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【アメリカ】バイデン大統領、不動産や雇用の気候変動適応政策パッケージ発表。750億円予算

 米ジョー・バイデン大統領は9月28日、気候変動レジリエンスに関する包括的な政策パッケージを発表した。総額5億米ドル(約750億円)以上の追加資金を投ずる。政策パッケージには一部、気候変動緩和に関する内容も含まれている。

 今回の発表は、全米で25以上の州、準州、先住民族代表が集結する「気候レジリエンス・コミュニティの構築に関するホワイトハウス・サミット」の開催に合わせて行われたもの。米国では2022年だけで、10億米ドル規模の気象・気候災害が23件発生しており、気候変動適応の物理的リスク対策が急務となっている。

 今回の政策パッケージでは、6つの重点分野を定めた。

  • 政策の計画とマネジメントに気候レジリエンスを組み込む
  • 急性の気候ショックと慢性的なストレス要因の双方に対する不動産レジリエンスを高める
  • 資本、投資、イノベーションを動員し、気候レジリエンスをスケールアップする
  • コミュニティが気候リスクを評価し、自らに最も適した気候レジリエンスの解決策を策定するために必要な情報と資源を整える
  • 土地や水域を保全し、持続可能な方法で管理することで、レジリエンスを高めるとともに、その他多くの便益を提供する
  • 地域社会のレジリエンスを高めるだけでなく、より安全で健康的、公平で経済的に強固なものにする

 今回発表した5億米ドル予算では、具体的に10を超える政策を掲げた。まず、不動産の気候レジリエンス向上では、連邦政府施設以外を対象とした、ゼロエミッション・ビル(ZEB)の全国的な標準規格を策定する。基準には気候変動適応の要素も盛り込む。最終的な規格は、ステークホルダーの参加プロセスを経て、2024年初頭に公表される予定。さらに、財務省は、省エネ性能の高い住宅に対する新たな住宅税額控除措置も発表した。環境保護庁(EPA)のエネルギースター認証及びエネルギー省のゼロ・エネルギー・レディ住宅認証を満たす省エネ性能の高い住宅を建設、改築、改修する適格業者に最高5,000米ドルを助成する。

 また、気候適応計画における連邦政府のリーダーシップを促進する。連邦政府機関は、気候変動リスクに物理的資産や業務を適応させるために開発したロードマップである気候適応計画を実施していく。連邦緊急事態管理庁(FEMA)の減災フレームワーク・リーダーシップ・グループは、連邦政府機関と協力して全米の危険リスク削減を推進し、連邦政府の資金で賄われるインフラや施設での気候変動レジリエンスと二酸化炭素排出量削減を達成するため、ベストプラクティス集を発行する。エネルギー省(DOE)は、州政府及び先住民族コミュニティの送電網の強化のため、インフラ雇用促進法から1億6,770万米ドルの予算を執行する。

 地域パートナーシップでは、エネルギー省は、アリゾナ州、カリフォルニア州、メリーランド州、ミシガン州、ノースカロライナ州に、新たに「気候レジリエンス・センター」を設立するため合計500万米ドルを拠出。その一環で、歴史的に黒人の多い大学や少数民族の教育機関を支援する。また、海洋大気庁(NOAA)の気候適応パートナーシップ・プログラム(CAP/RISA)は、新たに8件、総額約390万米ドルの助成金を発表。全国的な適応能力を構築するためのナレッジを検証、拡大、移転するためのプロぐらむを展開する。

 雇用影響への対策では、労働省と商務省は、「グッドジョブ原則」に基づいたプログラムの設計と実施を促進するため、総額1,600万米ドルの「重要セクターにおける雇用の質向上助成金」を発表。気候レジリエントな雇用を創出していく。また、保健社会福祉省(HHS)の気候変動・健康公平局及び戦略的準備・対応局は、気候・健康予測を伝えるポータルサイトを立ち上げ、当月の暑さ、山火事、干ばつ予測を含む郡レベルのインタラクティブな地図と、個人レベルの気候による健康リスクに関する情報を発信していく。海洋大気庁(NOAA)も気候科学データに関するツールを開発・公表するために1,270万米ドルの予算を執行する。

