Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】BASF、バイオ・農業・リサイクル分野でアクション続々。他社協働と出資を有効活用

 化学世界大手独BASFが、ESGトレンドを捉えたアクションを矢継ぎ早に進め、躍進を続けている。同社とエネルギー世界大手イタリアEniは7月29日、輸送セクターの二酸化炭素排出量削減に向け、バイオディーゼル精製の副産物「グリセリン」からバイオプロパノールを生成する技術の共同開発を行うと発表した。

 BASFは、同社の水素化処理触媒を活用し、高圧下でグリセリンを水素化反応させ、高純度のバイオプロパノールを生産性高く生成可能。バイオプロパノールは、ドロップインバイオ燃料のため、既存のインフラのまま利用でき、二酸化炭素排出量も化石燃料費で65%から75%削減できる。加えて、バイオプロパノールは、バイオエタノールよりオクタン価が高く、代替プレミアムガソリンとなることが期待される。

 またBASFは7月15日、RSPO認証の取得状況に関するレポートの第5版を公表した。2020年には、全パーム油で同認証を取得済み。2025年までには、パーム核油を原料に用いた中間体でも認証を取得する目標も設定した。

 農業分野では、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の「BASFベンチャーキャピタル(BVC)」を通じた投資も進める。7月13日には、インドの水耕栽培スタートアップUrbanKisaanへの投資を発表した。インド市場に注力する事業への投資は同社初。

 UrbanKisaanは、インド・ハイデラバードとバンガロール熱帯気候を有効活用し、従来の水耕栽培の10分の1のコストで、温室と屋内垂直農法での野菜栽培を実現。オンライン食品小売の機運の高まりに乗じ、実店舗やウェブサイト、アプリを介した野菜販売を行う。フランチャイズ販売店の一部では、店舗内での栽培も行っているという。

 さらにBASF子会社のBASFデジタルファーミングは6月29日、総合電機世界大手独ボッシュとのスマート農業合弁会社「ボッシュBASFスマートファーミング(BBSF)」も設立。出資比率は、両社50%ずつ。

 BBSFは、BASFとボッシュが共同開発するスマートスプレーを北米、南米、欧州でリリース。スマートスプレーでは、雑草の識別と防除を自動化し、除草剤使用量を70%削減できる。また同社はすでに、ブラジルとアルゼンチンで「自動播種インテリジェント・プランティング・ソリューション(IPS)システム」の商用を実現。ブラジルでは今後、AI活用栽培管理システム「ザルビオ」も活用するという。

 その他BASFは、リサイクル分野にも注力。7月2日には、米エネルギーZodiac Enterprisesを買収し、貴金属リサイクルの規模を拡大した。米国サウスカロライナ州セネカにある既存の同社工場を補完する他、北米拠点全体の精錬能力の向上を図る。

 6月29日には、バッテリーリサイクルの実証工場を、ドイツ・シュヴァルツハイデにある同社の正極活物質(CAM)工場内に建設することも発表。使用済みリチウムイオン電池や製品スクラップから、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを分別・リサイクルする。

 急速な成長が見込まれる電気自動車(EV)市場を捉え、リサイクルによる正極活物質(CAM)用の金属の持続可能な調達の重要性に着目。EUのバッテリー規制のもと、厳しい政策の施行が予測されるとし、取り組みを進める。

【参照ページ】Eni and BASF launch joint R&D initiative to reduce the CO2 footprint of the transportation sector
【参照ページ】Eni and BASF launch joint R&D initiative to reduce the CO2 footprint of the transportation sector
【参照ページ】BASF publishes fifth Palm Progress Report
【参照ページ】BASF Venture Capital invests in Indian hydroponics pioneer UrbanKisaan
【参照ページ】Bosch and BASF smart farming joint venture gets global green light
【参照ページ】BASF expands chemical catalyst recycling capacity and capability
【参照ページ】BASF to build new battery recycling prototype plant in Schwarzheide, Germany

