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【イギリス】政府、工業脱炭素戦略発表。2035年までに重工業で67%減。水素供給ハブも建設

 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は3月21日、「工業脱炭素戦略」を発表。同時に、英工業地帯と公共施設での二酸化炭素排出量削減に対し、総額10億ポンド(約1,500億円)の助成金支給先を発表した。

【参考】【イギリス】首相、2030年ガソリン・ディーゼル新車販売禁止方針表明。脱炭素に向け10重点施策も発表(2020年11月19日)

 英政府は、2050年二酸化炭素排出量ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を法定目標としており、それに向けた政策の一環。同省が発表した「新工業脱炭素戦略」は、2035年までに英国の重工業での二酸化炭素排出量を2018年比67%減、2050年までに同90%以上減を目標に設定。英政府としてカーボンニュートラルを明確にすることで、民間の金融機関に安心感を与え、資金を大量に動員する戦略を打ち出した。

 また同戦略では、カーボンプライシング制度の活用、水素・電力・バイオマス等の正しいエネルギー転換の枠組み設定、英国外に産業が移転する「カーボン・リーケージ」の防止、新たな製品スタンダードの策定、政府調達でのインセンティブ付けを設定。さらに、鉄鋼では、鉄鉱石からの製鉄では2035年までのカーボンニュートラルの実現、2030年までに年間3Mtの炭素回収等も盛り込んだ。これらにより2050年までに英国で8万人の雇用を創出できると打ち出した。

 今回発表の助成金では、まず工業地帯の二酸化炭素排出量削減で1億7,100万ポンドを助成。具体的には、マージーサイド、セント・ファーガス、アバディーンシャー、ティーズサイド、ハンバー、サウスウェールズの5つの工業地帯で合計9つのCCUSや水素転換等のプロジェクトに助成する。

 また、病院や学校、議会議事堂等の既存の公共施設の排出量削減には、「公共セクター脱炭素スキーム(PSDS)」を通し、全国429のプロジェクトに対し約9億3,200万ポンドを助成する。基本的には省エネ修繕が対象となる。

 一方、英運輸省は3月17日、ティーズ・ヴァレーで、英国初の水素供給ハブを2025年までに建設すると発表。政府から300万ポンドを助成することを表明した。研究開発センターも設置するととともに、スーパーマーケットや運送会社へ水素を供給し、水素エネルギータウンを構築する。5,000人の新規雇用を見込む。

 さらに、英国は欧州諸国の脱炭素化に向けても積極的な姿勢をみせている。英国の駐リスボン大使館は3月17日、ポルトガル市場で利用可能なグリーンファイナンスについてのレポートを発表した。ポルトガルでは、持続可能な金融市場はまだ発展段階にあるとされ、カーボンニュートラルに向けては、コアビジネスへのグリーンファイナンスの組み込みが不可欠とされている。

【参照ページ】Major blueprint to create green jobs and slash emissions from industry, schools and hospitals
【参照ページ】Sustainable finance markets in the UK and Portugal: a contemporary snapshot
【参照ページ】UK’s first ever hydrogen transport hub kick-started by £3 million government investment

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 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は3月21日、「工業脱炭素戦略」を発表。同時に、英工業地帯と公共施設での二酸化炭素排出量削減に対し、総額10億ポンド(約1,500億円)の助成金支給先を発表した。

【参考】【イギリス】首相、2030年ガソリン・ディーゼル新車販売禁止方針表明。脱炭素に向け10重点施策も発表(2020年11月19日)

 英政府は、

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 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は3月21日、「工業脱炭素戦略」を発表。同時に、英工業地帯と公共施設での二酸化炭素排出量削減に対し、総額10億ポンド(約1,500億円)の助成金支給先を発表した。

【参考】【イギリス】首相、2030年ガソリン・ディーゼル新車販売禁止方針表明。脱炭素に向け10重点施策も発表(2020年11月19日)

 英政府は、

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 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は3月21日、「工業脱炭素戦略」を発表。同時に、英工業地帯と公共施設での二酸化炭素排出量削減に対し、総額10億ポンド(約1,500億円)の助成金支給先を発表した。

【参考】【イギリス】首相、2030年ガソリン・ディーゼル新車販売禁止方針表明。脱炭素に向け10重点施策も発表(2020年11月19日)

 英政府は、2050年二酸化炭素排出量ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を法定目標としており、それに向けた政策の一環。同省が発表した「新工業脱炭素戦略」は、2035年までに英国の重工業での二酸化炭素排出量を2018年比67%減、2050年までに同90%以上減を目標に設定。英政府としてカーボンニュートラルを明確にすることで、民間の金融機関に安心感を与え、資金を大量に動員する戦略を打ち出した。

 また同戦略では、カーボンプライシング制度の活用、水素・電力・バイオマス等の正しいエネルギー転換の枠組み設定、英国外に産業が移転する「カーボン・リーケージ」の防止、新たな製品スタンダードの策定、政府調達でのインセンティブ付けを設定。さらに、鉄鋼では、鉄鉱石からの製鉄では2035年までのカーボンニュートラルの実現、2030年までに年間3Mtの炭素回収等も盛り込んだ。これらにより2050年までに英国で8万人の雇用を創出できると打ち出した。

 今回発表の助成金では、まず工業地帯の二酸化炭素排出量削減で1億7,100万ポンドを助成。具体的には、マージーサイド、セント・ファーガス、アバディーンシャー、ティーズサイド、ハンバー、サウスウェールズの5つの工業地帯で合計9つのCCUSや水素転換等のプロジェクトに助成する。

 また、病院や学校、議会議事堂等の既存の公共施設の排出量削減には、「公共セクター脱炭素スキーム(PSDS)」を通し、全国429のプロジェクトに対し約9億3,200万ポンドを助成する。基本的には省エネ修繕が対象となる。

 一方、英運輸省は3月17日、ティーズ・ヴァレーで、英国初の水素供給ハブを2025年までに建設すると発表。政府から300万ポンドを助成することを表明した。研究開発センターも設置するととともに、スーパーマーケットや運送会社へ水素を供給し、水素エネルギータウンを構築する。5,000人の新規雇用を見込む。

 さらに、英国は欧州諸国の脱炭素化に向けても積極的な姿勢をみせている。英国の駐リスボン大使館は3月17日、ポルトガル市場で利用可能なグリーンファイナンスについてのレポートを発表した。ポルトガルでは、持続可能な金融市場はまだ発展段階にあるとされ、カーボンニュートラルに向けては、コアビジネスへのグリーンファイナンスの組み込みが不可欠とされている。

【参照ページ】Major blueprint to create green jobs and slash emissions from industry, schools and hospitals
【参照ページ】Sustainable finance markets in the UK and Portugal: a contemporary snapshot
【参照ページ】UK’s first ever hydrogen transport hub kick-started by £3 million government investment

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