 水系保全では、内務省干拓局は、コロラド川流域を含む西部の地域社会が旱魃や気候変動により強くなるよう、最大3億2,800万米ドルの予算を発表。海水淡水化、水のリサイクルと再利用、小規模な貯水プロジェクトに対して助成金を支給する。

 バイデン大統領は9月20日には、「米国気候部隊(American Climate Corps))」の立ち上げを発表し、政策初年度に様々な世代の米国人20,000人以上を指名したことを明らかにした。米国気候部隊は、再生可能エネルギー、自然保護、気候変動適応等のスキルを若い世代に伝授していくプログラムで、共通のプログラム基準に準拠した体験プログラムを実施すると連邦政府から報酬が得られる。労働省、内務省、農務省、海洋大気庁、エネルギー省は、米国気候部隊の活動を効率的に支援するため「米国気候部隊ハブ」も発足した。

 地方政府レベルでも、カリフォルニア州、コロラド州、メイン州、ミシガン州、ワシントン州の5州が、州レベルでの気候部隊プログラムを発足済み。さらにアリゾナ州、ユタ州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、メリーランド州の5州も発足に向け準備している。

【参照ページ】FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Hosts First-Ever White House Climate Resilience Summit and Releases National Climate Resilience Framework
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Launches American Climate Corps to Train Young People in Clean Energy, Conservation, and Climate Resilience Skills, Create Good-Paying Jobs and Tackle the Climate Crisis

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 米ジョー・バイデン大統領は9月28日、気候変動レジリエンスに関する包括的な政策パッケージを発表した。総額5億米ドル(約750億円)以上の追加資金を投ずる。政策パッケージには一部、気候変動緩和に関する内容も含まれている。

 今回の発表は、

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 米ジョー・バイデン大統領は9月28日、気候変動レジリエンスに関する包括的な政策パッケージを発表した。総額5億米ドル(約750億円)以上の追加資金を投ずる。政策パッケージには一部、気候変動緩和に関する内容も含まれている。

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 米ジョー・バイデン大統領は9月28日、気候変動レジリエンスに関する包括的な政策パッケージを発表した。総額5億米ドル(約750億円)以上の追加資金を投ずる。政策パッケージには一部、気候変動緩和に関する内容も含まれている。

 今回の発表は、全米で25以上の州、準州、先住民族代表が集結する「気候レジリエンス・コミュニティの構築に関するホワイトハウス・サミット」の開催に合わせて行われたもの。米国では2022年だけで、10億米ドル規模の気象・気候災害が23件発生しており、気候変動適応の物理的リスク対策が急務となっている。

 今回の政策パッケージでは、6つの重点分野を定めた。

  • 政策の計画とマネジメントに気候レジリエンスを組み込む
  • 急性の気候ショックと慢性的なストレス要因の双方に対する不動産レジリエンスを高める
  • 資本、投資、イノベーションを動員し、気候レジリエンスをスケールアップする
  • コミュニティが気候リスクを評価し、自らに最も適した気候レジリエンスの解決策を策定するために必要な情報と資源を整える
  • 土地や水域を保全し、持続可能な方法で管理することで、レジリエンスを高めるとともに、その他多くの便益を提供する
  • 地域社会のレジリエンスを高めるだけでなく、より安全で健康的、公平で経済的に強固なものにする

