private 【インタビュー】MUFGが国内民間金融機関初のソーシャルボンド発行 〜グローバル水準での資金使途設計〜 2019/12/27 事例を見る

 2018年に国内初の外貨建て公募型グリーンボンドを発行した三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、今度は国内民間金融機関初のソーシャルボンドを発行した。12月6日に発表された発行条件では、発行額9,000万米ドル(約100億円)、年限10年、利率2.847%(UST+104bp)。ソーシャルボンド・ストラクチャリング・エージェントと主幹事は、同社グループの三菱UFJモルガン・スタンレー証券が単独で担った。

 MUFGは、グリーンボンドやソーシャルボンドの発行で、日本初や世界初の事例を相次いで成功させている。今回のソーシャルボンドは、外貨建て国内発行での公募債の形で発行される初のケースでもある。2019年10月には、日本の銀行として初めて豪ドル建てのグリーンボンドも発行し、オフショア(オーストラリア国外)の民間発行としては世界初のケースとなった。

 MUFGの先進的なアクションを裏付ける一つとして、2019年10月に国内企業で初めての包括的なフレームワークとなるグリーン/ソーシャル/サステナビリティボンドフレームワークを策定し、セカンドパーティ・オピニオンを取得したことを挙げることができる。このオピニオンでは、ESG評価機関世界大手Sustainalyticsによって、同社のフレームワークが、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則2018(GBP)、ソーシャルボンド原則2018(SBP)、サステナビリティボンド・ガイドライン2018(SBG)、そして環境省グリーンボンドガイドライン2017年版に適合することが、確認された。

 MUFGには今なにが見えているのか。そして何を考えているのか。MUFG財務企画部CFO室資本政策グループの山田潤世氏と小林亮祐氏に話を伺った。

ESGに対する取組について

夫馬

 MUFGのサステナブルファイナンスに対する取組について教えてください。

小林亮祐氏

MUFG

 当社は2019年5月に「サステナブルファイナンス目標」を設定し、2019年度から2030年までに環境分野で8兆円、社会分野で12兆円、全体で20兆円のファイナンスを実行することを宣言しました。

 環境分野の案件には、再生可能エネルギーやグリーンビルディング、気候変動適応などに向けた融資やプロジェクトファイナンスの組成、グリーンボンドの引受や販売があります。社会分野の案件には、公共インフラや社会インフラサービス等への融資やプロジェクトファイナンス、MUFG地方創生ファンド、ソーシャルボンドの引受や販売があります。

 また、プロジェクトファイナンス目標の設定と同時に、「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定も行いました。その中で、石炭火力発電所の新設に関するファイナンスは原則禁止しました(*筆者注)。森林・パーム油・石炭鉱業向けの案件は留意案件とし、環境・社会への配慮状況を確認することも定め、山頂除去採掘(MTR)方式での炭鉱採掘に関わるファイナンスを禁止しました。

[筆者注] 同フレームワークでは「但し、当該国のエネルギー政策・事情等を踏まえ、OECD 公的輸出信用アレンジメントなどの国際的ガイドラインを参照し、他の実行可能な代替技術等を個別に検討した上で、ファイナンスを取り組む場合があります」としている。

 今回のソーシャルボンドは、サステナブルファイナンスの社会分野12兆円を資金調達面でサポートするものになっています。具体的には、融資やプロジェクトファイナンスの実行を担う三菱UFJ銀行において適格案件に充当していきます。リファイナンスに充当する際のルックバック期間は、36ヶ月間です。

ソーシャルボンドの資金使途

夫馬

 MUFGのフレームワークで設定したソーシャルボンドの資金使途について、もう少し詳しく聞かせてください。

小林氏

 ソーシャルボンドの資金使途としては、医療、教育、雇用創出、手頃な価格の住宅(Affordable Housing)の4分野を設定しました。

 医療向けの対象は3つです。まず、国内外の公的病院。次に、救急医療、災害医療、遠隔医療、周産期医療、小児医療などの社会的弱者にある人々のニーズに応えられる社会医療法人が運営する国内病院。そして、高齢者、障害者、幼児などの社会的弱者の人々のニーズに応えられる社会福祉法人が運営する国内病院です。

 教育向けは、公立学校のみを対象。雇用創出向けは、東日本大震災からの復興を目的とした日本政府の制度融資である「復興特区支援利子補給金制度」と「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」などを利用する事業者への融資を対象とします。手頃な価格の住宅向けは、イングランドの公共住宅当局に登録された公共住宅供給業者のみが対象です。

夫馬

 住宅ではイングランド向けのみとしたのですね。資金使途の設計でいろいろな議論があったことが伺えます。

小林氏

 当社では今後、グリーンボンドやソーシャルボンドの海外市場での発行も予定しています。フレームワークの設計では、…

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