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【アメリカ】財務省、最大約100万円のクリーンカー減税の最終要件発表。北米組立必須

 米財務省と内国歳入庁(IRS)は3月31日、インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関するガイダンス案を発表した。4月17日に官報に掲載され、4月18日から施行される予定。

【参考】【アメリカ】上院、インフレ抑制法案を可決。再エネ・EV促進で50兆円。自社株買い課税も(2022年8月8日)

 「クリーンカー」の定義は、外部充電でき、電気モーターが主エネルギー源となる車両のみが対象でハイブリッド車(HV)は対象外。購入車両は、使用又はリースのみが対象で、再販目的の場合は適用外。また、プラグインハイブリッド車(PHV)と燃料電池自動車(FCV)にも適用していく考え。新車のみに適用される。

 クリーンカー減税額は、電気自動車(EV)バッテリーや燃料電池自動車(FCV)の燃料電池容量に基づいて計算される。基本額は2,500米ドル。これに容量が5kWh以上のEVバッテリーや燃料電池の場合は417米ドルが追加。さらに5kWhを超える容量1kWh毎に417米ドルが追加され、最大1台当たり7,500米ドル(約100万円)の減税となる。

 減税の対象は、米国、カナダ、メキシコの「北米」での最終組立されることを条件とすることが最終決定した。米国、欧州、韓国は、北米要件の緩和に向けて交渉を進めていたが、最終的に通らなかった。一方、商用車に関しては2022年12月に北米要件が緩和されることが発表されている。加えて、車両販売学上限もあり、バン、ピックアップトラック、スポーツ用多目的車に関してはメーカー希望小売価格の上限が8万米ドル、その他の車両は5万5,000米ドルに設定されており、それ以上の高級車は減税措置が受けられない。重量が14,000ポンド以上のものも対象外。さらに、年間申告所得が、225,000米ドルを超える世帯主、300,000米ドルを超える共同申告者や配偶者、それ以外の場合は150,000米ドルを超える場合は適用除外となる。

 中古車については、価格25,000米ドル以下の自動車が対象。年間申告所得が、112,500米ドルを超える世帯主、それ以外の場合は75,000米ドルを超える場合は適用除外となる。一度、申請すると3年間は申請できない。

【参考】【参考】【国際】米国EV補助金制度、日韓欧から反発。韓国は3年間の猶予。EUは定期協議開催(2022年11月6日)
【参考】【アメリカ】政府、商用車は北米以外の組立でもEV補助金の支給対象。EU歓迎(2022年12月31日)

 また減税額の算出では、重要鉱物要件とEVバッテリー・燃料電池部品に関する要件が別々に課されており、重要鉱物要件を満たす車両には最大3,750ドル、電池部品要件を満たす車両には別途最大3,750米ドルの上限が設定され、双方を満たせば満額の7,500米ドルの減税が受けられる。中古車は最大4,000米ドルに設定された。

 重要鉱物要件ルールでは、「米国または米国の自由貿易協定を締結している国で抽出または加工されたものの割合」または「北米でリサイクルされたものの割合」で条件が決められており、その割合を超えなければならない。割合基準は、2024年1月1日以前に使用開始された車両は40%。これが、2024年に50%、2025年に60%、2026年に70%、2026年12月31日以降は80%と年々引き上がる。加えて、米国が「懸念国」に指定する国で抽出または加工されている場合は、一発NGとなる。対象重要鉱物は、インフレ抑制法45X(c)(6)で規定されており、リチウム、コバルト、マンガン、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、錫、タンタル、タングステン、亜鉛、プラチナ等、50の鉱物が指定されている。「北米でリサイクルされたもの」の定義は、「リサイクルによって該当する重要鉱物に付加された価値の50%以上が北米でリサイクルされたもの」とした。

 重要鉱物要件については、3月11日にEUを「米国の自由貿易協定を締結している国」と扱うことでEUと合意。日本との間でも3月29日に日本を「米国の自由貿易協定を締結している国」と扱うことで合意した。

【参考】【アメリカ・EU】米EU首脳会談、EU産重要鉱物をインフレ抑制法クリーンカー減税の要件算入で合意(2023年3月11日)
【参考】【日本・アメリカ】両政府、重要鉱物協定を締結。サプライチェーンでの環境・人権を確保(2023年3月29日)

 最終的に米財務省は今回、オーストラリア、バーレーン、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、イスラエル、日本、ヨルダン、韓国、メキシコ、モロッコ、ニカラグア、オマーン、パナマ、ペルー、シンガポールが対象となることを発表。EUとの協議は継続中。

 バッテリー・燃料電池部品要件では、バッテリー・燃料電池に含まれる部品の価値のうち、北米で製造または組み立てられたものの割合に関する条件が課せられている。基準は、2024年1月1日以前に使用開始された車両は50%。これが、2024年と2025年に60%、2026年に70%、2028年に80%、2029年に90%、2028年12月31日以降は100%ととなる。

 米財務省は近々、適格クリーン車のリストを、クレジット額を含めて発表予定。

[2023.4.18修正]
中古車に関する情報を修正した。

【参照ページ】Treasury Releases Proposed Guidance on New Clean Vehicle Credit to Lower Costs for Consumers, Build U.S. Industrial Base, Strengthen Supply Chains

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 米財務省と内国歳入庁(IRS)は3月31日、インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関するガイダンス案を発表した。4月17日に官報に掲載され、4月18日から施行される予定。

【参考】【アメリカ】上院、インフレ抑制法案を可決。再エネ・EV促進で50兆円。自社株買い課税も(2022年8月8日)

