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【国際】UNEP、代替プロテインで分析報告書。社会からの反発を踏まえ必要な施策を提示

 国連環境計画(UNEP)は12月8日、代替プロテインへの転換に関する報告書を発表した。肉や乳製品から植物由来等の食品に代替することで、二酸化炭素排出量の他、自然(生物多様性)分野の土地劣化や森林破壊、水質・土壌汚染、生物多様性喪失、人畜共通感染症(動物媒介感染症)や薬剤耐性(AMR)のリスク低減、動物福祉の実現につながるとした。同報告書の作成資金はベルギー政府が拠出した。

 現在、畜産セクターは、世界の食品サプライチェーン由来の二酸化炭素排出量の約60%、世界の排出量全体の14%から20%を占めている、さらに食肉消費量は2050年までに50%増加すると予測されている。さらに、赤身肉や加工肉の過剰摂取は、心血管疾患、特定のがん、肥満、糖尿病の原因にもなっている。特に高・中所得国では、肉や乳製品の生産と消費は、人と地球に悪影響に与える程になっているという。

 同報告書は、植物由来の代替肉、動物細胞からの培養肉、微生物による迅速な発酵によって得られるタンパク質が豊富な食品の3つを分析。代替肉は家畜への害を減らし、公衆衛生の向上に貢献しうるが、その他の健康上の利点はまださほど明白にはなっていないとした。培養肉や発酵食品の健康への影響に関するエビデンスもまだ限定的。コスト、嗜好、社会的・文化的受容性は、代替プロテインの浸透に大きな影響を及ぼすとした。実際に、代替プロテインについて、消費者から反発される動きがあることも紹介した。

 同報告書では、食料安全保障、雇用、生活、社会的・ジェンダー的公平性、伝統的文化保護のために必要な政策についても提示した。具体的には、オープンアクセスR&D支援や生産支援等の生産者側の政府支援策に加え、安全面を十分に検討する法規制体系の整備も有効とした。消費者向け施策では、ラベリング、世論向けの情報キャンペーンを挙げた。また、代替プロテインによる環境破壊を抑制するためにも、持続可能な農業、クリーンエネルギーの活用の重視も明記。また、既存の産業への影響を配慮し、公正な移行(ジャスト・トランジション)を確保すべきとした。

 UNEPは、ジビエ等の食肉や魚類等の水生動物ついては分析対象外としたが、新しい技術が漁業セクターを変革する可能性があると指摘。再構築する可能性もある。さらに、再生可能な畜産場、畜産からの排出を削減するための飼料添加物、昆虫プロテイン、豆のような全植物性タンパク源、豆腐のようなビーガン製品、食肉への課税等により、既存の畜産セクターの変革に関しても、各国で進められているとしたが、望ましい規模や速度で影響を達成するまでには至っていないとした。

【参照ページ】Novel meat and dairy alternatives could help curb climate-harming emissions – UN

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 国連環境計画(UNEP)は12月8日、代替プロテインへの転換に関する報告書を発表した。肉や乳製品から植物由来等の食品に代替することで、二酸化炭素排出量の他、自然(生物多様性)分野の土地劣化や森林破壊、水質・土壌汚染、生物多様性喪失、人畜共通感染症(動物媒介感染症)や薬剤耐性(AMR)のリスク低減、動物福祉の実現につながるとした。同報告書の作成資金はベルギー政府が拠出した。

 現在、畜産セクターは、

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 国連環境計画(UNEP)は12月8日、代替プロテインへの転換に関する報告書を発表した。肉や乳製品から植物由来等の食品に代替することで、二酸化炭素排出量の他、自然(生物多様性)分野の土地劣化や森林破壊、水質・土壌汚染、生物多様性喪失、人畜共通感染症(動物媒介感染症)や薬剤耐性(AMR)のリスク低減、動物福祉の実現につながるとした。同報告書の作成資金はベルギー政府が拠出した。

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 国連環境計画(UNEP)は12月8日、代替プロテインへの転換に関する報告書を発表した。肉や乳製品から植物由来等の食品に代替することで、二酸化炭素排出量の他、自然(生物多様性)分野の土地劣化や森林破壊、水質・土壌汚染、生物多様性喪失、人畜共通感染症(動物媒介感染症)や薬剤耐性(AMR)のリスク低減、動物福祉の実現につながるとした。同報告書の作成資金はベルギー政府が拠出した。

 現在、畜産セクターは、世界の食品サプライチェーン由来の二酸化炭素排出量の約60%、世界の排出量全体の14%から20%を占めている、さらに食肉消費量は2050年までに50%増加すると予測されている。さらに、赤身肉や加工肉の過剰摂取は、心血管疾患、特定のがん、肥満、糖尿病の原因にもなっている。特に高・中所得国では、肉や乳製品の生産と消費は、人と地球に悪影響に与える程になっているという。

 同報告書は、植物由来の代替肉、動物細胞からの培養肉、微生物による迅速な発酵によって得られるタンパク質が豊富な食品の3つを分析。代替肉は家畜への害を減らし、公衆衛生の向上に貢献しうるが、その他の健康上の利点はまださほど明白にはなっていないとした。培養肉や発酵食品の健康への影響に関するエビデンスもまだ限定的。コスト、嗜好、社会的・文化的受容性は、代替プロテインの浸透に大きな影響を及ぼすとした。実際に、代替プロテインについて、消費者から反発される動きがあることも紹介した。

 同報告書では、食料安全保障、雇用、生活、社会的・ジェンダー的公平性、伝統的文化保護のために必要な政策についても提示した。具体的には、オープンアクセスR&D支援や生産支援等の生産者側の政府支援策に加え、安全面を十分に検討する法規制体系の整備も有効とした。消費者向け施策では、ラベリング、世論向けの情報キャンペーンを挙げた。また、代替プロテインによる環境破壊を抑制するためにも、持続可能な農業、クリーンエネルギーの活用の重視も明記。また、既存の産業への影響を配慮し、公正な移行(ジャスト・トランジション)を確保すべきとした。

 UNEPは、ジビエ等の食肉や魚類等の水生動物ついては分析対象外としたが、新しい技術が漁業セクターを変革する可能性があると指摘。再構築する可能性もある。さらに、再生可能な畜産場、畜産からの排出を削減するための飼料添加物、昆虫プロテイン、豆のような全植物性タンパク源、豆腐のようなビーガン製品、食肉への課税等により、既存の畜産セクターの変革に関しても、各国で進められているとしたが、望ましい規模や速度で影響を達成するまでには至っていないとした。

【参照ページ】Novel meat and dairy alternatives could help curb climate-harming emissions – UN

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