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【中国】政府、GHG削減鈍化で梃入れ。再エネ、EV、リサイクル等後押し。排出量取引義務セクター拡大

 中国共産党の習近平中央委員会総書記は2月29日、中央委員会政治局の新エネルギー技術と中国のエネルギー安全保障に関する第12回集団会合の中で、エネルギー安全保障のために再生可能エネルギー開発をさらに積極化する必要があると伝えた。

 中国政府は目下、2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。2021年から2025年までのGDP当たりの原単位エネルギー消費量を13.5%減、GDP当たりの原単位二酸化炭素排出量を18.0%減とする短期目標も掲げているが、進捗が大幅に遅れている状況にある。

 同会合では、中国工程院院士で、国家新エネルギー電力系統重点実験室主任の劉継振教授が計画案を提示。中央委員会政治局委員での討議が行われた。その後、習近平総書記が、中国の新エネルギーシステムは、エネルギー安全保障の基礎の建設を加速し、経済と社会の発展に強力な支持を提供していると指摘。中国は風力発電、太陽光発電等の資源が豊富で、新エネルギーの発展には大きな潜在力があると強調した。

 また習近平氏は、中国はすでに多くの新エネルギーテクノロジーと設備製造で世界トップレベルになっており、新エネルギー自動車、リチウム電池、太陽光発電製品は国際市場で強力な競争力を獲得し、世界の気候変動対策の基礎となっていると言及した。その上で、技術開発の加速、送電網インフラでの再生可能エネルギーの受け入れのためのインテリジェント化とインテリジェントマイクログリッドの建設の推進、新エネルギー車の急速な発展等を進めるよう指示した。

 国務院の李強首相は3月5日、第14回全国人民代表大会第2次会議で国務院としての総括を行い、2023年度の中国のGDP成長率は5.2%と報告。2024年度目標を5%前後、GDP当たりの原単位エネルギー消費量を2.5%減と設定した。実現に向けては、「カーボンピーク達成のための10大行動」を確実に実行するとし、二酸化炭素排出量の統計的算定・検証能力の強化、カーボンフットプリント管理システムの確立、全国二酸化炭素排出量取引制度の対象となるセクターの拡大を掲げた。財源確保のため、長期国債も発行していく。設備投資では、工業、農業、建設、運輸、教育、文化・観光、医療の7分野に重点を置く。

 国家発展改革委員会は同日、2023年の国民経済社会発展計画の実施報告と、2024年の計画案を発表している。2023年位は中国の再生可能エネルギー発電の設備容量は初めて全体の50%を突破し、年間発電量は約3兆kWhに到達。グリーンビルディング面積も大幅に拡大していると報告した。

 全国二酸化炭素排出量取引制度の対象となるセクターの拡大に関しては、国務院は1月25日、「碳排放権交易管理暫行条例」を公布。適用範囲の拡大と違反時の処罰の徹底と罰金の増額を決めている。現在の二酸化炭素排出量取引制度では、発電部門のみが対象となっており、中国の二酸化炭素排出量全体の40%程度を占めている状況。国務院は、発電、鉄鋼、建材、非鉄金属、石油化学、化学、製紙、航空等で排出量全体の約75%を占めていると言及しており、同セクターに適用拡大してく考え。

 さらに工業情報化部、国家発展改革委員会、財政部、生態環境部、中国人民銀行、国務院国有資産監督管理委員会、国家市場監督管理総局は2月5日、製造業のグリーン化推進の加速に関する指導意見を公布。2030年までに工業のグリーントランジション、工業電グリーン・低炭素エネルギー消費割合の大幅増加、汚染や温室効果ガス排出の現単位での削減と二酸化炭素排出量総量でのピークアウトを目標として表明。2035年までにサプライチェーン全体のグリーン・低炭素での競争力を確固たるものにする目標も掲げた。

 エネルギー分野では、石炭火力発電に関しても石炭の品質格付を実施し、燃焼効率を引上げるともに、石炭消費量を削減し、代替エネルギー源に転換させていく。マイクログリッド建設の条件を備えた企業や地域を奨励し、再生可能エネルギーの大規模で高比率の使用も推進する。他に、グリーン水素、低・無揮発性有機化合物、再生可能燃料、工業固形廃棄物等の原材料の代替を進めるとともに、天然ガス、メタン、プロパン等の原材料の供給能力を高めていくとした。

