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【EU】金融当局、運用会社のサステナビリティ検査を一斉開始。グリーンウォッシュも

 欧州証券市場監督局(ESMA)は7月6日、運用会社を対象に、サステナビリティ開示とサステナビリティリスクの統合に関するEU加盟国当局(NCA)との共通監督行動(CSA)を開始したと発表した。ESMAが策定した共通の方法論を用い、EU加盟国当局が検査を実行する。期間は2023年から2024年第3四半期まで。

 今回実施する検査は、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)とEUタクソノミー規則の2つの遵守に関する内容がメイン。譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)指令やオルタナティブ投資ファンド運用会社指令(AIFMD)の関連規定についても検査対象とする。運用会社の遵守状況を評価するとともに、ESMAとして追加規制が必要な分野の特定も狙う。

 加えて、今回の検査では、運用会社の「グリーンウォッシング」に関する情報収集も行う。欧州証券市場監督局(ESMA)、欧州銀行監督局(EBA)、欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)の3つで構成する欧州金融監督機構(ESAs)は2022年11月、金融商品のグリーンウォッシュ規制に向けた証拠収集を開始。パブリックコメントを募集した上で、6月1日には進捗報告を発表している。

【参考】【EU】欧州金融監督機構、金融商品のグリーンウォッシュ規制に向け証拠収集開始(2022年11月19日)

 進捗報告の中では、意図的なグリーンウォッシュだけでなく、故意ではないが結果として生じたグリーンウォッシュについても、グリーンウォッシュ規制の対象とする考えを表明。また、金融商品単位だけでなく、企業単位や、金融サービスでのグリーンウォッシュも防ぐ必要があるとした。グリーンウォッシュの種別では、誤解を招く表現の使用の他、情報を省略もしくは過度に単純化する表現や、曖昧にした表現についても規制対象とする模様。

 グリーンウォッシュが発生する場所では、目論見書等の法定開示書類、自発的な発行書類、ウェブサイトやSNS等でのマーケティング資料、ESG評価、販売会社や金融サービス提供会社が発信する情報、企業内部での商品分類等があるとした。

 欧州の運用会社の間では、意図しないグリーンウォッシュをも規制対象とすることには、反対する動きも出ている。ESAsは、グリーンウォッシュ規制の在り方に関する最終報告書を2024年5月に発表し、欧州委員会に提出する計画。ESMAが今回発表した共通監督行動は、同報告書の完成に向けた重要な情報収集の場となる。

 またESMAは7月11日、目論見書に盛り込むべきサステナビリティ情報に関する内容について、目論見書規則(PR)の解釈文書を発行している。同文書では、目論見書の中で、謳っているサステナビリティ基準に反した投資を実行する場合があること免責事項に記載すべきではないと言及。サステナビリティ関連の用語の定義を適切に示した上で、活用した数式についても目論見書に記載すべきとした。

 ESG債発行での目論見書では、グリーンボンド等の資金使途債に関しては、資金使途となるプロジェクトの評価・選定プロセスを、サステナビリティ・リンクボンドに関しては、KPIやSPTに加え、KPIやSPTの設定背景となった科学的根拠や発行体のサステナビリティ戦略との整合性についても記載することも期待した。

【参照ページ】ESMA and NCAs to assess disclosures and sustainability risks in the investment fund sector
【参照ページ】ESAs put forward common understanding of greenwashing and warn on risks
【参照ページ】ESMA provides insights into the expected sustainability disclosures in prospectuses

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 欧州証券市場監督局(ESMA)は7月6日、運用会社を対象に、サステナビリティ開示とサステナビリティリスクの統合に関するEU加盟国当局(NCA)との共通監督行動(CSA)を開始したと発表した。ESMAが策定した共通の方法論を用い、EU加盟国当局が検査を実行する。期間は2023年から2024年第3四半期まで。

 今回実施する検査は、

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 欧州証券市場監督局(ESMA)は7月6日、運用会社を対象に、サステナビリティ開示とサステナビリティリスクの統合に関するEU加盟国当局(NCA)との共通監督行動(CSA)を開始したと発表した。ESMAが策定した共通の方法論を用い、EU加盟国当局が検査を実行する。期間は2023年から2024年第3四半期まで。

 今回実施する検査は、

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 欧州証券市場監督局(ESMA)は7月6日、運用会社を対象に、サステナビリティ開示とサステナビリティリスクの統合に関するEU加盟国当局(NCA)との共通監督行動(CSA)を開始したと発表した。ESMAが策定した共通の方法論を用い、EU加盟国当局が検査を実行する。期間は2023年から2024年第3四半期まで。

 今回実施する検査は、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)とEUタクソノミー規則の2つの遵守に関する内容がメイン。譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)指令やオルタナティブ投資ファンド運用会社指令(AIFMD)の関連規定についても検査対象とする。運用会社の遵守状況を評価するとともに、ESMAとして追加規制が必要な分野の特定も狙う。

 加えて、今回の検査では、運用会社の「グリーンウォッシング」に関する情報収集も行う。欧州証券市場監督局(ESMA)、欧州銀行監督局(EBA)、欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)の3つで構成する欧州金融監督機構(ESAs)は2022年11月、金融商品のグリーンウォッシュ規制に向けた証拠収集を開始。パブリックコメントを募集した上で、6月1日には進捗報告を発表している。

【参考】【EU】欧州金融監督機構、金融商品のグリーンウォッシュ規制に向け証拠収集開始(2022年11月19日)

 進捗報告の中では、意図的なグリーンウォッシュだけでなく、故意ではないが結果として生じたグリーンウォッシュについても、グリーンウォッシュ規制の対象とする考えを表明。また、金融商品単位だけでなく、企業単位や、金融サービスでのグリーンウォッシュも防ぐ必要があるとした。グリーンウォッシュの種別では、誤解を招く表現の使用の他、情報を省略もしくは過度に単純化する表現や、曖昧にした表現についても規制対象とする模様。

 グリーンウォッシュが発生する場所では、目論見書等の法定開示書類、自発的な発行書類、ウェブサイトやSNS等でのマーケティング資料、ESG評価、販売会社や金融サービス提供会社が発信する情報、企業内部での商品分類等があるとした。

 欧州の運用会社の間では、意図しないグリーンウォッシュをも規制対象とすることには、反対する動きも出ている。ESAsは、グリーンウォッシュ規制の在り方に関する最終報告書を2024年5月に発表し、欧州委員会に提出する計画。ESMAが今回発表した共通監督行動は、同報告書の完成に向けた重要な情報収集の場となる。

 またESMAは7月11日、目論見書に盛り込むべきサステナビリティ情報に関する内容について、目論見書規則(PR)の解釈文書を発行している。同文書では、目論見書の中で、謳っているサステナビリティ基準に反した投資を実行する場合があること免責事項に記載すべきではないと言及。サステナビリティ関連の用語の定義を適切に示した上で、活用した数式についても目論見書に記載すべきとした。

 ESG債発行での目論見書では、グリーンボンド等の資金使途債に関しては、資金使途となるプロジェクトの評価・選定プロセスを、サステナビリティ・リンクボンドに関しては、KPIやSPTに加え、KPIやSPTの設定背景となった科学的根拠や発行体のサステナビリティ戦略との整合性についても記載することも期待した。

【参照ページ】ESMA and NCAs to assess disclosures and sustainability risks in the investment fund sector
【参照ページ】ESAs put forward common understanding of greenwashing and warn on risks
【参照ページ】ESMA provides insights into the expected sustainability disclosures in prospectuses

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