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【国際】SBTN、SBTs for Natureパイロット企業17社のインサイト紹介。6月までに目標承認へ

 科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブScience Based Targets Network(SBTN)は1月24日、2023年5月に開始した科学的根拠に基づく自然分野の目標設定メソドロジー「SBTs for Nature(自然SBTs)」のパイロットプロジェクトに関し、途中経過を発表した。

【参考】【国際】SBTN、SBTs for Natureのメソドロジー発表。まず17社が実証。2024年から全面展開(2023年5月24日)

 パイロットプロジェクトに参加しているのは、カルフール、テスコ、グラクソ・スミスクライン(GSK)、H&M、ケリング、LVMH、ロクシタン、ネステ、ネスレ、ABインベブ、ヒンディスタン・ジンク、ホルシム、ベル、UPM、コービオン、ダノンの一部のアルプロ、サントリーホールディングスの17社。

 またSBTNのコーポレート・エンゲージメント・プログラムには現在125社が加盟しており、当該企業からもフィードバックを得た。同プログラムには、キリンホールディングス、LIXIL、日本電気(NEC)、セブン&アイ・ホールディングス、トヨタ自動車、Gaia Visionが加盟している。

 パイロットプロジェクトの途中経過としては、実施企業からのインサイトを5つ紹介した。

 1つ目は、リスクマネジメント以外の機会の発掘。レピュテーションの向上や競争上の優位性を獲得する価値に言及した企業があった。例えば、グラクソ・スミスクラインは、SBTNがもたらす科学的アプローチによって、自然に対する組織の影響と依存についての理解が深まり、既存の自然目標を達成するための行動を洗練させ、優先順位をつけるのに役立ったと語っている。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく開示を目指す上で、SBTNの作業によって発掘できたデータや知見が役になったという指摘もあった。

 2つ目は、野心の検証と向上。気候変動だけでなく、自然への影響を上流サプライチェーンまで含めて統合的に評価することで、より高い野心を打ち出すことができるとした。例えば、ケリングは、システミックな変革や協調的な変革を検討する上で、自然への影響までを分析した価値を語った。

 3つ目は、測定可能なベネフィット。SBTNの手法に基づく優先順位をつけるプロセスを経ることで、サプライチェーン内の隠れたリスクを発見し、真に重要な場所での行動を優先するようになったという。課題解決に必要となるパートナーを明確にすることにもつながった模様。

 4つ目は、厳密性と実現可能性のバランス。上流サプライチェーンを測定する上では、トレーサビリティの欠如が大きなハードルとなることも浮き彫りとなった。また、データ把握が困難なセクターがあることもわかった。SBTNは、セクター毎のガイダンスについても発行していく考え。

 5つ目は、人材開発。ライフサイクルアセスメント(LCA)やフットプリントの専門知識、空間分析の熟練度、環境データの深い理解等のスキルが極めて重要となり、パイロットプロジェクト実施企業の中では、企業内人材の構築とコンサルタントの支援の2つで対応していた。さらにデータ収集のために、社内の各組織の理解や協力が必要にもなった。SBTNは、スキルを補強するためのツールとして、すでに発行している「テクニカルガイダンス」の入門編として「コーポレート・マニュアル」の発行を予定している。

 パイロットプロジェクト参加企業は、3月1日までに承認を受ける目標を提出することになっている。承認済み目標は5月から6月にかけて発表され、同時にパイロットプロジェクトの最終報告書も公表される。

 またすでにリリース済みの陸域と淡水域のメソドロジーに加え、海洋と生物多様性のメソドロジーを2025年に向けて発行していく。陸域と淡水域のメソドロジーの適用範囲の拡大も予定している。

【参照ページ】Unlocking insights and changing mindsets: what it’s like to pioneer science-based targets for nature

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 科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブScience Based Targets Network(SBTN)は1月24日、2023年5月に開始した科学的根拠に基づく自然分野の目標設定メソドロジー「SBTs for Nature(自然SBTs)」のパイロットプロジェクトに関し、途中経過を発表した。

【参考】【国際】SBTN、SBTs for Natureのメソドロジー発表。まず17社が実証。2024年から全面展開(2023年5月24日)

