Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】2018年の大気中CO2濃度407.8ppmで過去最高。CO2排出量も過去最大の55.3Gt。国連報告

 世界気象機関(WMO)は11月25日、大気中の二酸化炭素濃度を分析した年次報告書「Greenhouse Gas Bulletin」の2019年版を公表した。2018年の大気中二酸化炭素濃度は過去最高値の407.8ppmとなった。同報告書は2006年から毎年公表されており、今年で15回目。

 同報告書によると、2018年の濃度は、1750年の産業革命以前と比べ47%増加。さらに増加速度も増している。WMOは、二酸化炭素による温室効果は、温室効果ガス(GHG)全体の効果の80%を占め、地球温暖化に大きな影響を及ぼしているとした

 またWMOは、二酸化炭素濃度の増加が人為起源かどうかを検証するため、放射性同位体比率を測定している。化石燃料に含まれる炭素は、植物から変成するまでの長い年月を経て放射性崩壊が進んでいるため、放射性同位体は含まれない。他方、自然に存在するCO2には一定量の放射性同位体が存在する。そのため、化石燃料の燃焼によって二酸化炭素濃度が増加しているとすれば、待機中の炭素放射性同位体比が下がることになる。WMOはこの大気中の炭素同位体比を測定し、その比が減少していることを確認。二酸化炭素濃度の増加は人為起源だと結論づけている。


(出所)WMO

 また、メタンと亜酸化窒素(N2O)等の他の温室効果ガスについても、大気中濃度が増加していると指摘。メタン濃度は1,869ppbと過去最高値に達し、増加の60%が人為起源だと分析。亜酸化窒素も、331.1ppbと過去最高値を記録し、これまで以上の速度で増加しているとした。

 一方、国連環境計画(UNEP)は11月26日、二酸化炭素排出量を分析した年次報告書「Emissions Gap Report」の2019年版を公表した。パリ協定下で各国が設定した自主目標(NDC)を達成したとしても、今世紀末には気温が産業革命前から3.2℃上昇すると推定。1.5℃に抑えるためには、2020年から2030年までに毎年7.6%削減しなければならないとした。同報告書は2010年から毎年発表されている。

 同報告書によると、2018年の二酸化炭素排出量は55.3Gtと過去最高。特にG20諸国からの排出量は全体の78%を占めるが、20ヵ国のうち15ヵ国は二酸化炭素排出量を将来ゼロにする目標を掲げていないと酷評した。世界が1.5℃目標を達成するには、2030年までに現行の国別自主目標(NDC)よりもさらに32Gt削減しなければならず、削減率に換算すると毎年7.6%の削減が必要。NDCと比較すると目標を5倍にまで引き上げなければならない。

 UNEPは、排出量削減のための技術や政策知見は既に豊富に存在しており、今すぐ行動に移す必要があると緊迫感を伝えた。

 さらに、UNEPとストックホルム環境研究所(SEI)等の研究機関は11月20日、1.5℃目標と各国の化石燃料政策の乖離を指摘した報告書「Production Gap Report」を共同で発表した。同報告書は、「Emission Gap Report」を補完するもので、今年初めて発表された。

 同報告書をまとめたのは、UNEP、SEI、国際シンクタンクInternational Institute for Sustainable Development(IISD)、英Overseas Development Institute(ODI)、ノルウェーCICERO、米Climate Analytics。

 同報告書は、現行の投資計画のままだと、2030年時点の世界全体の化石燃料採掘量が、気温を2℃上昇に抑えるための1.5倍、1.5℃上昇に抑えるための2.2倍になる指摘。特に、石炭は1.5℃目標に比べ3.8倍の量を採掘しようとしていると分析した。石油・ガスでも、2℃目標に比べ2040年までに1.4倍から1.5倍になる見込み。

 また、各国政府の自主的削減目標(NDC)の矛盾も突いた。現行の投資計画は、NDCと比べても、石炭で17%、石油で10%、天然ガスで5%上回っており、政府を痛烈に批判した。

【参照ページ】Greenhouse gas concentrations in atmosphere reach yet another high
【参照ページ】Cut global emissions by 7.6 percent every year for next decade to meet 1.5°C Paris target – UN report
【参照ページ】World’s governments plan to produce 120% more fossil fuels by 2030 than can be burned under 1.5°C warming