 「クリーンカー」の定義は、

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 米財務省と内国歳入庁(IRS)は3月31日、インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関するガイダンス案を発表した。4月17日に官報に掲載され、4月18日から施行される予定。

【参考】【アメリカ】上院、インフレ抑制法案を可決。再エネ・EV促進で50兆円。自社株買い課税も(2022年8月8日)

 「クリーンカー」の定義は、

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 米財務省と内国歳入庁(IRS)は3月31日、インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関するガイダンス案を発表した。4月17日に官報に掲載され、4月18日から施行される予定。

【参考】【アメリカ】上院、インフレ抑制法案を可決。再エネ・EV促進で50兆円。自社株買い課税も(2022年8月8日)

 「クリーンカー」の定義は、外部充電でき、電気モーターが主エネルギー源となる車両のみが対象でハイブリッド車(HV)は対象外。購入車両は、使用又はリースのみが対象で、再販目的の場合は適用外。また、プラグインハイブリッド車(PHV)と燃料電池自動車(FCV)にも適用していく考え。新車のみに適用される。

 クリーンカー減税額は、電気自動車(EV)バッテリーや燃料電池自動車(FCV)の燃料電池容量に基づいて計算される。基本額は2,500米ドル。これに容量が5kWh以上のEVバッテリーや燃料電池の場合は417米ドルが追加。さらに5kWhを超える容量1kWh毎に417米ドルが追加され、最大1台当たり7,500米ドル(約100万円)の減税となる。

 減税の対象は、米国、カナダ、メキシコの「北米」での最終組立されることを条件とすることが最終決定した。米国、欧州、韓国は、北米要件の緩和に向けて交渉を進めていたが、最終的に通らなかった。一方、商用車に関しては2022年12月に北米要件が緩和されることが発表されている。加えて、車両販売学上限もあり、バン、ピックアップトラック、スポーツ用多目的車に関してはメーカー希望小売価格の上限が8万米ドル、その他の車両は5万5,000米ドルに設定されており、それ以上の高級車は減税措置が受けられない。重量が14,000ポンド以上のものも対象外。さらに、年間申告所得が、225,000米ドルを超える世帯主、300,000米ドルを超える共同申告者や配偶者、それ以外の場合は150,000米ドルを超える場合は適用除外となる。

 中古車については、価格25,000米ドル以下の自動車が対象。年間申告所得が、112,500米ドルを超える世帯主、それ以外の場合は75,000米ドルを超える場合は適用除外となる。一度、申請すると3年間は申請できない。

【参考】【参考】【国際】米国EV補助金制度、日韓欧から反発。韓国は3年間の猶予。EUは定期協議開催(2022年11月6日)
【参考】【アメリカ】政府、商用車は北米以外の組立でもEV補助金の支給対象。EU歓迎(2022年12月31日)

 また減税額の算出では、重要鉱物要件とEVバッテリー・燃料電池部品に関する要件が別々に課されており、重要鉱物要件を満たす車両には最大3,750ドル、電池部品要件を満たす車両には別途最大3,750米ドルの上限が設定され、双方を満たせば満額の7,500米ドルの減税が受けられる。中古車は最大4,000米ドルに設定された。

 重要鉱物要件ルールでは、「米国または米国の自由貿易協定を締結している国で抽出または加工されたものの割合」または「北米でリサイクルされたものの割合」で条件が決められており、その割合を超えなければならない。割合基準は、2024年1月1日以前に使用開始された車両は40%。これが、2024年に50%、2025年に60%、2026年に70%、2026年12月31日以降は80%と年々引き上がる。加えて、米国が「懸念国」に指定する国で抽出または加工されている場合は、一発NGとなる。対象重要鉱物は、インフレ抑制法45X(c)(6)で規定されており、リチウム、コバルト、マンガン、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、錫、タンタル、タングステン、亜鉛、プラチナ等、50の鉱物が指定されている。「北米でリサイクルされたもの」の定義は、「リサイクルによって該当する重要鉱物に付加された価値の50%以上が北米でリサイクルされたもの」とした。

 重要鉱物要件については、3月11日にEUを「米国の自由貿易協定を締結している国」と扱うことでEUと合意。日本との間でも3月29日に日本を「米国の自由貿易協定を締結している国」と扱うことで合意した。

【参考】【アメリカ・EU】米EU首脳会談、EU産重要鉱物をインフレ抑制法クリーンカー減税の要件算入で合意(2023年3月11日)
【参考】【日本・アメリカ】両政府、重要鉱物協定を締結。サプライチェーンでの環境・人権を確保(2023年3月29日)

 最終的に米財務省は今回、オーストラリア、バーレーン、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、イスラエル、日本、ヨルダン、韓国、メキシコ、モロッコ、ニカラグア、オマーン、パナマ、ペルー、シンガポールが対象となることを発表。EUとの協議は継続中。

 バッテリー・燃料電池部品要件では、バッテリー・燃料電池に含まれる部品の価値のうち、北米で製造または組み立てられたものの割合に関する条件が課せられている。基準は、2024年1月1日以前に使用開始された車両は50%。これが、2024年と2025年に60%、2026年に70%、2028年に80%、2029年に90%、2028年12月31日以降は100%ととなる。

 米財務省は近々、適格クリーン車のリストを、クレジット額を含めて発表予定。

[2023.4.18修正]
中古車に関する情報を修正した。

【参照ページ】Treasury Releases Proposed Guidance on New Clean Vehicle Credit to Lower Costs for Consumers, Build U.S. Industrial Base, Strengthen Supply Chains

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