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【国際】国連環境計画、プラスチック汚染の人体・環境影響で最新調査結果報告。発癌性等

 国連環境計画(UNEP)は5月3日、プラスチック中の化学物質に関する報告書を発表した。プラスチック汚染による環境や人体への影響に加え、資源効率やサーキュラーエコノミーへの悪影響に関する情報を提供した。

 今回の発表は、UNEPがノルウェー、スウェーデン、スイス政府から資金提供を受けて作成したもの。化学物質・廃棄物関連3条約と呼ばれる「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約」の事務局、及び化学汚染に関する国際パネル等の主要な専門家と共同製作した。

 今回の発表では、まず、最新の研究に基づき、13,000以上の化学物質がプラスチック及びプラスチック製造に関連するものとして特定されており、約7,000が潜在的な悪影響を与える可能性がある指摘。このうち約3,200の物質が危険な特性による潜在的なリスクがある物質として特定されているとした。これらの特性として、発癌性、変異原性、生殖毒性、特定標的臓器毒性、内分泌撹乱作用、生態毒性、生物濃縮性、環境残留性、遠隔地への長距離輸送の可能性を含む有害物質の移動性等を挙げた。

 この中でも特に重大な懸念事項があるプラスチックに関連する化学物質として10種類の化学物質群を報告した。特定の難燃剤、紫外線安定剤、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)、フタル酸エステル、ビスフェノール、特定のアルキルフェノールおよびアルキルフェノールエトキシレート、殺生物剤、金属および金属類、多環芳香族炭化水素(PAHs)、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンおよびフラン(PCDDs)等の意図しない物質やリサイクルプラスチックを原料とした製品の汚染物が該当する。

 また、1,000以上の化学物質が食品と接触するプラスチック製の食品接触材料から食品に移行する可能性があることもわかった。これらの化学物質は、玩具等の子供向け製品、放送、電気電子機器、自動車、医療機器等、幅広い分野の製品のバリューチェーンにおけるプラスチックから発見されている。

 世界では毎年約2,200万tのプラスチックが環境の中に放出されている。影響を懸念されている化学物質はプラスチック製造におけるバリューチェーン上だけではなく、廃棄を含めたライフサイクル全体で待機、水、土壌に放出されている可能性がある。女性や子供はプラスチック中に含まれる有害化学物質の影響を受けやすい。胎児の発達期や子供への曝露は、神経発達障害等の障害を引き起こす可能性がある。男性も有害化学物質の複合的な曝露により、男性の生殖能力に悪影響を及ぼすとした。

 同報告書では、プラスチック汚染に対する世界的に協調した対策の実施の必要性を訴えた。人々の健康、生物多様性、環境を保護し、サーキュラーエコノミーへの移行をするための早急なアクションを求めた。 

【参照ページ】Chemicals in Plastics – A Technical Report

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 国連環境計画(UNEP)は5月3日、プラスチック中の化学物質に関する報告書を発表した。プラスチック汚染による環境や人体への影響に加え、資源効率やサーキュラーエコノミーへの悪影響に関する情報を提供した。

 今回の発表は、

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 国連環境計画(UNEP)は5月3日、プラスチック中の化学物質に関する報告書を発表した。プラスチック汚染による環境や人体への影響に加え、資源効率やサーキュラーエコノミーへの悪影響に関する情報を提供した。

 今回の発表は、

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 国連環境計画(UNEP)は5月3日、プラスチック中の化学物質に関する報告書を発表した。プラスチック汚染による環境や人体への影響に加え、資源効率やサーキュラーエコノミーへの悪影響に関する情報を提供した。

 今回の発表は、UNEPがノルウェー、スウェーデン、スイス政府から資金提供を受けて作成したもの。化学物質・廃棄物関連3条約と呼ばれる「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約」の事務局、及び化学汚染に関する国際パネル等の主要な専門家と共同製作した。

 今回の発表では、まず、最新の研究に基づき、13,000以上の化学物質がプラスチック及びプラスチック製造に関連するものとして特定されており、約7,000が潜在的な悪影響を与える可能性がある指摘。このうち約3,200の物質が危険な特性による潜在的なリスクがある物質として特定されているとした。これらの特性として、発癌性、変異原性、生殖毒性、特定標的臓器毒性、内分泌撹乱作用、生態毒性、生物濃縮性、環境残留性、遠隔地への長距離輸送の可能性を含む有害物質の移動性等を挙げた。

 この中でも特に重大な懸念事項があるプラスチックに関連する化学物質として10種類の化学物質群を報告した。特定の難燃剤、紫外線安定剤、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)、フタル酸エステル、ビスフェノール、特定のアルキルフェノールおよびアルキルフェノールエトキシレート、殺生物剤、金属および金属類、多環芳香族炭化水素(PAHs)、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンおよびフラン(PCDDs)等の意図しない物質やリサイクルプラスチックを原料とした製品の汚染物が該当する。

 また、1,000以上の化学物質が食品と接触するプラスチック製の食品接触材料から食品に移行する可能性があることもわかった。これらの化学物質は、玩具等の子供向け製品、放送、電気電子機器、自動車、医療機器等、幅広い分野の製品のバリューチェーンにおけるプラスチックから発見されている。

 世界では毎年約2,200万tのプラスチックが環境の中に放出されている。影響を懸念されている化学物質はプラスチック製造におけるバリューチェーン上だけではなく、廃棄を含めたライフサイクル全体で待機、水、土壌に放出されている可能性がある。女性や子供はプラスチック中に含まれる有害化学物質の影響を受けやすい。胎児の発達期や子供への曝露は、神経発達障害等の障害を引き起こす可能性がある。男性も有害化学物質の複合的な曝露により、男性の生殖能力に悪影響を及ぼすとした。

 同報告書では、プラスチック汚染に対する世界的に協調した対策の実施の必要性を訴えた。人々の健康、生物多様性、環境を保護し、サーキュラーエコノミーへの移行をするための早急なアクションを求めた。 

【参照ページ】Chemicals in Plastics – A Technical Report

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