 世界気象機関(WMO)は11月25日、大気中の二酸化炭素濃度を分析した年次報告書「Greenhouse Gas Bulletin」の2019年版を公表した。2018年の大気中二酸化炭素濃度は過去最高値の407.8ppmとなった。同報告書は2006年から毎年公表されており、今年で15回目。

 同報告書によると、2018年の濃度は、1750年の産業革命以前と比べ47%増加。さらに増加速度も増している。WMOは、二酸化炭素による温室効果は、温室効果ガス(GHG)全体の効果の80%を占め、地球温暖化に大きな影響を及ぼしているとした

 またWMOは、二酸化炭素濃度の増加が人為起源かどうかを検証するため、放射性同位体比率を測定している。化石燃料に含まれる炭素は、植物から変成するまでの長い年月を経て放射性崩壊が進んでいるため、放射性同位体は含まれない。他方、自然に存在するCO2には一定量の放射性同位体が存在する。そのため、化石燃料の燃焼によって二酸化炭素濃度が増加しているとすれば、待機中の炭素放射性同位体比が下がることになる。WMOはこの大気中の炭素同位体比を測定し、その比が減少していることを確認。二酸化炭素濃度の増加は人為起源だと結論づけている。


(出所)WMO

 また、メタンと亜酸化窒素(N2O)等の他の温室効果ガスについても、大気中濃度が増加していると指摘。メタン濃度は1,869ppbと過去最高値に達し、増加の60%が人為起源だと分析。亜酸化窒素も、331.1ppbと過去最高値を記録し、これまで以上の速度で増加しているとした。

 一方、国連環境計画(UNEP)は11月26日、二酸化炭素排出量を分析した年次報告書「Emissions Gap Report」の2019年版を公表した。パリ協定下で各国が設定した自主目標(NDC)を達成したとしても、今世紀末には気温が産業革命前から3.2℃上昇すると推定。1.5℃に抑えるためには、2020年から2030年までに毎年7.6%削減しなければならないとした。同報告書は2010年から毎年発表されている。

 同報告書によると、2018年の二酸化炭素排出量は55.3Gtと過去最高。特にG20諸国からの排出量は全体の78%を占めるが、20ヵ国のうち15ヵ国は二酸化炭素排出量を将来ゼロにする目標を掲げていないと酷評した。世界が1.5℃目標を達成するには、2030年までに現行の国別自主目標(NDC)よりもさらに32Gt削減しなければならず、削減率に換算すると毎年7.6%の削減が必要。NDCと比較すると目標を5倍にまで引き上げなければならない。

 UNEPは、排出量削減のための技術や政策知見は既に豊富に存在しており、今すぐ行動に移す必要があると緊迫感を伝えた。

 さらに、UNEPとストックホルム環境研究所(SEI)等の研究機関は11月20日、1.5℃目標と各国の化石燃料政策の乖離を指摘した報告書「Production Gap Report」を共同で発表した。同報告書は、「Emission Gap Report」を補完するもので、今年初めて発表された。

 同報告書をまとめたのは、UNEP、SEI、国際シンクタンクInternational Institute for Sustainable Development(IISD)、英Overseas Development Institute(ODI)、ノルウェーCICERO、米Climate Analytics。

 同報告書は、現行の投資計画のままだと、2030年時点の世界全体の化石燃料採掘量が、気温を2℃上昇に抑えるための1.5倍、1.5℃上昇に抑えるための2.2倍になる指摘。特に、石炭は1.5℃目標に比べ3.8倍の量を採掘しようとしていると分析した。石油・ガスでも、2℃目標に比べ2040年までに1.4倍から1.5倍になる見込み。

 また、各国政府の自主的削減目標(NDC)の矛盾も突いた。現行の投資計画は、NDCと比べても、石炭で17%、石油で10%、天然ガスで5%上回っており、政府を痛烈に批判した。

【参照ページ】Greenhouse gas concentrations in atmosphere reach yet another high
【参照ページ】Cut global emissions by 7.6 percent every year for next decade to meet 1.5°C Paris target – UN report
【参照ページ】World’s governments plan to produce 120% more fossil fuels by 2030 than can be burned under 1.5°C warming

