガバンク及び損保大手6社と気候変動シナリオ分析実証。課題浮彫り

 金融庁と日本銀行は8月26日、メガバンク3社及び損保大手3社と連携し、気候変動ストレステストに向けた気候変動シナリオ分析の試行的取組を実施したと発表した。NGFS(The Network for Greening the Financial System:気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表するシナリオを共通シナリオとした。

【参考】【国際】NGFS、中央銀行・金融当局向けの気候変動シナリオ分析ガイド第2版発行。情報情報を反映(2021年6月10日)

 今回の実証実施は、金融機関向けの気候変動ストレステストの手法が発展途上であることを踏まえ、テストそのものではなく、テスト実施に向けた課題を発掘することに重点が置かれた。実施では、金融庁と日本銀行でシナリオを定め、それを基に6社がアレンジしながら自発的にテストを行うボトムアップ型が採られた。

 メガバンク向けでは、移行リスクと物理的リスクの双方が対象となった。分析の結果は、移行リスク及び物理的リスクによる年平均の信用コストの増加額は、各行の平均的な年間の純利益と比べて相応に低い水準となった。各社のTCFDレポートで公表している結果との大きな差もなかったが、差が内容にアレンジがなされたとの見方もできる。

 目的としたシナリオ分析の課題では、各社のモデルやモデルで使用する変数の選択には大きなばらつきがあり、それが各社の推計結果に有意な差をもたらしていた。このことからあらためて手法の共通化が重要となることがわかった。分析の精緻化も期待されるとした。

 損害保険大手向けでは、物理的リスクを対象とした。その結果、気温上昇に伴い保険金支払額が増加することが確認されたが、そもそも各社のリスクモデルが異なるうえ、前提条件の統一の限界等によって、結果にバラツキが出た。特定のシナリオ(災害)を対象とした分析では、将来時点における発生確率の変化(災害発生の頻度)を把握できない等の課題も明らかになった。発生確率に関する共通リスクモデルの必要性も浮き彫りとなった。

【参照ページ】「気候関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析の試行的取組について」の公表

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 金融庁と日本銀行は8月26日、メガバンク3社及び損保大手3社と連携し、気候変動ストレステストに向けた気候変動シナリオ分析の試行的取組を実施したと発表した。NGFS(The Network for Greening the Financial System:気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表するシナリオを共通シナリオとした。

【参考】【国際】NGFS、中央銀行・金融当局向けの気候変動シナリオ分析ガイド第2版発行。情報情報を反映(2021年6月10日)

 今回の実証実施は、

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 金融庁と日本銀行は8月26日、メガバンク3社及び損保大手3社と連携し、気候変動ストレステストに向けた気候変動シナリオ分析の試行的取組を実施したと発表した。NGFS(The Network for Greening the Financial System:気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表するシナリオを共通シナリオとした。

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 今回の実証実施は、

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 金融庁と日本銀行は8月26日、メガバンク3社及び損保大手3社と連携し、気候変動ストレステストに向けた気候変動シナリオ分析の試行的取組を実施したと発表した。NGFS(The Network for Greening the Financial System:気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表するシナリオを共通シナリオとした。

【参考】【国際】NGFS、中央銀行・金融当局向けの気候変動シナリオ分析ガイド第2版発行。情報情報を反映(2021年6月10日)

 今回の実証実施は、金融機関向けの気候変動ストレステストの手法が発展途上であることを踏まえ、テストそのものではなく、テスト実施に向けた課題を発掘することに重点が置かれた。実施では、金融庁と日本銀行でシナリオを定め、それを基に6社がアレンジしながら自発的にテストを行うボトムアップ型が採られた。

 メガバンク向けでは、移行リスクと物理的リスクの双方が対象となった。分析の結果は、移行リスク及び物理的リスクによる年平均の信用コストの増加額は、各行の平均的な年間の純利益と比べて相応に低い水準となった。各社のTCFDレポートで公表している結果との大きな差もなかったが、差が内容にアレンジがなされたとの見方もできる。

 目的としたシナリオ分析の課題では、各社のモデルやモデルで使用する変数の選択には大きなばらつきがあり、それが各社の推計結果に有意な差をもたらしていた。このことからあらためて手法の共通化が重要となることがわかった。分析の精緻化も期待されるとした。

 損害保険大手向けでは、物理的リスクを対象とした。その結果、気温上昇に伴い保険金支払額が増加することが確認されたが、そもそも各社のリスクモデルが異なるうえ、前提条件の統一の限界等によって、結果にバラツキが出た。特定のシナリオ(災害)を対象とした分析では、将来時点における発生確率の変化(災害発生の頻度)を把握できない等の課題も明らかになった。発生確率に関する共通リスクモデルの必要性も浮き彫りとなった。

【参照ページ】「気候関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析の試行的取組について」の公表

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