 今回発表した5億米ドル予算では、具体的に10を超える政策を掲げた。まず、不動産の気候レジリエンス向上では、連邦政府施設以外を対象とした、ゼロエミッション・ビル(ZEB)の全国的な標準規格を策定する。基準には気候変動適応の要素も盛り込む。最終的な規格は、ステークホルダーの参加プロセスを経て、2024年初頭に公表される予定。さらに、財務省は、省エネ性能の高い住宅に対する新たな住宅税額控除措置も発表した。環境保護庁(EPA)のエネルギースター認証及びエネルギー省のゼロ・エネルギー・レディ住宅認証を満たす省エネ性能の高い住宅を建設、改築、改修する適格業者に最高5,000米ドルを助成する。

 また、気候適応計画における連邦政府のリーダーシップを促進する。連邦政府機関は、気候変動リスクに物理的資産や業務を適応させるために開発したロードマップである気候適応計画を実施していく。連邦緊急事態管理庁(FEMA)の減災フレームワーク・リーダーシップ・グループは、連邦政府機関と協力して全米の危険リスク削減を推進し、連邦政府の資金で賄われるインフラや施設での気候変動レジリエンスと二酸化炭素排出量削減を達成するため、ベストプラクティス集を発行する。エネルギー省(DOE)は、州政府及び先住民族コミュニティの送電網の強化のため、インフラ雇用促進法から1億6,770万米ドルの予算を執行する。

 地域パートナーシップでは、エネルギー省は、アリゾナ州、カリフォルニア州、メリーランド州、ミシガン州、ノースカロライナ州に、新たに「気候レジリエンス・センター」を設立するため合計500万米ドルを拠出。その一環で、歴史的に黒人の多い大学や少数民族の教育機関を支援する。また、海洋大気庁(NOAA)の気候適応パートナーシップ・プログラム(CAP/RISA)は、新たに8件、総額約390万米ドルの助成金を発表。全国的な適応能力を構築するためのナレッジを検証、拡大、移転するためのプロぐらむを展開する。

 雇用影響への対策では、労働省と商務省は、「グッドジョブ原則」に基づいたプログラムの設計と実施を促進するため、総額1,600万米ドルの「重要セクターにおける雇用の質向上助成金」を発表。気候レジリエントな雇用を創出していく。また、保健社会福祉省(HHS)の気候変動・健康公平局及び戦略的準備・対応局は、気候・健康予測を伝えるポータルサイトを立ち上げ、当月の暑さ、山火事、干ばつ予測を含む郡レベルのインタラクティブな地図と、個人レベルの気候による健康リスクに関する情報を発信していく。海洋大気庁(NOAA)も気候科学データに関するツールを開発・公表するために1,270万米ドルの予算を執行する。

 水系保全では、内務省干拓局は、コロラド川流域を含む西部の地域社会が旱魃や気候変動により強くなるよう、最大3億2,800万米ドルの予算を発表。海水淡水化、水のリサイクルと再利用、小規模な貯水プロジェクトに対して助成金を支給する。

 バイデン大統領は9月20日には、「米国気候部隊(American Climate Corps))」の立ち上げを発表し、政策初年度に様々な世代の米国人20,000人以上を指名したことを明らかにした。米国気候部隊は、再生可能エネルギー、自然保護、気候変動適応等のスキルを若い世代に伝授していくプログラムで、共通のプログラム基準に準拠した体験プログラムを実施すると連邦政府から報酬が得られる。労働省、内務省、農務省、海洋大気庁、エネルギー省は、米国気候部隊の活動を効率的に支援するため「米国気候部隊ハブ」も発足した。

 地方政府レベルでも、カリフォルニア州、コロラド州、メイン州、ミシガン州、ワシントン州の5州が、州レベルでの気候部隊プログラムを発足済み。さらにアリゾナ州、ユタ州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、メリーランド州の5州も発足に向け準備している。

【参照ページ】FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Hosts First-Ever White House Climate Resilience Summit and Releases National Climate Resilience Framework
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Launches American Climate Corps to Train Young People in Clean Energy, Conservation, and Climate Resilience Skills, Create Good-Paying Jobs and Tackle the Climate Crisis

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