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【国際】WHO、工業生産トランス脂肪酸の廃絶政策でタイやサウジ等5カ国表彰。新国際目標も

 世界保健機関(WHO)は1月29日、工業的に生産されるトランス脂肪酸の廃絶政策で、各国での政策の有効性を讃える初の証明書を5カ国に授与した。WHOは2018年に「2023年末までに世界の食品供給からiTFAを完全に廃絶する」という野心的な目標を設定していた。

 トランス脂肪酸(TFA)は、半固体から固体の脂肪で、工業的に生産されるものと天然に存在するものの2種類がある。TFAの摂取は、心臓発作や心臓病による死亡リスクを高めると考えられている。TFAには健康上の利点は知られておらず、iTFAを多く含む食品(揚げ物、ケーキ、調理済み食品等)は砂糖、脂肪、塩分を多く含むことが多い。

 WHOは2013年、総脂質、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の食品摂取基準を2003年に公表し、その中で、トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%に相当する量よりも少なくするよう勧告をしていた。日本人は1日のエネルギー摂取量の平均が約1,900kcalのため、1%に相当するトランス脂肪酸の量は約2gとなる。

 WHOが2018年に設定した「2023年末までに世界の食品供給からiTFAを完全に廃絶する」目標は、達成されなかった。しかし今回、デンマーク、リトアニア、ポーランド、サウジアラビア、タイの5カ国政府は、世界をリードするiTFA廃絶政策のベストプラクティスを実行していると讃えられた。

 WHOは目下、iTFA廃絶政策のベストプラクティスとして、(1)全食品中の総脂肪100g当たりiTFA2gの法定義務規制を導入、(2)全食品の原材料としての部分水素添加油(トランス脂肪の主原因)の製造または使用を法定禁止の2つのオプションを掲げている。

 WHOは今回、過去5年の進捗状況として、食品中のiTFAに取り組むためのベストプラクティス政策が、すでに53カ国で実施されており、世界人口の46%にあたる37億人の食環境が大幅に改善されたとした。2023年だけでも、エジプト、メキシコ、モルドバ、ナイジェリア、北マケドニア、フィリピン、ウクライナで新たなベストプラクティス政策が有効と判断された。また、2023年11月には直接食品メーカーに対し、自社製品からiFTAを廃絶するよう奨励している。

 WHOは今回、新たに「2025年までに世界全体でiTFAを事実上全廃する新たな改訂版目標」を発表した。

  • 世界のiTFA量の少なくとも90%を占める国々で、ベストプラクティス廃絶政策が採用される。
  • 各地域内のiFTA量の少なくとも70%を占める国で、ベストプラクティス政策が採用される。

 iTFA廃絶認証の次回申請は2024年3月に開始。継続的に申請を受け付ける予定。

 日本ではトランス脂肪酸に関する規制は現在存在していない。農林水産省は、2005年℃から2007年度に実施した調査研究で、日本人が食品からとっているトランス脂肪酸の1人1日当たりの平均量は0.92gから0.96gと推定しており、WHOが勧告する1%に収まっている。厚生労働省は2020年策定の「日本人の食事摂取基準(2020)」の中で、トランス脂肪酸の摂取を、総摂取エネルギー量の1%相当より少なくすることが望ましいとしている。消費者庁は2011年、「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表し、食品事業者に対して、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示する取組を進めるよう求めている。

【参照ページ】WHO awards countries for progress in eliminating industrially produced trans fats for first time

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 世界保健機関(WHO)は1月29日、工業的に生産されるトランス脂肪酸の廃絶政策で、各国での政策の有効性を讃える初の証明書を5カ国に授与した。WHOは2018年に「2023年末までに世界の食品供給からiTFAを完全に廃絶する」という野心的な目標を設定していた。

 トランス脂肪酸(TFA)は、

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 世界保健機関(WHO)は1月29日、工業的に生産されるトランス脂肪酸の廃絶政策で、各国での政策の有効性を讃える初の証明書を5カ国に授与した。WHOは2018年に「2023年末までに世界の食品供給からiTFAを完全に廃絶する」という野心的な目標を設定していた。

 トランス脂肪酸(TFA)は、

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 世界保健機関(WHO)は1月29日、工業的に生産されるトランス脂肪酸の廃絶政策で、各国での政策の有効性を讃える初の証明書を5カ国に授与した。WHOは2018年に「2023年末までに世界の食品供給からiTFAを完全に廃絶する」という野心的な目標を設定していた。

 トランス脂肪酸(TFA)は、半固体から固体の脂肪で、工業的に生産されるものと天然に存在するものの2種類がある。TFAの摂取は、心臓発作や心臓病による死亡リスクを高めると考えられている。TFAには健康上の利点は知られておらず、iTFAを多く含む食品(揚げ物、ケーキ、調理済み食品等)は砂糖、脂肪、塩分を多く含むことが多い。

 WHOは2013年、総脂質、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の食品摂取基準を2003年に公表し、その中で、トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%に相当する量よりも少なくするよう勧告をしていた。日本人は1日のエネルギー摂取量の平均が約1,900kcalのため、1%に相当するトランス脂肪酸の量は約2gとなる。

 WHOが2018年に設定した「2023年末までに世界の食品供給からiTFAを完全に廃絶する」目標は、達成されなかった。しかし今回、デンマーク、リトアニア、ポーランド、サウジアラビア、タイの5カ国政府は、世界をリードするiTFA廃絶政策のベストプラクティスを実行していると讃えられた。

 WHOは目下、iTFA廃絶政策のベストプラクティスとして、(1)全食品中の総脂肪100g当たりiTFA2gの法定義務規制を導入、(2)全食品の原材料としての部分水素添加油(トランス脂肪の主原因)の製造または使用を法定禁止の2つのオプションを掲げている。

 WHOは今回、過去5年の進捗状況として、食品中のiTFAに取り組むためのベストプラクティス政策が、すでに53カ国で実施されており、世界人口の46%にあたる37億人の食環境が大幅に改善されたとした。2023年だけでも、エジプト、メキシコ、モルドバ、ナイジェリア、北マケドニア、フィリピン、ウクライナで新たなベストプラクティス政策が有効と判断された。また、2023年11月には直接食品メーカーに対し、自社製品からiFTAを廃絶するよう奨励している。

 WHOは今回、新たに「2025年までに世界全体でiTFAを事実上全廃する新たな改訂版目標」を発表した。

  • 世界のiTFA量の少なくとも90%を占める国々で、ベストプラクティス廃絶政策が採用される。
  • 各地域内のiFTA量の少なくとも70%を占める国で、ベストプラクティス政策が採用される。

 iTFA廃絶認証の次回申請は2024年3月に開始。継続的に申請を受け付ける予定。

 日本ではトランス脂肪酸に関する規制は現在存在していない。農林水産省は、2005年℃から2007年度に実施した調査研究で、日本人が食品からとっているトランス脂肪酸の1人1日当たりの平均量は0.92gから0.96gと推定しており、WHOが勧告する1%に収まっている。厚生労働省は2020年策定の「日本人の食事摂取基準(2020)」の中で、トランス脂肪酸の摂取を、総摂取エネルギー量の1%相当より少なくすることが望ましいとしている。消費者庁は2011年、「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表し、食品事業者に対して、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示する取組を進めるよう求めている。

【参照ページ】WHO awards countries for progress in eliminating industrially produced trans fats for first time

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