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【イギリス】政府、ネイチャーポジティブで一部漁業禁止や泥炭地保護導入へ。保護景観区の大規模改革も

 英環境・食糧・農村地域省は1月31日、2023年1月発表の政策大綱「環境改善計画2023」に紐づく新たな計画を発表した。ネイチャーポジティブの一環として、一部海域での漁業禁止や泥炭土壌改善を導入する。

 漁業については、4月1日から北海の英国海域におけるイカナゴ漁を永久的に禁止する。サンゴウナギは、フグや港ネズミイルカ等の最も脆弱な海鳥や海洋哺乳類、及びコダラやホワイティング等の水揚魚種にとって重要な食料源となっており、サンゴウナギを保護することで、海洋生態系全体の再生を図る。その他、ピンクウミウチワ、カイメン、イソギンチャク等を保護するため、13の海洋保護区で岩や岩礁の生息域での底引き網漁が禁止される。

 同措置に関しては、同省は2023年3月にパブリックコメントを実施。回答者の95%以上が何らかの形でイカナゴ漁を禁止することを支持し、その過半数がイギリス海域の全漁獲禁止を支持していた。

 低地の泥炭地保護では、ケンブリッジシャー・フェンズやサマセット・レベルズ等、イングランド地方の低地泥炭地帯で、34のプロジェクトを展開。補助金総額700万ポンド(約13億円)を交付する。イングランド地方の泥炭地は、農業用地にするため排水された結果、自然に近い状態で残っている場所が1%にまで減少。今後は、政府資金を利用して低地泥炭地の水管理を改善し、気候変動の影響や洪水リスクに関する理解を深める。

 補助金が交付されるプロジェクトは「低地農業泥炭水発見パイロット」と「低地農業泥炭小規模インフラ・パイロット」で構成。前者では、低地泥炭土壌からの炭素排出を削減するためのモザイクアプローチを支援するため、コスト計算された水管理計画を策定する。 後者では、泥炭と環境にとってより良い水管理を可能にする水管理インフラの更新と設置を行う。

 さらに国立公園と国定公園(旧・特別自然美観地域)での自然再生も強化する。既存の保護地の管理計画を補完するため、新たに「地域自然再生戦略(LNRS)」の策定を義務付ける。LNRSは、保護地域団体、関係当局、農家、土地管理者等の協議によって決定される。保護地内にある全ての公的機関は、LNRSの遵守を義務付けられ、国立公園管理局も、提案する具体的な場所や行動を含め、地方計画を作成する際にLNRSを考慮しなければならない。実行ではグリーンファイナンスで支援する。

 さらに。国立公園と国定公園を「保護景観区」と呼称し、法定ではないものの10の目標を設定した。2042年までに2022年比で野生生物が豊富な生息地を25万ha以上再生または創出することや、同地区の半分以上を占める特別保護地区(SSSIs)で良好な状態が維持できている場所を2028年1月31日までに60%以上、2042年までに80%以上にすること、2030年までに土地管理者の65%から80%が、土地の10%から15%で自然環境重視型農業を採用すること等を掲げた。さらに、同地区での二酸化炭素排出量を2050年までにカーボンニュートラル化及び森林カバー率を2022年比3%増にする。

【参照ページ】Nature recovery to be accelerated as the government delivers on measures to protect land and sea
【参照ページ】Protected Landscapes Targets and Outcomes Framework

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 英環境・食糧・農村地域省は1月31日、2023年1月発表の政策大綱「環境改善計画2023」に紐づく新たな計画を発表した。ネイチャーポジティブの一環として、一部海域での漁業禁止や泥炭土壌改善を導入する。

 漁業については、

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 英環境・食糧・農村地域省は1月31日、2023年1月発表の政策大綱「環境改善計画2023」に紐づく新たな計画を発表した。ネイチャーポジティブの一環として、一部海域での漁業禁止や泥炭土壌改善を導入する。

 漁業については、

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 英環境・食糧・農村地域省は1月31日、2023年1月発表の政策大綱「環境改善計画2023」に紐づく新たな計画を発表した。ネイチャーポジティブの一環として、一部海域での漁業禁止や泥炭土壌改善を導入する。

 漁業については、4月1日から北海の英国海域におけるイカナゴ漁を永久的に禁止する。サンゴウナギは、フグや港ネズミイルカ等の最も脆弱な海鳥や海洋哺乳類、及びコダラやホワイティング等の水揚魚種にとって重要な食料源となっており、サンゴウナギを保護することで、海洋生態系全体の再生を図る。その他、ピンクウミウチワ、カイメン、イソギンチャク等を保護するため、13の海洋保護区で岩や岩礁の生息域での底引き網漁が禁止される。

 同措置に関しては、同省は2023年3月にパブリックコメントを実施。回答者の95%以上が何らかの形でイカナゴ漁を禁止することを支持し、その過半数がイギリス海域の全漁獲禁止を支持していた。

 低地の泥炭地保護では、ケンブリッジシャー・フェンズやサマセット・レベルズ等、イングランド地方の低地泥炭地帯で、34のプロジェクトを展開。補助金総額700万ポンド(約13億円)を交付する。イングランド地方の泥炭地は、農業用地にするため排水された結果、自然に近い状態で残っている場所が1%にまで減少。今後は、政府資金を利用して低地泥炭地の水管理を改善し、気候変動の影響や洪水リスクに関する理解を深める。

 補助金が交付されるプロジェクトは「低地農業泥炭水発見パイロット」と「低地農業泥炭小規模インフラ・パイロット」で構成。前者では、低地泥炭土壌からの炭素排出を削減するためのモザイクアプローチを支援するため、コスト計算された水管理計画を策定する。 後者では、泥炭と環境にとってより良い水管理を可能にする水管理インフラの更新と設置を行う。

 さらに国立公園と国定公園(旧・特別自然美観地域)での自然再生も強化する。既存の保護地の管理計画を補完するため、新たに「地域自然再生戦略(LNRS)」の策定を義務付ける。LNRSは、保護地域団体、関係当局、農家、土地管理者等の協議によって決定される。保護地内にある全ての公的機関は、LNRSの遵守を義務付けられ、国立公園管理局も、提案する具体的な場所や行動を含め、地方計画を作成する際にLNRSを考慮しなければならない。実行ではグリーンファイナンスで支援する。

 さらに。国立公園と国定公園を「保護景観区」と呼称し、法定ではないものの10の目標を設定した。2042年までに2022年比で野生生物が豊富な生息地を25万ha以上再生または創出することや、同地区の半分以上を占める特別保護地区(SSSIs)で良好な状態が維持できている場所を2028年1月31日までに60%以上、2042年までに80%以上にすること、2030年までに土地管理者の65%から80%が、土地の10%から15%で自然環境重視型農業を採用すること等を掲げた。さらに、同地区での二酸化炭素排出量を2050年までにカーボンニュートラル化及び森林カバー率を2022年比3%増にする。

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【参照ページ】Protected Landscapes Targets and Outcomes Framework

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