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【アメリカ・EU】米EU貿易技術評議会、AI、量子、6G、半導体、グリーン産業等で協力合意

 米国とEU両政府は4月5日、ベルギーのルーヴェンで第6回米EU貿易技術評議会(TTC)を開催。2年半の協議を経て、AI、量子コンピューティング、6G、半導体、ルール形成等で新たな合意に達した。

 TTCは2021年に米EU首脳会談の場で発足。今回の会合には、米国側は、アントニー・ブリンケン国務長官、ジーナ・ライモンド商務長官、キャサリン・タイ通商代表部が出席。欧州委員会からは、マルグレーテ・ヴェスタガー副委員長、ヴァルディス・ドンブロフスキス副委員長、ティエリー・ブルトン欧州委員が出席した。

 AI分野では、リスクベースのアプローチと、安全で信頼できるAI技術の支援に対する共通のコミットメントを再確認した。G7、経済協力開発機構(OECD)、G20、欧州評議会、国連等での多国間イニシアチブを引き続き調整し、欧州AI室と米AI安全研究所は公式対話の場を持つ。両者で、相互運用可能な国際標準を主導していく考え。さらに、英国、カナダ、ドイツのパートナーとともに、「AI for Development Donar Partnership」で、教育者、起業家、一般市民がAIの可能性を活用できるよう支援するため、アフリカにおける対外支援を加速させ、連携させる機会を引き続き探ることでも合意した。

 量子コンピューティング分野では、両者で「量子タスクフォース」を設立。両者間の研究開発(R&D)のギャップを埋め、量子技術の開発を加速させる。協力分野には、技術準備レベルに関する共通の理解とアプローチの確立、統一ベンチマークの開発、量子技術における重要な構成要素の特定、国際標準の推進等が含まれる。さらに、量子コンピュータが将来の暗号解読の脅威にとなることに備え、デジタル通信ネットワークの安全を確保するための迅速な動員の重要性を確認した。

 6G分野では、「6Gビジョン」を採択。マイクロエレクトロニクス、6GのためのAIとクラウドソリューション、セキュリティとレジリエンス、アフォーダビリティとインクルーシブネス、サステナビリティとエネルギー効率、開放性と相互運用性、効率的な無線周波数帯の利用、標準化プロセス等の技術的課題と研究協力に焦点を当て、両者の研究・イノベーション助成機関間の協力を強化する。

 半導分野では、サプライチェーンの混乱を早期に特定し、補助金の透明性を確保するために協力してきた共同早期警戒メカニズムと透明性メカニズムの2つの行政協定を3年間延長することえで合意。さらに、半導体に含まれるパーフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)の代替物質を見つけるためのAI研究やデジタルツイン研究でも協力することに合意した。また、旧世代のプロセス技術で主に中国で製造されている「レガシー半導体」のグローバルサプライチェーンへの影響評価についても協働を検討する。

 ルール形成分野では、デジタルIDマッピング報告書を発表。米国のNISTデジタル・アイデンティティ・ガイドラインと、EUの域内市場における電子取引のための電子識別および信頼サービスに関する欧州規則に含まれる定義、保証レベル、国際標準への参照を整理。次の段階として、デジタルIDとウォレットの国境を越えた利用を可能にすることを視野に入れ、相互運用性と協力のための潜在的なユースケースの特定に焦点を当てる。両者はすでに、大型車用EV充電スタンドのMW充電システムの国際規格を承認。プラスチックのリサイクルと積層造形に関する規格策定でも協力している。
 
 また今回の会合では、グリーントランジションに不可欠な物品・技術の貿易を促進するため、持続可能な貿易に関する大西洋横断イニシアチブ(TIST)で行われている適合性評価等の作業を確認。さらに、グリーン公共調達に関するベストプラクティスの共同カタログを発行し、太陽光発電のサプライチェーン透明性確保に関する協力を進めることでも合意した。EV(電気自動車)充電インフラでの互換性向上、公正な移行の確保でも合意した。米EU間での補助金競争となっている点についても、競争ではなく、協力して進めていくとの考えで一致した。

 重要鉱物分野では、両者が共同議長を務める「鉱物安全保障パートナーシップ・フォーラム」を発足。カザフスタン、ナミビア、ウクライナ、ウズベキスタンが加盟した。さらに米州、アフリカ、アジア、欧州でも加盟協議が進められている模様。同フォーラムでは、持続可能な重要鉱物の市場展開を加速させるプロジェクトと、重要鉱物サプライチェーンでの高いESG基準の導入を図るプロジェクトの2つを計画している。

 他にも、人権観点で、人権活動家(HRD)が人権と基本的自由の擁護に果たす重要な役割を認識し、オンラインとオフラインでの人権活動家の保護でも協力することで合意。インターネットの閉鎖、違法なモニタリング、オンライン上でのHRDの標的化の撲滅等を具体的な内容として挙げた。

【参照ページ】EU and US continue strong trade and technology cooperation at a time of global challenges
【参照ページ】EU and international partners agree to expand cooperation on critical raw materials
【参照ページ】U.S-EU Joint Statement of the Trade and Technology Council

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 米国とEU両政府は4月5日、ベルギーのルーヴェンで第6回米EU貿易技術評議会(TTC)を開催。2年半の協議を経て、AI、量子コンピューティング、6G、半導体、ルール形成等で新たな合意に達した。

