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【EU】アップル、デジタル市場法対応で新運用方針発表。決済やアプリDLで。コアテクノロジー料には批判も

 アップルは1月25日、EUのデジタル市場法(DMA)に基づき「ゲートキーパー」に指定されたことを受け、iOS、Safari、App Store上で提供される第三者アプリの運営方針を変更すると発表した。3月からEU27カ国のユーザー向けに新機能もリリースする。

【参考】【EU】EU理事会、デジタル市場法(DMA)案を可決。同EU規則が成立。6ヶ月後に施行(2022年7月20日)
【参考】【EU】欧州委、デジタル市場法「ゲートキーパー」を最終決定。6社指定。サムスンは外れる(2023年9月7日)

 まず、DMAが同社のアプリダウンロード関連の運用方針に影響を与える点としては、

  • アプリダウンロード:アプリ開発者が従来のApp Store以外の第三者アプリマーケットプレイスからiOSアプリをダウンロードできるようにする。そのため新たなAPIとツールを提供する。
  • 第三者アプリマーケットプレイス:第三者アプリマーケットプレイスを開発するための新たなフレームワークとAPIを提供する。マーケットプレイス開発者は、専用のマーケットプレイスアプリから、他の開発者に代わってアプリをインストールし、アップデートを管理することができようになる。
  • 代替ブラウザエンジン:開発者がブラウザアプリやアプリ内ブラウジング体験を持つアプリにWebKit以外のブラウザエンジンを使用できるようにする。新しいフレームワークとAPIを提供する。但し、システムパフォーマンスやバッテリー寿命への影響等が悪化する可能性がある。
  • 相互運用性:開発者がiPhoneおよびiOSのハードウェアおよびソフトウェア機能との相互運用性に関する追加リクエストを提出できるにする。そのためのリクエストフォームを提供する。

 さらに、非接触型決済「Apple Pay」の運用方針に影響を与える点としては、欧州経済領域(EEA)域内の銀行や財布アプリでNFC技術を使用できようにするため、新たなAPIも提供する。さらに、EU域内では、ユーザーはデフォルトで第三者の非接触決済アプリをデフォルト設定できるようにもする。それに伴い、同社はユーザーにとって生じる新たなリスクに対応するための一連の対策を打つことも伝えたが、リスクは排除できないと言及した。リスク対策としては、iOSアプリの審査(公証)制度の導入、公証で得られた重要情報を提供する「インストールシート」制度、マーケットプレイス開発者の認証制度、マルウェアが含まれていることが発覚したアプリの起動停止ルールの4つを発表した。

 加えて、Safariについては、iOS 17.4以降でユーザーが初めてSafariを開いたときに、デフォルトブラウザを選択する画面を表示する。

 App Storeについても、運用方針が変わる。同時に、ユーザーのリスクが高まることを受け、ユーザーへの新たな通知制度をアプリ開発者に義務付ける。

  • 開発者のアプリ内でペイメントサービスプロバイダ(PSP)を利用し、デジタル商品およびサービスの支払を処理するための新しいオプションを提供する。
  • ユーザーが開発者の外部ウェブサイトでデジタル商品やサービスの決済を完了できるようになる。開発者は、EU域内のユーザーに対し、アプリ外で利用可能なキャンペーンや割引などの情報を提供することもできる。
  • 決済手段の事前通知:ダウンロードしようとしているアプリが代替支払手段を使用している場合に、その旨をユーザに通知する。
  • アプリ内開示シート:アップルとの取引が終了した場合、及び開発者が代替支払手段を使用して取引を行うようユーザに指示した場合に、ユーザに通知する。
  • アプリ審査プロセス:開発者が代替支払手段を利用した取引に関する情報を正確に伝えていることを確認する。
  • データポータビリティの拡大:EU域内のユーザーは、App Storeの利用に関する新たなデータを取得し、認定された第三者にエクスポートすることができるようになる。