 世界気象機関(WMO)は11月25日、大気中の二酸化炭素濃度を分析した年次報告書「Greenhouse Gas Bulletin」の2019年版を公表した。2018年の大気中二酸化炭素濃度は過去最高値の407.8ppmとなった。同報告書は2006年から毎年公表されており、今年で15回目。

 同報告書によると、2018年の濃度は、1750年の産業革命以前と比べ47%増加。さらに増加速度も増している。WMOは、二酸化炭素による温室効果は、温室効果ガス(GHG)全体の効果の80%を占め、地球温暖化に大きな影響を及ぼしているとした

 またWMOは、二酸化炭素濃度の増加が人為起源かどうかを検証するため、放射性同位体比率を測定している。化石燃料に含まれる炭素は、植物から変成するまでの長い年月を経て放射性崩壊が進んでいるため、放射性同位体は含まれない。他方、自然に存在するCO2には一定量の放射性同位体が存在する。そのため、化石燃料の燃焼によって二酸化炭素濃度が増加しているとすれば、待機中の炭素放射性同位体比が下がることになる。WMOはこの大気中の炭素同位体比を測定し、その比が減少していることを確認。二酸化炭素濃度の増加は人為起源だと結論づけている。


(出所)WMO

 また、メタンと亜酸化窒素(N2O)等の他の温室効果ガスについても、大気中濃度が増加していると指摘。メタン濃度は1,869ppbと過去最高値に達し、増加の60%が人為起源だと分析。亜酸化窒素も、331.1ppbと過去最高値を記録し、これまで以上の速度で増加しているとした。

 一方、国連環境計画(UNEP)は11月26日、二酸化炭素排出量を分析した年次報告書「Emissions Gap Report」の2019年版を公表した。パリ協定下で各国が設定した自主目標(NDC)を達成したとしても、今世紀末には気温が産業革命前から3.2℃上昇すると推定。1.5℃に抑えるためには、2020年から2030年までに毎年7.6%削減しなければならないとした。同報告書は2010年から毎年発表されている。

 同報告書によると、2018年の二酸化炭素排出量は55.3Gtと過去最高。特にG20諸国からの排出量は全体の78%を占めるが、20ヵ国のうち15ヵ国は二酸化炭素排出量を将来ゼロにする目標を掲げていないと酷評した。世界が1.5℃目標を達成するには、2030年までに現行の国別自主目標(NDC)よりもさらに32Gt削減しなければならず、削減率に換算すると毎年7.6%の削減が必要。NDCと比較すると目標を5倍にまで引き上げなければならない。

 UNEPは、排出量削減のための技術や政策知見は既に豊富に存在しており、今すぐ行動に移す必要があると緊迫感を伝えた。

 さらに、UNEPとストックホルム環境研究所(SEI)等の研究機関は11月20日、1.5℃目標と各国の化石燃料政策の乖離を指摘した報告書「Production Gap Report」を共同で発表した。同報告書は、「Emission Gap Report」を補完するもので、今年初めて発表された。

 同報告書をまとめたのは、UNEP、SEI、国際シンクタンクInternational Institute for Sustainable Development(IISD)、英Overseas Development Institute(ODI)、ノルウェーCICERO、米Climate Analytics。

 同報告書は、現行の投資計画のままだと、2030年時点の世界全体の化石燃料採掘量が、気温を2℃上昇に抑えるための1.5倍、1.5℃上昇に抑えるための2.2倍になる指摘。特に、石炭は1.5℃目標に比べ3.8倍の量を採掘しようとしていると分析した。石油・ガスでも、2℃目標に比べ2040年までに1.4倍から1.5倍になる見込み。

 また、各国政府の自主的削減目標(NDC)の矛盾も突いた。現行の投資計画は、NDCと比べても、石炭で17%、石油で10%、天然ガスで5%上回っており、政府を痛烈に批判した。

【参照ページ】Greenhouse gas concentrations in atmosphere reach yet another high
【参照ページ】Cut global emissions by 7.6 percent every year for next decade to meet 1.5°C Paris target – UN report
【参照ページ】World’s governments plan to produce 120% more fossil fuels by 2030 than can be burned under 1.5°C warming

