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【国際】世界気象機関、2022年氷河融解が記録的と発表。CO2濃度過去最大。強い危機感

 世界気象機関(WMO)は4月23日、気候変動の状況を分析した年次報告の2022年版「State of the Global Climate 2022」を発行。2021年の大気中の二酸化炭素濃度が415.7ppmで史上最高値を更新したと発表した。2022年も増加が続く見通し。メタン濃度も年間で過去最大の18ppb増加し1,908ppbとなった。

 2022年の気温は、世界平均で、産業革命前から1.15℃上昇。また、世界の平均気温を一時的に低下させるラニーニャ現象が2020年後半から始まり2022年も継続したが、それでも気温が高止まりしていることに強い危機感を表明した。
(出所)WMO

 氷河の融解は、2022年に記録的な状況となった。2021/2022年の水循環年で、世界氷河モニタリングサービスによって長期観測された約40の氷河の平均質量は1.18m水換算(m w.e.)減少。過去10年間の平均よりはるかに大きな量が失われた。特に、ヨーロッパアルプスでは記録的な氷河の融解が起こった。平均質量の減少が最も多い過去10年のうち、6年が2015年以降に起きており、2022年もその中に入った。

 海面上昇は2022年も続き、記録30年間(1993年から2022年)で毎年3.4±0.3mmと推定。但し、最初の10年と最後の10年で上昇が倍増している。また、2005年から2019年までの期間の分析で、世界の平均海面上昇のうち、氷河、グリーンランド、南極からの陸氷の総損失の寄与度が36%、海洋温暖化による熱膨張の寄与度が55%寄与、陸水の変動ストレージの寄与度は10%未満だったという。

 今回のレポートは、気候変動による社会的影響も記述した。まず、2021年に飢餓人口が増加したデータを紹介。要因の一つとして気候変動を挙げた。次に、非自発的移住では、2022年の旱魃や紛争の影響で6万人以上がソマリアからエチオピアやケニアに越境。シリアで5,000人以上、イエメンでも10,000以上が国内移動を余儀なくされた。パキスタンでは豪雨で国内800万人以上が移住。引き続き約550万人が洪水リスクにさらされている。バングラデシュでも65万以上が国内移住している。2022年初頭にはすでに9,500万人の国内避難民がおり、気象災害で状況が悪化している。

【参考】【国際】FAO等、2021年に飢餓が大幅に悪化と報告。WBCSDは企業に4つの重要施策提言(2022年7月24日)

 またWMOは、1971年から2020年までの地球の熱移動を分析した報告書も発表。気温上昇が引き起こす熱が地球上のどこに蓄熱しているかを説明した。熱の89%は海洋で蓄熱しており、陸地で6%、雪氷圏の融解で4%。大気は1%に過ぎない。

(出所)WMO

 環境省は4月21日、2021年度の日本の二酸化炭素排出量・吸収量の確報値を発表。前年度比2.0%増の1億2,200万t。2013年度比では20.3%減少だった。そのうち吸収量は4,760万tで、4年ぶりに増加に転じた。今回初めてマングローブ林でブルーカーボンの吸収量も算定した。2021年度に上昇した理由は、新型コロナウイルス・パンデミックの経済停滞からの回復を挙げた。

【参照ページ】WMO annual report highlights continuous advance of climate change
【参照ページ】New study shows Earth energy imbalance
【参照ページ】2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出・吸収量(確報値)について

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 世界気象機関(WMO)は4月23日、気候変動の状況を分析した年次報告の2022年版「State of the Global Climate 2022」を発行。2021年の大気中の二酸化炭素濃度が415.7ppmで史上最高値を更新したと発表した。2022年も増加が続く見通し。メタン濃度も年間で過去最大の18ppb増加し1,908ppbとなった。

 2022年の気温は、

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 世界気象機関(WMO)は4月23日、気候変動の状況を分析した年次報告の2022年版「State of the Global Climate 2022」を発行。2021年の大気中の二酸化炭素濃度が415.7ppmで史上最高値を更新したと発表した。2022年も増加が続く見通し。メタン濃度も年間で過去最大の18ppb増加し1,908ppbとなった。

 2022年の気温は、

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 世界気象機関(WMO)は4月23日、気候変動の状況を分析した年次報告の2022年版「State of the Global Climate 2022」を発行。2021年の大気中の二酸化炭素濃度が415.7ppmで史上最高値を更新したと発表した。2022年も増加が続く見通し。メタン濃度も年間で過去最大の18ppb増加し1,908ppbとなった。

 2022年の気温は、世界平均で、産業革命前から1.15℃上昇。また、世界の平均気温を一時的に低下させるラニーニャ現象が2020年後半から始まり2022年も継続したが、それでも気温が高止まりしていることに強い危機感を表明した。
(出所)WMO

 氷河の融解は、2022年に記録的な状況となった。2021/2022年の水循環年で、世界氷河モニタリングサービスによって長期観測された約40の氷河の平均質量は1.18m水換算(m w.e.)減少。過去10年間の平均よりはるかに大きな量が失われた。特に、ヨーロッパアルプスでは記録的な氷河の融解が起こった。平均質量の減少が最も多い過去10年のうち、6年が2015年以降に起きており、2022年もその中に入った。

 海面上昇は2022年も続き、記録30年間(1993年から2022年)で毎年3.4±0.3mmと推定。但し、最初の10年と最後の10年で上昇が倍増している。また、2005年から2019年までの期間の分析で、世界の平均海面上昇のうち、氷河、グリーンランド、南極からの陸氷の総損失の寄与度が36%、海洋温暖化による熱膨張の寄与度が55%寄与、陸水の変動ストレージの寄与度は10%未満だったという。

 今回のレポートは、気候変動による社会的影響も記述した。まず、2021年に飢餓人口が増加したデータを紹介。要因の一つとして気候変動を挙げた。次に、非自発的移住では、2022年の旱魃や紛争の影響で6万人以上がソマリアからエチオピアやケニアに越境。シリアで5,000人以上、イエメンでも10,000以上が国内移動を余儀なくされた。パキスタンでは豪雨で国内800万人以上が移住。引き続き約550万人が洪水リスクにさらされている。バングラデシュでも65万以上が国内移住している。2022年初頭にはすでに9,500万人の国内避難民がおり、気象災害で状況が悪化している。

【参考】【国際】FAO等、2021年に飢餓が大幅に悪化と報告。WBCSDは企業に4つの重要施策提言(2022年7月24日)

 またWMOは、1971年から2020年までの地球の熱移動を分析した報告書も発表。気温上昇が引き起こす熱が地球上のどこに蓄熱しているかを説明した。熱の89%は海洋で蓄熱しており、陸地で6%、雪氷圏の融解で4%。大気は1%に過ぎない。

(出所)WMO

 環境省は4月21日、2021年度の日本の二酸化炭素排出量・吸収量の確報値を発表。前年度比2.0%増の1億2,200万t。2013年度比では20.3%減少だった。そのうち吸収量は4,760万tで、4年ぶりに増加に転じた。今回初めてマングローブ林でブルーカーボンの吸収量も算定した。2021年度に上昇した理由は、新型コロナウイルス・パンデミックの経済停滞からの回復を挙げた。

【参照ページ】WMO annual report highlights continuous advance of climate change
【参照ページ】New study shows Earth energy imbalance
【参照ページ】2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出・吸収量(確報値)について

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