 素材分野では、2030年までに、主要な再生可能資源のリサイクル量を5.1億t、産業固形廃棄物の総合利用率を62%にまで引上げる。再生可能エネルギーを利用する電解アルミの割合で30%以上、プロセス短縮形の製鉄割合を20%以上とした。一段階オレフィン合成ガス法、エタノール等のプロセス短縮型合成技術の大規模に導入していく。

 他にも、データセンターでの再生可能エネルギー使用比率拡大、低消費電力型半導体の促進、市場志向のグリーン低炭素コンピューティングパワー応用システムの構築、太陽光発電モジュールや風力タービンブレード、EVバッテリー等の固形廃棄物のリサイクル、レアアースやレアメタル等の戦略的鉱物資源の保護能力の工場、電動航空機開発、船舶の電動化やメタノール、アンモニア、液化天然ガス(LNG)への燃料代替、水素エネルギー、バッテリー、バイオ素材、炭素回収・利用・貯留(CCUS)、3Dプリンター等の積層造形、フレキシブル成型、非破壊検査、解体等の重要な再製造技術のイノベーションと社会実装を加速させるとした。

 産業転換では、サプライチェーン上の一部の有力企業が全体をリードする状況を導き、有力企業がサプライチェーン全体を変革していく戦略を掲げた。そのうえで、インターネット、ビッグデータ、AI、5G等の新興技術とグリーン・低炭素産業とを深く融合させていくことも打ち出した。グリーンラベルの基準引上げも実施していく。

 国家発展改革委員会、工業情報化部、自然資源部、生態環境部、住宅都市建設部、交通運輸部、中国人民銀行、中国金融監督管理総局、国務院国有資産監督管理委員会、国家市場監督管理総局、国家エネルギー局は2月2日、2024年版のグリーンタクソノミーも公表した。

 国家発展改革委員会の鄭傑傑主任は3月16日、2024年中国電気自動車協会フォーラムで基調講演を行い、2023年の新エネルギー自動車の生産と販売、輸出は過去最高を記録したと表明。中国経済の全体の活性化のために、さらにEV産業を推し進めると伝えた。

 国務院は3月7日には、設備投資と消費に関する計画を示した「推動大規模設備更新和消費品以旧換新行動方案」を公布。GDP引上げに向け買い替えを促進することも掲げた。2027年までの目標として、工業、農業、建設、交通、教育、文化・観光、医療分野の7分野で設備投資額が2023年比で25%以上増、主要産業の主要エネルギー使用設備のエネルギー効率が基本的な省エネレベルに達し、環境性能がAレベルの生産能力の割合が大幅増、大規模レベル以上の工業企業のデジタル研究開発・設計ツールの普及率で90%以上、主要プロセスの数値管理率で75%以上を掲げた。さらに、使用済み自動車のリサイクル量は2023年比約2倍、中古車の取引量を2023年比で45%増、使用済み家電のリサイクル量を2023年比で30%増、資源供給における再生材料の割合を増加するとした。

 同政策では、買換とともに廃品の回収・リサイクルを組み合わせて進めていく考え。そのため自動車の下取り、家電の下取りと、再販売やリサイクルに関して政策で後押ししていく。

【参照ページ】习近平在中共中央政治局第十二次集体学习时强调 大力推动我国新能源高质量发展 为共建清洁美丽世界作出更大贡献
【参照ページ】政府工作报告
【参照ページ】关于2023年国民经济和社会发展计划执行情况与2024年国民经济和社会发展计划草案的报告
【参照ページ】碳排放权交易管理暂行条例
【参照ページ】为碳市场健康发展提供法律保障——有关部门解读《碳排放权交易管理暂行条例》
【参照ページ】工业和信息化部等七部门关于加快推动制造业绿色化发展的指导意见
【参照ページ】关于印发《绿色低碳转型产业指导目录(2024年版)》的通知
【参照ページ】郑栅洁主任在十四届全国人大二次会议经济主题记者会上答记者问
【参照ページ】国务院关于印发《推动大规模设备更新和消费品以旧换新行动方案》的通知

