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【国際】IEA、2022年の電力部門のCO2過去最高レベルと警鐘。石炭火力から再エネシフト加速必要

 国際エネルギー機関(IEA)は7月15日、電力市場レポートの2021年7月号を発行した。電力需要は2020年には新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり1%低下。しかし、2021年に前年比5%増、2022年にも前年比4%増との見通しを示した。その結果、電力部門の二酸化炭素排出量が2022年に過去最高レベルになる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 同レポートでは、電力需要の増加の大部分は、中国とインドを中心としたアジア太平洋地域からもたらされると予測。再生可能エネルギー電源が2021年に8%増、2022年にも6%以上増の見通しがあるものの、電力需要増加分の約半分しか満たせず、結果的に石炭火力発電の使用量が急増する見込み。これにより二酸化炭素排出量が2021年に3.5%、2022年にも2.5%増加し、過去最高になるとおそれがある。

 再生可能エネルギーの増加量が電力需要の伸びを上回ったのは、2019年と2020年の2回のみ。一方、化石燃料による火力発電は、2021年には電力需要の45%、2022年でもまだ40%をカバーしている。その結果、2019年と2020年に減少した電力部門の二酸化炭素排出量は、2021年に3.5%、2022年に2.5%増加し、過去最高になると予測されている。

 IEAは今回、気候変動対策の目標の達成には、より強力な政策措置が必要と提唱。IEAが5月に発表した2050年カーボンニュートラルを実現するためのシナリオ「NZE2050」では、2020年から2025年までの排出量削減のほぼ4分の3が電力部門で行われ、排出量は年平均4.4%減少している。この減少を達成するためには、石炭火力発電が年6%以上減少する必要があるという。

【参考】【国際】IEA、2050年カーボンニュートラルのロードマップ提示。ハイブリッド車2035年廃止、石炭火力2040年廃止(2021年5月19日)

 実際、世界の電力セクターへの投資は、新型コロナウイルス・パンデミックの流行により2020年は横ばいだったが、2021年には5%増加すると予想される。主な支出分野は、再生可能エネルギーで、投資額の45%以上のシェアを占め、他には電力ネットワーク(30%)も含む。加えて2016年から減少していた年間の送配電網投資に関しては、2021年以降の大規模な拡張計画や新型コロナウイルス・パンデミックの経済回復政策により、再び増加すると予想される。その上、2020年の厳しい経済状況にもかかわらず、蓄電施設への投資は40%近く増加。変動する再生可能エネルギーのシェアやハイブリッド・オークションの増加により、送配電網用バッテリーへの投資も60%以上も増加した。


(出所)国際エネルギー機関(IEA)「Electricity Market Report

【参照ページ】Global electricity demand is growing faster than renewables, driving strong increase in generation from fossil fuels

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 国際エネルギー機関(IEA)は7月15日、電力市場レポートの2021年7月号を発行した。電力需要は2020年には新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり1%低下。しかし、2021年に前年比5%増、2022年にも前年比4%増との見通しを示した。その結果、電力部門の二酸化炭素排出量が2022年に過去最高レベルになる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 同レポートでは、

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 国際エネルギー機関(IEA)は7月15日、電力市場レポートの2021年7月号を発行した。電力需要は2020年には新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり1%低下。しかし、2021年に前年比5%増、2022年にも前年比4%増との見通しを示した。その結果、電力部門の二酸化炭素排出量が2022年に過去最高レベルになる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 同レポートでは、

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 国際エネルギー機関(IEA)は7月15日、電力市場レポートの2021年7月号を発行した。電力需要は2020年には新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり1%低下。しかし、2021年に前年比5%増、2022年にも前年比4%増との見通しを示した。その結果、電力部門の二酸化炭素排出量が2022年に過去最高レベルになる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 同レポートでは、電力需要の増加の大部分は、中国とインドを中心としたアジア太平洋地域からもたらされると予測。再生可能エネルギー電源が2021年に8%増、2022年にも6%以上増の見通しがあるものの、電力需要増加分の約半分しか満たせず、結果的に石炭火力発電の使用量が急増する見込み。これにより二酸化炭素排出量が2021年に3.5%、2022年にも2.5%増加し、過去最高になるとおそれがある。

 再生可能エネルギーの増加量が電力需要の伸びを上回ったのは、2019年と2020年の2回のみ。一方、化石燃料による火力発電は、2021年には電力需要の45%、2022年でもまだ40%をカバーしている。その結果、2019年と2020年に減少した電力部門の二酸化炭素排出量は、2021年に3.5%、2022年に2.5%増加し、過去最高になると予測されている。

 IEAは今回、気候変動対策の目標の達成には、より強力な政策措置が必要と提唱。IEAが5月に発表した2050年カーボンニュートラルを実現するためのシナリオ「NZE2050」では、2020年から2025年までの排出量削減のほぼ4分の3が電力部門で行われ、排出量は年平均4.4%減少している。この減少を達成するためには、石炭火力発電が年6%以上減少する必要があるという。

【参考】【国際】IEA、2050年カーボンニュートラルのロードマップ提示。ハイブリッド車2035年廃止、石炭火力2040年廃止(2021年5月19日)

 実際、世界の電力セクターへの投資は、新型コロナウイルス・パンデミックの流行により2020年は横ばいだったが、2021年には5%増加すると予想される。主な支出分野は、再生可能エネルギーで、投資額の45%以上のシェアを占め、他には電力ネットワーク(30%)も含む。加えて2016年から減少していた年間の送配電網投資に関しては、2021年以降の大規模な拡張計画や新型コロナウイルス・パンデミックの経済回復政策により、再び増加すると予想される。その上、2020年の厳しい経済状況にもかかわらず、蓄電施設への投資は40%近く増加。変動する再生可能エネルギーのシェアやハイブリッド・オークションの増加により、送配電網用バッテリーへの投資も60%以上も増加した。


(出所)国際エネルギー機関(IEA)「Electricity Market Report

【参照ページ】Global electricity demand is growing faster than renewables, driving strong increase in generation from fossil fuels

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