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 世界気象機関(WMO)は11月25日、大気中の二酸化炭素濃度を分析した年次報告書「Greenhouse Gas Bulletin」の2019年版を公表した。2018年の大気中二酸化炭素濃度は過去最高値の407.8ppmとなった。同報告書は2006年から毎年公表されており、今年で15回目。

 同報告書によると、2018年の濃度は、1750年の産業革命以前と比べ47%増加。さらに増加速度も増している。WMOは、二酸化炭素による温室効果は、温室効果ガス(GHG)全体の効果の80%を占め、地球温暖化に大きな影響を及ぼしているとした

 またWMOは、二酸化炭素濃度の増加が人為起源かどうかを検証するため、放射性同位体比率を測定している。化石燃料に含まれる炭素は、植物から変成するまでの長い年月を経て放射性崩壊が進んでいるため、放射性同位体は含まれない。他方、自然に存在するCO2には一定量の放射性同位体が存在する。そのため、化石燃料の燃焼によって二酸化炭素濃度が増加しているとすれば、待機中の炭素放射性同位体比が下がることになる。WMOはこの大気中の炭素同位体比を測定し、その比が減少していることを確認。二酸化炭素濃度の増加は人為起源だと結論づけている。


(出所)WMO

 また、メタンと亜酸化窒素(N2O)等の他の温室効果ガスについても、大気中濃度が増加していると指摘。メタン濃度は1,869ppbと過去最高値に達し、増加の60%が人為起源だと分析。亜酸化窒素も、331.1ppbと過去最高値を記録し、これまで以上の速度で増加しているとした。

 一方、国連環境計画(UNEP)は11月26日、二酸化炭素排出量を分析した年次報告書「Emissions Gap Report」の2019年版を公表した。パリ協定下で各国が設定した自主目標(NDC)を達成したとしても、今世紀末には気温が産業革命前から3.2℃上昇すると推定。1.5℃に抑えるためには、2020年から2030年までに毎年7.6%削減しなければならないとした。同報告書は2010年から毎年発表されている。

 同報告書によると、2018年の二酸化炭素排出量は55.3Gtと過去最高。特にG20諸国からの排出量は全体の78%を占めるが、20ヵ国のうち15ヵ国は二酸化炭素排出量を将来ゼロにする目標を掲げていないと酷評した。世界が1.5℃目標を達成するには、2030年までに現行の国別自主目標(NDC)よりもさらに32Gt削減しなければならず、削減率に換算すると毎年7.6%の削減が必要。NDCと比較すると目標を5倍にまで引き上げなければならない。

 UNEPは、排出量削減のための技術や政策知見は既に豊富に存在しており、今すぐ行動に移す必要があると緊迫感を伝えた。

 さらに、UNEPとストックホルム環境研究所(SEI)等の研究機関は11月20日、1.5℃目標と各国の化石燃料政策の乖離を指摘した報告書「Production Gap Report」を共同で発表した。同報告書は、「Emission Gap Report」を補完するもので、今年初めて発表された。

 同報告書をまとめたのは、UNEP、SEI、国際シンクタンクInternational Institute for Sustainable Development(IISD)、英Overseas Development Institute(ODI)、ノルウェーCICERO、米Climate Analytics。

 同報告書は、現行の投資計画のままだと、2030年時点の世界全体の化石燃料採掘量が、気温を2℃上昇に抑えるための1.5倍、1.5℃上昇に抑えるための2.2倍になる指摘。特に、石炭は1.5℃目標に比べ3.8倍の量を採掘しようとしていると分析した。石油・ガスでも、2℃目標に比べ2040年までに1.4倍から1.5倍になる見込み。

 また、各国政府の自主的削減目標(NDC)の矛盾も突いた。現行の投資計画は、NDCと比べても、石炭で17%、石油で10%、天然ガスで5%上回っており、政府を痛烈に批判した。

【参照ページ】Greenhouse gas concentrations in atmosphere reach yet another high
【参照ページ】Cut global emissions by 7.6 percent every year for next decade to meet 1.5°C Paris target – UN report
【参照ページ】World’s governments plan to produce 120% more fossil fuels by 2030 than can be burned under 1.5°C warming