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 中国共産党の習近平中央委員会総書記は2月29日、中央委員会政治局の新エネルギー技術と中国のエネルギー安全保障に関する第12回集団会合の中で、エネルギー安全保障のために再生可能エネルギー開発をさらに積極化する必要があると伝えた。

 中国政府は目下、2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。2021年から2025年までのGDP当たりの原単位エネルギー消費量を13.5%減、GDP当たりの原単位二酸化炭素排出量を18.0%減とする短期目標も掲げているが、進捗が大幅に遅れている状況にある。

 同会合では、

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 中国共産党の習近平中央委員会総書記は2月29日、中央委員会政治局の新エネルギー技術と中国のエネルギー安全保障に関する第12回集団会合の中で、エネルギー安全保障のために再生可能エネルギー開発をさらに積極化する必要があると伝えた。

 中国政府は目下、2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。2021年から2025年までのGDP当たりの原単位エネルギー消費量を13.5%減、GDP当たりの原単位二酸化炭素排出量を18.0%減とする短期目標も掲げているが、進捗が大幅に遅れている状況にある。

 同会合では、

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 中国共産党の習近平中央委員会総書記は2月29日、中央委員会政治局の新エネルギー技術と中国のエネルギー安全保障に関する第12回集団会合の中で、エネルギー安全保障のために再生可能エネルギー開発をさらに積極化する必要があると伝えた。

 中国政府は目下、2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。2021年から2025年までのGDP当たりの原単位エネルギー消費量を13.5%減、GDP当たりの原単位二酸化炭素排出量を18.0%減とする短期目標も掲げているが、進捗が大幅に遅れている状況にある。

 同会合では、中国工程院院士で、国家新エネルギー電力系統重点実験室主任の劉継振教授が計画案を提示。中央委員会政治局委員での討議が行われた。その後、習近平総書記が、中国の新エネルギーシステムは、エネルギー安全保障の基礎の建設を加速し、経済と社会の発展に強力な支持を提供していると指摘。中国は風力発電、太陽光発電等の資源が豊富で、新エネルギーの発展には大きな潜在力があると強調した。

 また習近平氏は、中国はすでに多くの新エネルギーテクノロジーと設備製造で世界トップレベルになっており、新エネルギー自動車、リチウム電池、太陽光発電製品は国際市場で強力な競争力を獲得し、世界の気候変動対策の基礎となっていると言及した。その上で、技術開発の加速、送電網インフラでの再生可能エネルギーの受け入れのためのインテリジェント化とインテリジェントマイクログリッドの建設の推進、新エネルギー車の急速な発展等を進めるよう指示した。

 国務院の李強首相は3月5日、第14回全国人民代表大会第2次会議で国務院としての総括を行い、2023年度の中国のGDP成長率は5.2%と報告。2024年度目標を5%前後、GDP当たりの原単位エネルギー消費量を2.5%減と設定した。実現に向けては、「カーボンピーク達成のための10大行動」を確実に実行するとし、二酸化炭素排出量の統計的算定・検証能力の強化、カーボンフットプリント管理システムの確立、全国二酸化炭素排出量取引制度の対象となるセクターの拡大を掲げた。財源確保のため、長期国債も発行していく。設備投資では、工業、農業、建設、運輸、教育、文化・観光、医療の7分野に重点を置く。

 国家発展改革委員会は同日、2023年の国民経済社会発展計画の実施報告と、2024年の計画案を発表している。2023年位は中国の再生可能エネルギー発電の設備容量は初めて全体の50%を突破し、年間発電量は約3兆kWhに到達。グリーンビルディング面積も大幅に拡大していると報告した。

 全国二酸化炭素排出量取引制度の対象となるセクターの拡大に関しては、国務院は1月25日、「碳排放権交易管理暫行条例」を公布。適用範囲の拡大と違反時の処罰の徹底と罰金の増額を決めている。現在の二酸化炭素排出量取引制度では、発電部門のみが対象となっており、中国の二酸化炭素排出量全体の40%程度を占めている状況。国務院は、発電、鉄鋼、建材、非鉄金属、石油化学、化学、製紙、航空等で排出量全体の約75%を占めていると言及しており、同セクターに適用拡大してく考え。

