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【国際】FAO・OECD、2025年版農業見通し。持続可能な農業・水産業による生産性向上不可欠

 国連食糧農業機関(FAO)と経済協力開発機構(OECD)は7月15日、農業・水産業の今後10年間の見通しを示した報告書「OECD-FAO Agricultural Outlook 2025-2034」を発行した。同報告書は毎年発行されている。

 同報告書は、国家、地域、グローバルの3つのレベルで、農作物と水産物の市場の展望を包括的に評価。農作物と水産物の総消費量は、2034年までに現在の水準から13%増加する見通し。特に低所得国と中所得国で大きく伸びる。そのうち、中所得国における消費増加の半分は1人当たり消費の増加に起因。一方、低所得国における増加の4分の3は人口増加に起因する。

 とりわけ、インドと東南アジア諸国は、2034年までに世界消費量の増加分の39%を占め、過去10年間の32%から増加する見込み。一方、増加分に占める中国のシェアは13%で、過去10年間の32%から減少する見込み。

 中所得国を中心とした可処分所得の増加により、動物性たんぱく質への食生活の変化が進む見通し。同報告書は、食生活における総カロリーに占める肉・卵類と水産物の割合は、2034年までに世界全体で6%増加すると予測した。下位中間所得国では、世界の平均の4倍となる24%増という高い伸びを示し、これらの地域の1人1日当たりの栄養価の高い食品の摂取量は364kcalに達し、FAOが健康な食生活のコストと手頃さを計算するために使用する「健康な食生活バスケット」で掲げられている水準の300kcalを上回っていく。

 反面、個人間での栄養格差は拡大し、低中所得国では多くの人が適切な栄養へのアクセスに課題を抱え続ける見通し。低所得国では状況がより深刻で、栄養価の高い動物性たんぱく質の1日1人当たり摂取量は143kcalにとどまる。

 需要の増加に伴い、農作物と水産物の生産は、今後10年間でインフレ調整後価格ベースで14%拡大する見通し。特に、中間所得国が生産拡大の中心地となる。中所得国では、イノベーティブな技術の導入、資本投資、肥料・飼料等の投入物の効率的な利用の組み合わせによる改革が進む。農業生産の成長は主に生産性向上が要因となるが、特に現代的な農業技術へのアクセスが制限されているアフリカと南アジアでは、作付面積の拡大や家畜の頭数増加も予想されている。

 農業・畜産・水産業の生産拡大に伴い、関連する農業温室効果ガス排出量は2034年までに6%増加すると見通し。但し、生産性の向上により、原単位排出量は全地域で低下すると予測されている。同報告書では、2034年までに栄養不足が解消され、農業・畜産・水産業関連の温室効果ガス排出量が現在の水準から7%削減するためには、食品生産量の10%増と農業生産性の15%向上が必要となる。

 これらを実現するには、精密(プレシジョン)農業、施肥と水管理の改善、家畜飼料の改良、作物の輪作、混植、堆肥に基づく栄養管理等、低コストで拡張可能な実践方法を普及させていく必要がある。生産性の向上に成功できれば、生産コストの低下につながる模様。反面、小規模農家は、生産性向上の波に乗れなければ、競争力がさらに落ち、実質所得が減少していく。また、実際の価格の動向は、天候ショック、サプライチェーンの混乱、地政学的緊張の影響による変動の影響を受けるとも付言した。

 また同報告書は、食糧や飼料の輸出入は今後も大きく増加していき、2034年までに、世界全体の消費カロリーのうち輸出入の割合が20年前の17%から22%へと大きく増加していく。そのため、国際協力とルールに基づく農業貿易を実現していくことが、各国間の食糧不足と余剰のバランスを取り、価格を安定させ、食糧安全保障、栄養、環境サステナビリティを高めるために不可欠になるとした。

【参照ページ】Emerging economies expected to drive growth in animal-source food consumption and production over the coming decade, according to OECD-FAO Agricultural Outlook 2025-2034

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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