欧州委員会は9月6日、デジタル市場法(DMA)に基づく「ゲートキーパー」として、アルファベット、アマゾン、アップル、バイトダンス、メタ、マイクロソフトの6社を初めて指定した。7月4日に指定事業者案を通知し、45日間のレビュープロセスを経て、最終決定した。
EUでは、デジタルサービス関連の新ルールとして、デジタルサービス法(DSA)が2022年11月16日、デジタル市場法が2022年11月1日に発効している。デジタルサービス法が、デジタルサービスから消費者を保護するためのルールを規定しているのに対し、デジタル市場法は、競争法の観点から、大手事業者が、他の事業者を不当に不利に扱わず、公平な競争環境を維持するためのルールを規定している。
デジタルサービス法は、インターネットサービス提供者を4段階に分け、最も規制の厳しい「超大規模プラットフォーマー」としてすでに19サービスを指定。新ルールが2024年2月17日から適用される。一方、今回発表したデジタル市場法上の「ゲートキーパー」に課される新ルールは、2024年3月から適用される。
【参考】【EU】欧州委、19サービスを指定プラットフォーマーに指定。デジタルサービス法に基づく義務負う(2023年4月26日)
【参考】【EU】欧州議会、デジタル市場法(DMA)とデジタルサービス法(DSA)を可決。EU理事会での審議へ(2022年7月8日)
今回「ゲートキーパー」に指定されれたのは、アルファベット、アマゾン、アップル、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、ByteDanceの6社。全体で計22サービスが「コア・プラットフォーム・サービス」に指定された。ゲートキーパーは、「コア・プラットフォーム・サービス」に関し、デジタル市場法上のルールを遵守しなければならない。
(出所)EU
最終決定する前の原案では、サムスン電子も同社のインターネットブラウザ「コア・プラットフォーム・サービス」に指定されていたことで、ゲートキーパーに含まれていたが、レビューの結果、同社のインターネットブラウザは要件を満たさないと判断され、結果ゲートキーパーからの指定も外れた。また、アップルの「Gmail」、マイクロソフトの「Outlook.com」も要件を満たさないと判断された。
一方、マイクロソフトの「Bing」「Edge」「Microsoft Advertising」と、アップルの「iMessage」に関しては、各社から提示された反論を評価するためには、追加調査が必要とし、最長5カ月間の調査を実施することを決めた。
また、新たに、アップルの「iPadOS」に関し、市場調査を開始。調査を最長12ヵ月以内に完了し、同様に「コア・プラットフォーム・サービス」指定の是非を判断する。
デジタル市場法のルール適用は、2024年3月からだが、今回ゲートキーパーに指定された企業は6カ月以内に、DMAの各義務をどのように現状で遵守しているかをまとめた詳細な遵守報告書を提出しなければならない。
欧州委員会は、ゲートキーパーがデジタル市場法の定める義務を遵守しない場合、欧州委員会は、当該企業の全世界の総売上高の10%を上限とする課徴金を科すことができる。組織的な違反と判断された場合には、ゲートキーパーに事業またはその一部を売却することを義務付けたり、ゲートキーパーが組織的な違反に関連する追加的なサービスを取得することを禁止する等の追加的な救済措置を採る権限も欧州委員会に与えられている。
【参照ページ】Digital Markets Act: Commission designates six gatekeepers
【参照ページ】Potential gatekeepers notified the Commission and provided relevant information
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