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 化学世界大手独BASFが、ESGトレンドを捉えたアクションを矢継ぎ早に進め、躍進を続けている。同社とエネルギー世界大手イタリアEniは7月29日、輸送セクターの二酸化炭素排出量削減に向け、バイオディーゼル精製の副産物「グリセリン」からバイオプロパノールを生成する技術の共同開発を行うと発表した。

 BASFは、

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 化学世界大手独BASFが、ESGトレンドを捉えたアクションを矢継ぎ早に進め、躍進を続けている。同社とエネルギー世界大手イタリアEniは7月29日、輸送セクターの二酸化炭素排出量削減に向け、バイオディーゼル精製の副産物「グリセリン」からバイオプロパノールを生成する技術の共同開発を行うと発表した。

 BASFは、

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 化学世界大手独BASFが、ESGトレンドを捉えたアクションを矢継ぎ早に進め、躍進を続けている。同社とエネルギー世界大手イタリアEniは7月29日、輸送セクターの二酸化炭素排出量削減に向け、バイオディーゼル精製の副産物「グリセリン」からバイオプロパノールを生成する技術の共同開発を行うと発表した。

 BASFは、同社の水素化処理触媒を活用し、高圧下でグリセリンを水素化反応させ、高純度のバイオプロパノールを生産性高く生成可能。バイオプロパノールは、ドロップインバイオ燃料のため、既存のインフラのまま利用でき、二酸化炭素排出量も化石燃料費で65%から75%削減できる。加えて、バイオプロパノールは、バイオエタノールよりオクタン価が高く、代替プレミアムガソリンとなることが期待される。

 またBASFは7月15日、RSPO認証の取得状況に関するレポートの第5版を公表した。2020年には、全パーム油で同認証を取得済み。2025年までには、パーム核油を原料に用いた中間体でも認証を取得する目標も設定した。

 農業分野では、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の「BASFベンチャーキャピタル(BVC)」を通じた投資も進める。7月13日には、インドの水耕栽培スタートアップUrbanKisaanへの投資を発表した。インド市場に注力する事業への投資は同社初。

 UrbanKisaanは、インド・ハイデラバードとバンガロール熱帯気候を有効活用し、従来の水耕栽培の10分の1のコストで、温室と屋内垂直農法での野菜栽培を実現。オンライン食品小売の機運の高まりに乗じ、実店舗やウェブサイト、アプリを介した野菜販売を行う。フランチャイズ販売店の一部では、店舗内での栽培も行っているという。

 さらにBASF子会社のBASFデジタルファーミングは6月29日、総合電機世界大手独ボッシュとのスマート農業合弁会社「ボッシュBASFスマートファーミング(BBSF)」も設立。出資比率は、両社50%ずつ。

 BBSFは、BASFとボッシュが共同開発するスマートスプレーを北米、南米、欧州でリリース。スマートスプレーでは、雑草の識別と防除を自動化し、除草剤使用量を70%削減できる。また同社はすでに、ブラジルとアルゼンチンで「自動播種インテリジェント・プランティング・ソリューション(IPS)システム」の商用を実現。ブラジルでは今後、AI活用栽培管理システム「ザルビオ」も活用するという。

 その他BASFは、リサイクル分野にも注力。7月2日には、米エネルギーZodiac Enterprisesを買収し、貴金属リサイクルの規模を拡大した。米国サウスカロライナ州セネカにある既存の同社工場を補完する他、北米拠点全体の精錬能力の向上を図る。

 6月29日には、バッテリーリサイクルの実証工場を、ドイツ・シュヴァルツハイデにある同社の正極活物質(CAM)工場内に建設することも発表。使用済みリチウムイオン電池や製品スクラップから、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを分別・リサイクルする。

 急速な成長が見込まれる電気自動車(EV)市場を捉え、リサイクルによる正極活物質(CAM)用の金属の持続可能な調達の重要性に着目。EUのバッテリー規制のもと、厳しい政策の施行が予測されるとし、取り組みを進める。

【参照ページ】Eni and BASF launch joint R&D initiative to reduce the CO2 footprint of the transportation sector
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【参照ページ】BASF to build new battery recycling prototype plant in Schwarzheide, Germany

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