 同社は、Apple Store決済以外の代替支払手段許可をDMAによって強要されることについて、今回、代替支払手段を使用しているアプリに関して同社として返金ができず、問題や詐欺、詐欺に遭遇したユーザーをサポートする能力も低下すると表明。問題の報告、ファミリー共有、購入依頼等、App Storeの便利な機能も、これらの取引には反映されず、ユーザーの利便性は低下すると伝えた。支払情報を多くの相手と共有することでリスクも高まるとした。

 同社は、今回の運用方針の改訂に伴い、EU域内で提供されるアプリについての新たな利用規約を用意。既存の開発者は、既存の利用規約と新たな利用規約のいずれかを選択できるが、第三者マーケットプレイスや代替支払手段等の新たな機能を利用するためには、新利用規約への切り替えが必要となる。同時に新利用規約に関しては、App Storeで決済を行うメリットを新たに提供する。App Store上のiOSアプリは、App Storeでの手数料を10%から17%減額し、さらに3%の追加手数料でApp Storeの決済処理機能を使えるようにする。

 同社は同時に、年間100万インストールを超えた場合、最初の年間インストールごとに0.50ユーロを支払う「コアテクノロジー料」制度も発表。こちらはApp Storeと第三者アプリマーケットプレイスの双方が対象となる。これに対し、Spotify等は、「恐喝」と批判する声明を発表。同制度により、無料利用できる人気アプリが廃業に追い込まれるとの懸念も出ている。

【参照ページ】Apple announces changes to iOS, Safari, and the App Store in the European Union

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 アップルは1月25日、EUのデジタル市場法(DMA)に基づき「ゲートキーパー」に指定されたことを受け、iOS、Safari、App Store上で提供される第三者アプリの運営方針を変更すると発表した。3月からEU27カ国のユーザー向けに新機能もリリースする。

【参考】【EU】EU理事会、デジタル市場法(DMA)案を可決。同EU規則が成立。6ヶ月後に施行(2022年7月20日)
【参考】【EU】欧州委、デジタル市場法「ゲートキーパー」を最終決定。6社指定。サムスンは外れる(2023年9月7日)

 まず、

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 アップルは1月25日、EUのデジタル市場法(DMA)に基づき「ゲートキーパー」に指定されたことを受け、iOS、Safari、App Store上で提供される第三者アプリの運営方針を変更すると発表した。3月からEU27カ国のユーザー向けに新機能もリリースする。

【参考】【EU】EU理事会、デジタル市場法(DMA)案を可決。同EU規則が成立。6ヶ月後に施行(2022年7月20日)
【参考】【EU】欧州委、デジタル市場法「ゲートキーパー」を最終決定。6社指定。サムスンは外れる(2023年9月7日)

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 アップルは1月25日、EUのデジタル市場法(DMA)に基づき「ゲートキーパー」に指定されたことを受け、iOS、Safari、App Store上で提供される第三者アプリの運営方針を変更すると発表した。3月からEU27カ国のユーザー向けに新機能もリリースする。

【参考】【EU】EU理事会、デジタル市場法(DMA)案を可決。同EU規則が成立。6ヶ月後に施行(2022年7月20日)
【参考】【EU】欧州委、デジタル市場法「ゲートキーパー」を最終決定。6社指定。サムスンは外れる(2023年9月7日)

 まず、DMAが同社のアプリダウンロード関連の運用方針に影響を与える点としては、

  • アプリダウンロード:アプリ開発者が従来のApp Store以外の第三者アプリマーケットプレイスからiOSアプリをダウンロードできるようにする。そのため新たなAPIとツールを提供する。
  • 第三者アプリマーケットプレイス:第三者アプリマーケットプレイスを開発するための新たなフレームワークとAPIを提供する。マーケットプレイス開発者は、専用のマーケットプレイスアプリから、他の開発者に代わってアプリをインストールし、アップデートを管理することができようになる。
  • 代替ブラウザエンジン:開発者がブラウザアプリやアプリ内ブラウジング体験を持つアプリにWebKit以外のブラウザエンジンを使用できるようにする。新しいフレームワークとAPIを提供する。但し、システムパフォーマンスやバッテリー寿命への影響等が悪化する可能性がある。
  • 相互運用性:開発者がiPhoneおよびiOSのハードウェアおよびソフトウェア機能との相互運用性に関する追加リクエストを提出できるにする。そのためのリクエストフォームを提供する。

