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【国際】NZBA、トランジションファイナンスの信頼性向上で開示指標コンセプト提示

 2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットする銀行のイニシアチブ「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」は12月4日、トランジションファイナンスの質の向上に向けた指標開発でディスカッションペーパーを発行した。

 NZBAは、カーボンニュートラル経済への転換に関連するファイナンスを「トランジションファイナンス」と定義。そのため、日本で強調されているようなグリーンファイナンスとの区別はなく、グリーンファイナンスの中でもカーボンニュートラル達成のための気候変動緩和分野のファイナンスは幅広くトランジションファイナンスとみなされている。

 従来、トランジションファイナンスに関しては、融資総額の目標値や、融資ポートフォリオのカーボンフットプリント(ファイナンスド・エミッション)、セクター毎のターゲット等が指標として用いられる業界慣習が生まれているが、銀行の融資を通じた融資先企業の排出削減貢献の実際の効果については必ずしも可視化されてはいない。特に、排出量の多い企業が、カーボンニュートラルに向けた事業転換を図る上で融資を受ける場合、融資銀行のファイナンスド・エミッションは一部的に増加するか、産業転換を進める上で必要な融資といえる。

 そこで同報告書は、トランジションファイナンスで用いるべき指標として、インプット指標とアウトプット指標、追加的補助指標の3つ区分し整理した。

 まずインプット指標では、トランジションを促すための融資額やエンゲージメント数に関するもの。融資額をカウントする上では、GFANZ等のトランジションファイナンス・ガイダンスに基づいた定義を用い、融資先企業が第三者に承認されたネットゼロ・コミットメントを有するもの、コミットメントはあるが第三者に承認されていないもの、ネットゼロ・コミットメントを立てていないものの3つに分けて行うことを提唱。さらに、資金使途が限定された融資と、法人融資に分けるべきとした。また、融資先企業の移行計画(トランジション・プラン)を精査することを提唱。

【参考】【国際】GFANZ、加盟機関が1年で100以上増。2024年行動計画も発表。COP28(2023年12月8日)

 アウトプット指標は、融資を通じて削減できた排出量のことを指す。具体的には、期待排出量削減(EER)とコミット排出量削減(CER)の2つを提示。EERは、企業側は融資を通じて想定する削減効果のことを指し、CERは融資先企業がコミットしている削減分のことを指す。追加的指標に関しては、インプット指標やアウトプット指標の開示だけでは懐疑的にみられる要素に関し、信頼性を高めるための指標も開示するというもの。

 今回の報告書は、ディスカッションペーパーの形式で出されており、NZBAとしてもまだ検討の途中段階にある。但し、今回提示された概念が徐々にルール化されていく可能性はある。

【参照ページ】Developing Metrics for Transition Finance

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 2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットする銀行のイニシアチブ「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」は12月4日、トランジションファイナンスの質の向上に向けた指標開発でディスカッションペーパーを発行した。

 NZBAは、

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 2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットする銀行のイニシアチブ「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」は12月4日、トランジションファイナンスの質の向上に向けた指標開発でディスカッションペーパーを発行した。

 NZBAは、カーボンニュートラル経済への転換に関連するファイナンスを「トランジションファイナンス」と定義。そのため、日本で強調されているようなグリーンファイナンスとの区別はなく、グリーンファイナンスの中でもカーボンニュートラル達成のための気候変動緩和分野のファイナンスは幅広くトランジションファイナンスとみなされている。

 従来、トランジションファイナンスに関しては、融資総額の目標値や、融資ポートフォリオのカーボンフットプリント(ファイナンスド・エミッション)、セクター毎のターゲット等が指標として用いられる業界慣習が生まれているが、銀行の融資を通じた融資先企業の排出削減貢献の実際の効果については必ずしも可視化されてはいない。特に、排出量の多い企業が、カーボンニュートラルに向けた事業転換を図る上で融資を受ける場合、融資銀行のファイナンスド・エミッションは一部的に増加するか、産業転換を進める上で必要な融資といえる。

 そこで同報告書は、トランジションファイナンスで用いるべき指標として、インプット指標とアウトプット指標、追加的補助指標の3つ区分し整理した。

 まずインプット指標では、トランジションを促すための融資額やエンゲージメント数に関するもの。融資額をカウントする上では、GFANZ等のトランジションファイナンス・ガイダンスに基づいた定義を用い、融資先企業が第三者に承認されたネットゼロ・コミットメントを有するもの、コミットメントはあるが第三者に承認されていないもの、ネットゼロ・コミットメントを立てていないものの3つに分けて行うことを提唱。さらに、資金使途が限定された融資と、法人融資に分けるべきとした。また、融資先企業の移行計画(トランジション・プラン)を精査することを提唱。

【参考】【国際】GFANZ、加盟機関が1年で100以上増。2024年行動計画も発表。COP28(2023年12月8日)

 アウトプット指標は、融資を通じて削減できた排出量のことを指す。具体的には、期待排出量削減(EER)とコミット排出量削減(CER)の2つを提示。EERは、企業側は融資を通じて想定する削減効果のことを指し、CERは融資先企業がコミットしている削減分のことを指す。追加的指標に関しては、インプット指標やアウトプット指標の開示だけでは懐疑的にみられる要素に関し、信頼性を高めるための指標も開示するというもの。

 今回の報告書は、ディスカッションペーパーの形式で出されており、NZBAとしてもまだ検討の途中段階にある。但し、今回提示された概念が徐々にルール化されていく可能性はある。

【参照ページ】Developing Metrics for Transition Finance

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