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【イギリス】政府、発展途上国貿易スキームの運用開始。一般特恵関税制度を代替

 英ビジネス・貿易省は6月19日、新たな発展途上国からの輸入品に関する免税スキーム「発展途上国貿易スキーム(DCTS)」を発表した。同様のスキームは、EUの「一般特恵関税制度(GSP)」が知られており、英国のEU離脱後は、同制度を継承した英国のGSP制度が適用されている。今回開発したDCTSは、英国のGSPの後継の制度となる。

【参考】【EU】欧州委、途上国への一般特恵関税制度(GSP)で環境・社会基準強化の法案提出。2024年から(2021年9月30日)

 DCTSの策定では、EUのGSPからの変更の是非について、関係機関との協議やパブリックコメントの募集をしながら進められた。特に「原産地ルール」「関税」「措置適用の停止」「条件」の4つについて検討された。結果、対象国についてはGSPを引き継ぎ、免税手続きについては簡素化することを決定。一方、措置適用の条件については基準が引き上げられた。

 まず対象国では、EUのGSPと同様に、後発発展途上国(LDC)と定義される47ヶ国と、低所得国(LIC)もしくは低中所得国(LMIC)に分類される18カ国の合計65ヶ国への適用を決定。今後の運用では、世界銀行が3年連続で上位中所得国に分類した場合や、英国との自由貿易協定(FTA)を結んだ場合には、適用が除外される。

 対象国に対する免税措置では、後発発展途上国(LDC)に対しては、武器を除く全品目について数量制限なしで免税措置を適用。低所得国及び低中所得国85%以上の品目について数量制限なしの綿製措置を適用する。EUのGSPで採用されている「EBA(Everything But Arms)」の考えを踏襲したことになる。また、後発発展途上国向けには、専用の製品別規則(PSR)を適用し、制度を使いやすくした。

 条件については、遵守が義務付けられる国際条約の範囲を拡大。27条約の批准を要求する。具体的には、まず、人権に関する条約類。具体的には、ILO29号条約及び2014年議定書、ILO105号条約、ILO138号条約、ILO182号条約、ILO100号条約、ILO111号条約、ILO87号条約、ILO98号条約、障害者権利条約、子供の権利条約、ジェノサイド条約、女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約、国際人権A規約・B規約、拷問等禁止条約。環境関連では、気候変動枠組条約、パリ協定、モントリオール議定書及びキガリ改正、生物多様性条約及びカルタヘナ議定書、バーゼル条約、ストックホルム条約、ロッテルダム条約、ワシントン条約、国連魚類資源協定(UNFSA)。そして、国連腐敗防止条約(UNCAC)も適用される。いずれか一つに重大な違反があると判断された場合は、DCTSの適用が停止となる。

 措置適用の停止(卒業制度)については、発展途上国の商品の競争力が高くなり、英国内での保護が必要でないと判断された場合に、品目毎に措置適用が停止となるもの。検討過程では、どの国が制度適用の対象となりうるかが論点となったが、最終的にインドとインドネシアにみに卒業制度が適用されることになった。それ以外の国は、競争力の有無を問わずDCTSが適用され続ける。

【参照ページ】UK introduces new post-Brexit trading scheme for developing countries
【参照ページ】Developing Countries Trading Scheme: government policy response

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 英ビジネス・貿易省は6月19日、新たな発展途上国からの輸入品に関する免税スキーム「発展途上国貿易スキーム(DCTS)」を発表した。同様のスキームは、EUの「一般特恵関税制度(GSP)」が知られており、英国のEU離脱後は、同制度を継承した英国のGSP制度が適用されている。今回開発したDCTSは、英国のGSPの後継の制度となる。

【参考】【EU】欧州委、途上国への一般特恵関税制度(GSP)で環境・社会基準強化の法案提出。2024年から(2021年9月30日)

 DCTSの策定では、

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 英ビジネス・貿易省は6月19日、新たな発展途上国からの輸入品に関する免税スキーム「発展途上国貿易スキーム(DCTS)」を発表した。同様のスキームは、EUの「一般特恵関税制度(GSP)」が知られており、英国のEU離脱後は、同制度を継承した英国のGSP制度が適用されている。今回開発したDCTSは、英国のGSPの後継の制度となる。

【参考】【EU】欧州委、途上国への一般特恵関税制度(GSP)で環境・社会基準強化の法案提出。2024年から(2021年9月30日)

 DCTSの策定では、

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 英ビジネス・貿易省は6月19日、新たな発展途上国からの輸入品に関する免税スキーム「発展途上国貿易スキーム(DCTS)」を発表した。同様のスキームは、EUの「一般特恵関税制度(GSP)」が知られており、英国のEU離脱後は、同制度を継承した英国のGSP制度が適用されている。今回開発したDCTSは、英国のGSPの後継の制度となる。

【参考】【EU】欧州委、途上国への一般特恵関税制度(GSP)で環境・社会基準強化の法案提出。2024年から(2021年9月30日)

 DCTSの策定では、EUのGSPからの変更の是非について、関係機関との協議やパブリックコメントの募集をしながら進められた。特に「原産地ルール」「関税」「措置適用の停止」「条件」の4つについて検討された。結果、対象国についてはGSPを引き継ぎ、免税手続きについては簡素化することを決定。一方、措置適用の条件については基準が引き上げられた。

 まず対象国では、EUのGSPと同様に、後発発展途上国(LDC)と定義される47ヶ国と、低所得国(LIC)もしくは低中所得国(LMIC)に分類される18カ国の合計65ヶ国への適用を決定。今後の運用では、世界銀行が3年連続で上位中所得国に分類した場合や、英国との自由貿易協定(FTA)を結んだ場合には、適用が除外される。

 対象国に対する免税措置では、後発発展途上国(LDC)に対しては、武器を除く全品目について数量制限なしで免税措置を適用。低所得国及び低中所得国85%以上の品目について数量制限なしの綿製措置を適用する。EUのGSPで採用されている「EBA(Everything But Arms)」の考えを踏襲したことになる。また、後発発展途上国向けには、専用の製品別規則(PSR)を適用し、制度を使いやすくした。

 条件については、遵守が義務付けられる国際条約の範囲を拡大。27条約の批准を要求する。具体的には、まず、人権に関する条約類。具体的には、ILO29号条約及び2014年議定書、ILO105号条約、ILO138号条約、ILO182号条約、ILO100号条約、ILO111号条約、ILO87号条約、ILO98号条約、障害者権利条約、子供の権利条約、ジェノサイド条約、女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約、国際人権A規約・B規約、拷問等禁止条約。環境関連では、気候変動枠組条約、パリ協定、モントリオール議定書及びキガリ改正、生物多様性条約及びカルタヘナ議定書、バーゼル条約、ストックホルム条約、ロッテルダム条約、ワシントン条約、国連魚類資源協定(UNFSA)。そして、国連腐敗防止条約(UNCAC)も適用される。いずれか一つに重大な違反があると判断された場合は、DCTSの適用が停止となる。

 措置適用の停止(卒業制度)については、発展途上国の商品の競争力が高くなり、英国内での保護が必要でないと判断された場合に、品目毎に措置適用が停止となるもの。検討過程では、どの国が制度適用の対象となりうるかが論点となったが、最終的にインドとインドネシアにみに卒業制度が適用されることになった。それ以外の国は、競争力の有無を問わずDCTSが適用され続ける。

【参照ページ】UK introduces new post-Brexit trading scheme for developing countries
【参照ページ】Developing Countries Trading Scheme: government policy response

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