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【中南米】中南米33ヶ国、再エネと電化と大きなポテンシャル。IEA分析

 国際エネルギー機関(IEA)は11月8日、中南米諸国のエネルギー展望をまとめた報告書を発行した。地政学的リスクとエネルギー転換の機運の高まりから、同地域が再生可能エネルギー分野での影響力を強化することが可能だとした。

 同報告書は、中南米33カ国の資源とエネルギー技術に関して包括的に分析したもの。同地域には石油やガス、再生可能エネルギー、重要鉱物等の豊富な資源があり、それらを開発してきた経験があるため、適切な政策を展開することで世界のエネルギー安全保障とクリーンエネルギーへの移行に大きく貢献する可能性があると報告した。

 同地域は、水力発電を含む再生可能エネルギーの発電量の割合が世界平均の2倍の60%と高く、バイオ燃料の主要輸出国にもなっている。石油・天然ガスは世界全体の15%、鉱物の埋蔵量ではリチウムが50%、銅と銀が3分の1以上を所有しており、クリーンエネルギー分野において重要な役割を持つ。


(出所)IEA


(出所)IEA

 33カ国のうち16カ国では、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言し、ほとんどの国でより野心的な国別削減目標(NDC)を提示している。しかし、豊富な資源を持ち、カーボンニュートラル宣言したにも関わらず、現状政策では、陸上輸送に化石燃料を使用し続け、クリーンエネルギーへの転換は限定的と見積もられている。

 同報告書では、各国が発表したコミットメントを実現すれば、10年間で新規のエネルギー需要を全て再生可能エネルギーで満たすことが可能と分析。世界への供給と収益の増加が期待でき、低コストな水素生産やバイオ燃料の生産量が増加、重要鉱物からの長期的な収益は化石燃料からの収益を上回る約2,000億米ドル(約30兆円)に倍増するとした。

 同地域のエネルギー関連の二酸化炭素排出量を削減するために、「再生可能エネルギーへの転換の加速」「産業と輸送の電化」「エネルギーの効率化」「クリーンな調理の実現」の4つの重要なアクションを提言。特に、現在の政策を推進した場合と発表された公約が達成された場合の二酸化炭素排出量のギャップのうち、再生可能エネルギーが40%を占めており、再生可能エネルギーの促進が重要であることを強調した。


(出所)IEA

 同地域への投資の拡大の必要性も主張。各国の公約を達成するためには、クリーンエネルギープロジェクトに対して2030年までに現在の2倍の1,500億米ドル(約22.4兆円)、2050年までに現在の5倍の投資が必要であり、化石燃料とクリーンエネルギーへの投資比率は現在の1対1から、1対4まで増加することになる。石油・ガス事業からのメタン排出量削減についても言及。低コストで約40%を削減できるとした。

【参照ページ】Latin America to play an essential role in the global transition to a more secure and sustainable energy system

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 国際エネルギー機関(IEA)は11月8日、中南米諸国のエネルギー展望をまとめた報告書を発行した。地政学的リスクとエネルギー転換の機運の高まりから、同地域が再生可能エネルギー分野での影響力を強化することが可能だとした。

 同報告書は、

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 国際エネルギー機関(IEA)は11月8日、中南米諸国のエネルギー展望をまとめた報告書を発行した。地政学的リスクとエネルギー転換の機運の高まりから、同地域が再生可能エネルギー分野での影響力を強化することが可能だとした。

 同報告書は、

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 国際エネルギー機関(IEA)は11月8日、中南米諸国のエネルギー展望をまとめた報告書を発行した。地政学的リスクとエネルギー転換の機運の高まりから、同地域が再生可能エネルギー分野での影響力を強化することが可能だとした。

 同報告書は、中南米33カ国の資源とエネルギー技術に関して包括的に分析したもの。同地域には石油やガス、再生可能エネルギー、重要鉱物等の豊富な資源があり、それらを開発してきた経験があるため、適切な政策を展開することで世界のエネルギー安全保障とクリーンエネルギーへの移行に大きく貢献する可能性があると報告した。

 同地域は、水力発電を含む再生可能エネルギーの発電量の割合が世界平均の2倍の60%と高く、バイオ燃料の主要輸出国にもなっている。石油・天然ガスは世界全体の15%、鉱物の埋蔵量ではリチウムが50%、銅と銀が3分の1以上を所有しており、クリーンエネルギー分野において重要な役割を持つ。


(出所)IEA


(出所)IEA

 33カ国のうち16カ国では、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言し、ほとんどの国でより野心的な国別削減目標(NDC)を提示している。しかし、豊富な資源を持ち、カーボンニュートラル宣言したにも関わらず、現状政策では、陸上輸送に化石燃料を使用し続け、クリーンエネルギーへの転換は限定的と見積もられている。

 同報告書では、各国が発表したコミットメントを実現すれば、10年間で新規のエネルギー需要を全て再生可能エネルギーで満たすことが可能と分析。世界への供給と収益の増加が期待でき、低コストな水素生産やバイオ燃料の生産量が増加、重要鉱物からの長期的な収益は化石燃料からの収益を上回る約2,000億米ドル(約30兆円)に倍増するとした。

 同地域のエネルギー関連の二酸化炭素排出量を削減するために、「再生可能エネルギーへの転換の加速」「産業と輸送の電化」「エネルギーの効率化」「クリーンな調理の実現」の4つの重要なアクションを提言。特に、現在の政策を推進した場合と発表された公約が達成された場合の二酸化炭素排出量のギャップのうち、再生可能エネルギーが40%を占めており、再生可能エネルギーの促進が重要であることを強調した。


(出所)IEA

 同地域への投資の拡大の必要性も主張。各国の公約を達成するためには、クリーンエネルギープロジェクトに対して2030年までに現在の2倍の1,500億米ドル(約22.4兆円)、2050年までに現在の5倍の投資が必要であり、化石燃料とクリーンエネルギーへの投資比率は現在の1対1から、1対4まで増加することになる。石油・ガス事業からのメタン排出量削減についても言及。低コストで約40%を削減できるとした。

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