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【国際】FAO等、2021年に飢餓が大幅に悪化と報告。WBCSDは企業に4つの重要施策提言

 持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は7月15日、食料・農業世界大手9社とともに、食料価格のアフォーダビリティを高めるための重要施策4つを提示した。

 今回のプロジェクトに参加した企業は、ダノン、ネスレ、ユニリーバ、ジボダン、DSM、バイエル、コンパス・グループ、グリフィス・フーズ、Kuwaiti Danish Dairy Company(KDD)の9社。いずれも、WBCSDの内部プロジェクト「Food Reform for Sustainability and Health(FReSH)」に設置されたポジティブ・ニュートリション・ワーキンググループに参加している。

 今回の重要施策提示は、7月6日に国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)が合同発行した「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書の2022年版と関連している。世界的に飢餓の影響を受けている人の数は、2021に約4600万人増加し、8億2,800万人まで増加。新型コロナウイルス・パンデミックの発生以降、1億5000万人も増えていることがわかった。

 飢餓人口比率は、世界人口の9.8%にまで増加。2019年の8%、2020年の9.3%しても上昇していることがわかる。2021年には、世界で約23億人(29.3%)が中程度または重度の食糧不足に陥り、新型コロナウイルス・パンデミック前との比較で3億5,000万人増加。さらに重度の食糧不安を抱えている人だけでも9億2,400万人近く(世界人口の11.7%)おり、2年間で2億700万人増加した。2030年の予測では、世界経済が回復したとしても、世界人口の8%を占める6億7,000万人が飢餓となる模様。ウクライナ戦争による食品価格高騰が反対に事態を悪化させている。

 食糧不安の男女格差は2021年も上昇し続け、世界の女性の31.9%が中程度または重度の食糧不安なのに対し、男性は27.6%。ギャップは、2020年の3ポイントから、4ポイント以上へと広がった。

 より広い定義で、健康的な食生活を送ることができない人は、2020年に1億1,200万人増加し、2020年には約31億人となった。背景には、新型コロナウイルス・パンデミックでのロックダウンや、異常気象によるサプライチェーンの混乱、食料価格の高騰を要因に挙げた。

 FAO等は今回、政府は対策として、2013年から2018年に年平均で6,300億米ドルの食料・農業補助金を支給しているが、大半は市場を歪めるだけでなく、農家に届く前に浪費されてしまう補助金効率の悪さ、環境破壊、健康的な食生活でない食糧支援等を引き起こしていると指摘。各国政府が、栄養価の高い食品の生産、供給、消費を奨励し、アフォーダブルな食料へのアクセスを確保していくことが重要とした。

 そこでWBCSDは今回、飢餓人口を増加させている外部要因は、紛争、気候変動、パンデミック、景気後退の4つの言及。また発展途上国での内部要因として、非効率な食料生産、高い生産リスク、農作物・家畜等の栄養価の高い生産物の不十分な多様化を挙げた。

 その上で、企業に対し4つの施策を提言した。まず、気候変動に強い品種の開発と多様な作付によるレジリエンスの強化。次に、フードサプライチェーン全体でのイノベーション能力と知見の活用。具体的には、農家が先進的な農業技術とポストハーベスト技術を導入できるようにし、収穫高にプラスの影響を与え、食品ロスや食品廃棄物を削減すべきとした。さらに、製造および流通経路の効率性を追求することにより、都市部および農村部の消費者に安全で手頃な価格の栄養価の高い食品を提供することができるとした。

 3つ目は、持続可能な食料システムの中で健康的な食生活を支えるために、栄養価の高い食品消費での提唱や協力。4つ目は、価格引下げにとどまらず、経済的不安定に陥りやすい人々の生活改善に役立つプログラムに投資することを挙げた。

【参照ページ】A new paper by WBCSD highlights the role of the food industry in making healthy diets more affordable
【参照ページ】UN Report: Global hunger numbers rose to as many as 828 million in 2021

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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