 パイロットプロジェクトに参加しているのは、

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 科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブScience Based Targets Network(SBTN)は1月24日、2023年5月に開始した科学的根拠に基づく自然分野の目標設定メソドロジー「SBTs for Nature(自然SBTs)」のパイロットプロジェクトに関し、途中経過を発表した。

【参考】【国際】SBTN、SBTs for Natureのメソドロジー発表。まず17社が実証。2024年から全面展開(2023年5月24日)

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 科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブScience Based Targets Network(SBTN)は1月24日、2023年5月に開始した科学的根拠に基づく自然分野の目標設定メソドロジー「SBTs for Nature(自然SBTs)」のパイロットプロジェクトに関し、途中経過を発表した。

【参考】【国際】SBTN、SBTs for Natureのメソドロジー発表。まず17社が実証。2024年から全面展開(2023年5月24日)

 パイロットプロジェクトに参加しているのは、カルフール、テスコ、グラクソ・スミスクライン(GSK)、H&M、ケリング、LVMH、ロクシタン、ネステ、ネスレ、ABインベブ、ヒンディスタン・ジンク、ホルシム、ベル、UPM、コービオン、ダノンの一部のアルプロ、サントリーホールディングスの17社。

 またSBTNのコーポレート・エンゲージメント・プログラムには現在125社が加盟しており、当該企業からもフィードバックを得た。同プログラムには、キリンホールディングス、LIXIL、日本電気(NEC)、セブン&アイ・ホールディングス、トヨタ自動車、Gaia Visionが加盟している。

 パイロットプロジェクトの途中経過としては、実施企業からのインサイトを5つ紹介した。

 1つ目は、リスクマネジメント以外の機会の発掘。レピュテーションの向上や競争上の優位性を獲得する価値に言及した企業があった。例えば、グラクソ・スミスクラインは、SBTNがもたらす科学的アプローチによって、自然に対する組織の影響と依存についての理解が深まり、既存の自然目標を達成するための行動を洗練させ、優先順位をつけるのに役立ったと語っている。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく開示を目指す上で、SBTNの作業によって発掘できたデータや知見が役になったという指摘もあった。

 2つ目は、野心の検証と向上。気候変動だけでなく、自然への影響を上流サプライチェーンまで含めて統合的に評価することで、より高い野心を打ち出すことができるとした。例えば、ケリングは、システミックな変革や協調的な変革を検討する上で、自然への影響までを分析した価値を語った。

 3つ目は、測定可能なベネフィット。SBTNの手法に基づく優先順位をつけるプロセスを経ることで、サプライチェーン内の隠れたリスクを発見し、真に重要な場所での行動を優先するようになったという。課題解決に必要となるパートナーを明確にすることにもつながった模様。

 4つ目は、厳密性と実現可能性のバランス。上流サプライチェーンを測定する上では、トレーサビリティの欠如が大きなハードルとなることも浮き彫りとなった。また、データ把握が困難なセクターがあることもわかった。SBTNは、セクター毎のガイダンスについても発行していく考え。

 5つ目は、人材開発。ライフサイクルアセスメント(LCA)やフットプリントの専門知識、空間分析の熟練度、環境データの深い理解等のスキルが極めて重要となり、パイロットプロジェクト実施企業の中では、企業内人材の構築とコンサルタントの支援の2つで対応していた。さらにデータ収集のために、社内の各組織の理解や協力が必要にもなった。SBTNは、スキルを補強するためのツールとして、すでに発行している「テクニカルガイダンス」の入門編として「コーポレート・マニュアル」の発行を予定している。

 パイロットプロジェクト参加企業は、3月1日までに承認を受ける目標を提出することになっている。承認済み目標は5月から6月にかけて発表され、同時にパイロットプロジェクトの最終報告書も公表される。

 またすでにリリース済みの陸域と淡水域のメソドロジーに加え、海洋と生物多様性のメソドロジーを2025年に向けて発行していく。陸域と淡水域のメソドロジーの適用範囲の拡大も予定している。

【参照ページ】Unlocking insights and changing mindsets: what it’s like to pioneer science-based targets for nature

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