 TTCは2021年に米EU首脳会談の場で発足。今回の会合には、

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 米国とEU両政府は4月5日、ベルギーのルーヴェンで第6回米EU貿易技術評議会(TTC)を開催。2年半の協議を経て、AI、量子コンピューティング、6G、半導体、ルール形成等で新たな合意に達した。

 TTCは2021年に米EU首脳会談の場で発足。今回の会合には、

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 米国とEU両政府は4月5日、ベルギーのルーヴェンで第6回米EU貿易技術評議会(TTC)を開催。2年半の協議を経て、AI、量子コンピューティング、6G、半導体、ルール形成等で新たな合意に達した。

 TTCは2021年に米EU首脳会談の場で発足。今回の会合には、米国側は、アントニー・ブリンケン国務長官、ジーナ・ライモンド商務長官、キャサリン・タイ通商代表部が出席。欧州委員会からは、マルグレーテ・ヴェスタガー副委員長、ヴァルディス・ドンブロフスキス副委員長、ティエリー・ブルトン欧州委員が出席した。

 AI分野では、リスクベースのアプローチと、安全で信頼できるAI技術の支援に対する共通のコミットメントを再確認した。G7、経済協力開発機構(OECD)、G20、欧州評議会、国連等での多国間イニシアチブを引き続き調整し、欧州AI室と米AI安全研究所は公式対話の場を持つ。両者で、相互運用可能な国際標準を主導していく考え。さらに、英国、カナダ、ドイツのパートナーとともに、「AI for Development Donar Partnership」で、教育者、起業家、一般市民がAIの可能性を活用できるよう支援するため、アフリカにおける対外支援を加速させ、連携させる機会を引き続き探ることでも合意した。

 量子コンピューティング分野では、両者で「量子タスクフォース」を設立。両者間の研究開発(R&D)のギャップを埋め、量子技術の開発を加速させる。協力分野には、技術準備レベルに関する共通の理解とアプローチの確立、統一ベンチマークの開発、量子技術における重要な構成要素の特定、国際標準の推進等が含まれる。さらに、量子コンピュータが将来の暗号解読の脅威にとなることに備え、デジタル通信ネットワークの安全を確保するための迅速な動員の重要性を確認した。

 6G分野では、「6Gビジョン」を採択。マイクロエレクトロニクス、6GのためのAIとクラウドソリューション、セキュリティとレジリエンス、アフォーダビリティとインクルーシブネス、サステナビリティとエネルギー効率、開放性と相互運用性、効率的な無線周波数帯の利用、標準化プロセス等の技術的課題と研究協力に焦点を当て、両者の研究・イノベーション助成機関間の協力を強化する。

 半導分野では、サプライチェーンの混乱を早期に特定し、補助金の透明性を確保するために協力してきた共同早期警戒メカニズムと透明性メカニズムの2つの行政協定を3年間延長することえで合意。さらに、半導体に含まれるパーフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)の代替物質を見つけるためのAI研究やデジタルツイン研究でも協力することに合意した。また、旧世代のプロセス技術で主に中国で製造されている「レガシー半導体」のグローバルサプライチェーンへの影響評価についても協働を検討する。

 ルール形成分野では、デジタルIDマッピング報告書を発表。米国のNISTデジタル・アイデンティティ・ガイドラインと、EUの域内市場における電子取引のための電子識別および信頼サービスに関する欧州規則に含まれる定義、保証レベル、国際標準への参照を整理。次の段階として、デジタルIDとウォレットの国境を越えた利用を可能にすることを視野に入れ、相互運用性と協力のための潜在的なユースケースの特定に焦点を当てる。両者はすでに、大型車用EV充電スタンドのMW充電システムの国際規格を承認。プラスチックのリサイクルと積層造形に関する規格策定でも協力している。
 
 また今回の会合では、グリーントランジションに不可欠な物品・技術の貿易を促進するため、持続可能な貿易に関する大西洋横断イニシアチブ(TIST)で行われている適合性評価等の作業を確認。さらに、グリーン公共調達に関するベストプラクティスの共同カタログを発行し、太陽光発電のサプライチェーン透明性確保に関する協力を進めることでも合意した。EV(電気自動車)充電インフラでの互換性向上、公正な移行の確保でも合意した。米EU間での補助金競争となっている点についても、競争ではなく、協力して進めていくとの考えで一致した。

 重要鉱物分野では、両者が共同議長を務める「鉱物安全保障パートナーシップ・フォーラム」を発足。カザフスタン、ナミビア、ウクライナ、ウズベキスタンが加盟した。さらに米州、アフリカ、アジア、欧州でも加盟協議が進められている模様。同フォーラムでは、持続可能な重要鉱物の市場展開を加速させるプロジェクトと、重要鉱物サプライチェーンでの高いESG基準の導入を図るプロジェクトの2つを計画している。

 他にも、人権観点で、人権活動家(HRD)が人権と基本的自由の擁護に果たす重要な役割を認識し、オンラインとオフラインでの人権活動家の保護でも協力することで合意。インターネットの閉鎖、違法なモニタリング、オンライン上でのHRDの標的化の撲滅等を具体的な内容として挙げた。

【参照ページ】EU and US continue strong trade and technology cooperation at a time of global challenges
【参照ページ】EU and international partners agree to expand cooperation on critical raw materials
【参照ページ】U.S-EU Joint Statement of the Trade and Technology Council

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