 さらに、非接触型決済「Apple Pay」の運用方針に影響を与える点としては、欧州経済領域(EEA)域内の銀行や財布アプリでNFC技術を使用できようにするため、新たなAPIも提供する。さらに、EU域内では、ユーザーはデフォルトで第三者の非接触決済アプリをデフォルト設定できるようにもする。それに伴い、同社はユーザーにとって生じる新たなリスクに対応するための一連の対策を打つことも伝えたが、リスクは排除できないと言及した。リスク対策としては、iOSアプリの審査(公証)制度の導入、公証で得られた重要情報を提供する「インストールシート」制度、マーケットプレイス開発者の認証制度、マルウェアが含まれていることが発覚したアプリの起動停止ルールの4つを発表した。

 加えて、Safariについては、iOS 17.4以降でユーザーが初めてSafariを開いたときに、デフォルトブラウザを選択する画面を表示する。

 App Storeについても、運用方針が変わる。同時に、ユーザーのリスクが高まることを受け、ユーザーへの新たな通知制度をアプリ開発者に義務付ける。

  • 開発者のアプリ内でペイメントサービスプロバイダ(PSP)を利用し、デジタル商品およびサービスの支払を処理するための新しいオプションを提供する。
  • ユーザーが開発者の外部ウェブサイトでデジタル商品やサービスの決済を完了できるようになる。開発者は、EU域内のユーザーに対し、アプリ外で利用可能なキャンペーンや割引などの情報を提供することもできる。
  • 決済手段の事前通知:ダウンロードしようとしているアプリが代替支払手段を使用している場合に、その旨をユーザに通知する。
  • アプリ内開示シート:アップルとの取引が終了した場合、及び開発者が代替支払手段を使用して取引を行うようユーザに指示した場合に、ユーザに通知する。
  • アプリ審査プロセス:開発者が代替支払手段を利用した取引に関する情報を正確に伝えていることを確認する。
  • データポータビリティの拡大:EU域内のユーザーは、App Storeの利用に関する新たなデータを取得し、認定された第三者にエクスポートすることができるようになる。

 同社は、Apple Store決済以外の代替支払手段許可をDMAによって強要されることについて、今回、代替支払手段を使用しているアプリに関して同社として返金ができず、問題や詐欺、詐欺に遭遇したユーザーをサポートする能力も低下すると表明。問題の報告、ファミリー共有、購入依頼等、App Storeの便利な機能も、これらの取引には反映されず、ユーザーの利便性は低下すると伝えた。支払情報を多くの相手と共有することでリスクも高まるとした。

 同社は、今回の運用方針の改訂に伴い、EU域内で提供されるアプリについての新たな利用規約を用意。既存の開発者は、既存の利用規約と新たな利用規約のいずれかを選択できるが、第三者マーケットプレイスや代替支払手段等の新たな機能を利用するためには、新利用規約への切り替えが必要となる。同時に新利用規約に関しては、App Storeで決済を行うメリットを新たに提供する。App Store上のiOSアプリは、App Storeでの手数料を10%から17%減額し、さらに3%の追加手数料でApp Storeの決済処理機能を使えるようにする。

 同社は同時に、年間100万インストールを超えた場合、最初の年間インストールごとに0.50ユーロを支払う「コアテクノロジー料」制度も発表。こちらはApp Storeと第三者アプリマーケットプレイスの双方が対象となる。これに対し、Spotify等は、「恐喝」と批判する声明を発表。同制度により、無料利用できる人気アプリが廃業に追い込まれるとの懸念も出ている。

【参照ページ】Apple announces changes to iOS, Safari, and the App Store in the European Union

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