Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【日本】ホンダ、EV・PHV等への環境R&D投資額が2022年度に2倍の158億円。自然資本評価も率先

 本田技研工業は6月29日、「Honda ESG Data Book 2023」を発行し、環境関連のR&D投資額を公表した。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を含む先進環境対応車の研究開発投資額が前年比で2倍になっていたことがわかった。

 環境関連のCAPEX(資本的支出)の開示は、昨今、機関投資家から新たに求められるようになってきている項目。背景には、機関投資家自身のカーボンニュートラル目標の設定で、ファイナンス先企業の設備投資額のモニタリングが要求されてきいることがある。

【参考】【国際】SBTi、金融機関向け基準改定案発表。石炭は例外なく新規ファイナンス禁止。保険も対象(2023年6月16日)

 本田技研工業は、環境関連のCAPEXとOPEXの開示を2016年度の年次報告から開始。先進環境対応車の研究開発投資額は、2016年度が22億6,300万円、2017年度が12億3,200万円、2018年度が43億9,800万円、2019年度が38億2,700万円、2020年度が21億2,800万円、2021年度が90億9,300万円、2022年度が75億7,500万円、そして2023年度が158億2,800万円となった。前年比2倍で、100億円の大台を一気に超えた。

 同社の進環境対応車の研究開発投資は、ライフサイクル全体での削減を対象としている。すでに、ISO14040と14044に準拠する形で、製品のライフサイクルでの環境フットプリントの算出手順を決め、2023年にはドイツのテュフラインランドから第三者認証を取得した。公表されているライフサイクルでの二酸化炭素排出量の算出結果では、素材製造が全体の52.1%、使用段階で28.1%、廃棄で3.7%を占めており、スコープ3が大半を占める。そのため、製品の部材を対象に、リユース、リサイクル材料、バイオマス材料等の技術研究を進めるとともに、2050年までにサステナブル素材使用率を100%にする目標も掲げている。

 さらに、自然資本観点では、生物多様性へのインパクトに関する部材毎の一次評価も実施済み。公表データでは、天然ゴム、銅、鉄、ニッケル、走行時電力で全体の約4分の3を占める。生産拠点毎の生物多様性インパクト評価では、IBATを活用し、世界の自社生産86拠点を対象に、各拠点から半径50km圏内を調査対象とし、IUCNレッドリストの絶滅危惧種が生息するエリアとの近接状況を整理した。その上で、IBATのKBA、WDPA、STARの指標を用いて、総合的に評価した。

 同社は7月4日には、燃料タンク等を手掛ける八千代工業の株式をインド企業に売却することも発表している。本田技研工業は現在、八千代工業の株式50.4%を保有しており、今後10月頃に、公開買付けで完全子会社を計画。その後に議決権の81%に相当する株式を、Samvardhana Motherson International(マザーサン・グループ)傘下のSMRC Automotive Holdings Netherlands(マザーサン)に売却する。

 マザーサン・グループは、四輪車用の内外装樹脂部品を中心にグローバルに事業を展開しており、八千代工業の樹脂成形技術を活用し、事業成長を狙う。また、八千代工業が保有している二輪車向け製品製造の合志技研工業の株式は、本田技研工業に譲渡され、本田技研工業が議決権の95%を保有する形となる。

【参照ページ】Honda ESG Data Book 2023を発行
【参照ページ】八千代工業株式会社の株式に対する公開買付けの開始予定について

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 本田技研工業は6月29日、「Honda ESG Data Book 2023」を発行し、環境関連のR&D投資額を公表した。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を含む先進環境対応車の研究開発投資額が前年比で2倍になっていたことがわかった。

 環境関連のCAPEX(資本的支出)の開示は、

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 本田技研工業は6月29日、「Honda ESG Data Book 2023」を発行し、環境関連のR&D投資額を公表した。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を含む先進環境対応車の研究開発投資額が前年比で2倍になっていたことがわかった。

 環境関連のCAPEX(資本的支出)の開示は、

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 本田技研工業は6月29日、「Honda ESG Data Book 2023」を発行し、環境関連のR&D投資額を公表した。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を含む先進環境対応車の研究開発投資額が前年比で2倍になっていたことがわかった。

 環境関連のCAPEX(資本的支出)の開示は、昨今、機関投資家から新たに求められるようになってきている項目。背景には、機関投資家自身のカーボンニュートラル目標の設定で、ファイナンス先企業の設備投資額のモニタリングが要求されてきいることがある。

【参考】【国際】SBTi、金融機関向け基準改定案発表。石炭は例外なく新規ファイナンス禁止。保険も対象(2023年6月16日)

 本田技研工業は、環境関連のCAPEXとOPEXの開示を2016年度の年次報告から開始。先進環境対応車の研究開発投資額は、2016年度が22億6,300万円、2017年度が12億3,200万円、2018年度が43億9,800万円、2019年度が38億2,700万円、2020年度が21億2,800万円、2021年度が90億9,300万円、2022年度が75億7,500万円、そして2023年度が158億2,800万円となった。前年比2倍で、100億円の大台を一気に超えた。

 同社の進環境対応車の研究開発投資は、ライフサイクル全体での削減を対象としている。すでに、ISO14040と14044に準拠する形で、製品のライフサイクルでの環境フットプリントの算出手順を決め、2023年にはドイツのテュフラインランドから第三者認証を取得した。公表されているライフサイクルでの二酸化炭素排出量の算出結果では、素材製造が全体の52.1%、使用段階で28.1%、廃棄で3.7%を占めており、スコープ3が大半を占める。そのため、製品の部材を対象に、リユース、リサイクル材料、バイオマス材料等の技術研究を進めるとともに、2050年までにサステナブル素材使用率を100%にする目標も掲げている。

 さらに、自然資本観点では、生物多様性へのインパクトに関する部材毎の一次評価も実施済み。公表データでは、天然ゴム、銅、鉄、ニッケル、走行時電力で全体の約4分の3を占める。生産拠点毎の生物多様性インパクト評価では、IBATを活用し、世界の自社生産86拠点を対象に、各拠点から半径50km圏内を調査対象とし、IUCNレッドリストの絶滅危惧種が生息するエリアとの近接状況を整理した。その上で、IBATのKBA、WDPA、STARの指標を用いて、総合的に評価した。

 同社は7月4日には、燃料タンク等を手掛ける八千代工業の株式をインド企業に売却することも発表している。本田技研工業は現在、八千代工業の株式50.4%を保有しており、今後10月頃に、公開買付けで完全子会社を計画。その後に議決権の81%に相当する株式を、Samvardhana Motherson International(マザーサン・グループ)傘下のSMRC Automotive Holdings Netherlands(マザーサン)に売却する。

 マザーサン・グループは、四輪車用の内外装樹脂部品を中心にグローバルに事業を展開しており、八千代工業の樹脂成形技術を活用し、事業成長を狙う。また、八千代工業が保有している二輪車向け製品製造の合志技研工業の株式は、本田技研工業に譲渡され、本田技研工業が議決権の95%を保有する形となる。

【参照ページ】Honda ESG Data Book 2023を発行
【参照ページ】八千代工業株式会社の株式に対する公開買付けの開始予定について

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