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【イタリア】培養肉販売禁止法が成立。植物肉のラベリングも制限。次の焦点はEU判断

 イタリア代議員(下院)は11月16日、培養肉や培養家畜飼料の生産、販売、輸入を禁止する法案を賛成159、反対53の賛成多数で可決した。すでに元老院(上院)を通過しており、同法が成立した。同様の法律制定はイタリアが世界初。違反には10,000ユーロ(約160万円)から60,000ユーロ(約1,000万円)の罰金が科される。

 イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、右派政党「イタリアの同胞(FdI)」を2012年に結成し、2022年9月の総選挙で第1党に躍進。10月22日に首相に就任した。当初からイタリアの食文化を守るため、培養肉党を禁止する政策を掲げていた。フランチェスコ・ロロブリジーダ農相も今回、「イタリアは、合成食品による社会的・経済的リスクから守られた世界初の国となった」と表明した。

 同律は、動物の細胞から作られた合成肉を禁止。また、生産者がラベルに「サラミ」や「ステーキ」等の食肉に関連する単語を使って植物由来の代替肉を説明することも禁止している。

 現在世界で培養肉の販売に許認可を与えている国は米国とシンガポールのみ。EUでも欧州食品安全機関(EFSA)がまだ許可していないため、イタリアでも販売されていない。一方、イタリアの消費者を対象にした調査では、55%が培養肉の購入に関心を持っており、75%が従来の肉の消費を減らす必要があると考えていると回答していた。

 また植物由来の代替肉については、すでにイタリア国民の50%が食しているとみられている。業界調査では、イタリアは代替肉製品で欧州3位の市場となっており、2020年から2022年の間に売上は21%増の6億ユーロ(約1,000億円)にも上るという。代替肉は販売が禁止されるわけではないが、ラベリングに制限が課される影響は少なくないとみられている。

 昆虫プロテインについては、すでに欧州食品安全機関(EFSA)は、ミールワームやコオロギの食用活用に許認可を出している。最近では、紫外線で殺菌したミールワームにも許認可を出したばかり。イタリアのロロブリジーダ農相は3月、昆虫由来のパスタを禁止する意向を掲げていた。

 イタリアの牛肉自給率は現在42.5%。大規模農家組織コルディレッティは、同法成立に向けたロビー活動を主導してきた。下院での投票直前には、同法案に反対する野党モア・ヨーロッパの国会議員2人との間で乱闘騒ぎにもなった。

 EUでは、EU加盟国の立法がEU法に反する場合は、欧州委員会から撤回が求められる。イタリア政府は、今回の法律をEUの精査にかける考えで、有効性を確認できると見込んでいる。一方、反対派は、EUがEU法違反と判断することを期待している。

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 イタリア代議員(下院)は11月16日、培養肉や培養家畜飼料の生産、販売、輸入を禁止する法案を賛成159、反対53の賛成多数で可決した。すでに元老院(上院)を通過しており、同法が成立した。同様の法律制定はイタリアが世界初。違反には10,000ユーロ(約160万円)から60,000ユーロ(約1,000万円)の罰金が科される。

 イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、

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 イタリア代議員(下院)は11月16日、培養肉や培養家畜飼料の生産、販売、輸入を禁止する法案を賛成159、反対53の賛成多数で可決した。すでに元老院(上院)を通過しており、同法が成立した。同様の法律制定はイタリアが世界初。違反には10,000ユーロ(約160万円)から60,000ユーロ(約1,000万円)の罰金が科される。

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 イタリア代議員(下院)は11月16日、培養肉や培養家畜飼料の生産、販売、輸入を禁止する法案を賛成159、反対53の賛成多数で可決した。すでに元老院(上院)を通過しており、同法が成立した。同様の法律制定はイタリアが世界初。違反には10,000ユーロ(約160万円)から60,000ユーロ(約1,000万円)の罰金が科される。

 イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、右派政党「イタリアの同胞(FdI)」を2012年に結成し、2022年9月の総選挙で第1党に躍進。10月22日に首相に就任した。当初からイタリアの食文化を守るため、培養肉党を禁止する政策を掲げていた。フランチェスコ・ロロブリジーダ農相も今回、「イタリアは、合成食品による社会的・経済的リスクから守られた世界初の国となった」と表明した。

 同律は、動物の細胞から作られた合成肉を禁止。また、生産者がラベルに「サラミ」や「ステーキ」等の食肉に関連する単語を使って植物由来の代替肉を説明することも禁止している。

 現在世界で培養肉の販売に許認可を与えている国は米国とシンガポールのみ。EUでも欧州食品安全機関(EFSA)がまだ許可していないため、イタリアでも販売されていない。一方、イタリアの消費者を対象にした調査では、55%が培養肉の購入に関心を持っており、75%が従来の肉の消費を減らす必要があると考えていると回答していた。

 また植物由来の代替肉については、すでにイタリア国民の50%が食しているとみられている。業界調査では、イタリアは代替肉製品で欧州3位の市場となっており、2020年から2022年の間に売上は21%増の6億ユーロ(約1,000億円)にも上るという。代替肉は販売が禁止されるわけではないが、ラベリングに制限が課される影響は少なくないとみられている。

 昆虫プロテインについては、すでに欧州食品安全機関(EFSA)は、ミールワームやコオロギの食用活用に許認可を出している。最近では、紫外線で殺菌したミールワームにも許認可を出したばかり。イタリアのロロブリジーダ農相は3月、昆虫由来のパスタを禁止する意向を掲げていた。

 イタリアの牛肉自給率は現在42.5%。大規模農家組織コルディレッティは、同法成立に向けたロビー活動を主導してきた。下院での投票直前には、同法案に反対する野党モア・ヨーロッパの国会議員2人との間で乱闘騒ぎにもなった。

 EUでは、EU加盟国の立法がEU法に反する場合は、欧州委員会から撤回が求められる。イタリア政府は、今回の法律をEUの精査にかける考えで、有効性を確認できると見込んでいる。一方、反対派は、EUがEU法違反と判断することを期待している。

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