 さらに工業情報化部、国家発展改革委員会、財政部、生態環境部、中国人民銀行、国務院国有資産監督管理委員会、国家市場監督管理総局は2月5日、製造業のグリーン化推進の加速に関する指導意見を公布。2030年までに工業のグリーントランジション、工業電グリーン・低炭素エネルギー消費割合の大幅増加、汚染や温室効果ガス排出の現単位での削減と二酸化炭素排出量総量でのピークアウトを目標として表明。2035年までにサプライチェーン全体のグリーン・低炭素での競争力を確固たるものにする目標も掲げた。

 エネルギー分野では、石炭火力発電に関しても石炭の品質格付を実施し、燃焼効率を引上げるともに、石炭消費量を削減し、代替エネルギー源に転換させていく。マイクログリッド建設の条件を備えた企業や地域を奨励し、再生可能エネルギーの大規模で高比率の使用も推進する。他に、グリーン水素、低・無揮発性有機化合物、再生可能燃料、工業固形廃棄物等の原材料の代替を進めるとともに、天然ガス、メタン、プロパン等の原材料の供給能力を高めていくとした。

 素材分野では、2030年までに、主要な再生可能資源のリサイクル量を5.1億t、産業固形廃棄物の総合利用率を62%にまで引上げる。再生可能エネルギーを利用する電解アルミの割合で30%以上、プロセス短縮形の製鉄割合を20%以上とした。一段階オレフィン合成ガス法、エタノール等のプロセス短縮型合成技術の大規模に導入していく。

 他にも、データセンターでの再生可能エネルギー使用比率拡大、低消費電力型半導体の促進、市場志向のグリーン低炭素コンピューティングパワー応用システムの構築、太陽光発電モジュールや風力タービンブレード、EVバッテリー等の固形廃棄物のリサイクル、レアアースやレアメタル等の戦略的鉱物資源の保護能力の工場、電動航空機開発、船舶の電動化やメタノール、アンモニア、液化天然ガス(LNG)への燃料代替、水素エネルギー、バッテリー、バイオ素材、炭素回収・利用・貯留(CCUS)、3Dプリンター等の積層造形、フレキシブル成型、非破壊検査、解体等の重要な再製造技術のイノベーションと社会実装を加速させるとした。

 産業転換では、サプライチェーン上の一部の有力企業が全体をリードする状況を導き、有力企業がサプライチェーン全体を変革していく戦略を掲げた。そのうえで、インターネット、ビッグデータ、AI、5G等の新興技術とグリーン・低炭素産業とを深く融合させていくことも打ち出した。グリーンラベルの基準引上げも実施していく。

 国家発展改革委員会、工業情報化部、自然資源部、生態環境部、住宅都市建設部、交通運輸部、中国人民銀行、中国金融監督管理総局、国務院国有資産監督管理委員会、国家市場監督管理総局、国家エネルギー局は2月2日、2024年版のグリーンタクソノミーも公表した。

 国家発展改革委員会の鄭傑傑主任は3月16日、2024年中国電気自動車協会フォーラムで基調講演を行い、2023年の新エネルギー自動車の生産と販売、輸出は過去最高を記録したと表明。中国経済の全体の活性化のために、さらにEV産業を推し進めると伝えた。

 国務院は3月7日には、設備投資と消費に関する計画を示した「推動大規模設備更新和消費品以旧換新行動方案」を公布。GDP引上げに向け買い替えを促進することも掲げた。2027年までの目標として、工業、農業、建設、交通、教育、文化・観光、医療分野の7分野で設備投資額が2023年比で25%以上増、主要産業の主要エネルギー使用設備のエネルギー効率が基本的な省エネレベルに達し、環境性能がAレベルの生産能力の割合が大幅増、大規模レベル以上の工業企業のデジタル研究開発・設計ツールの普及率で90%以上、主要プロセスの数値管理率で75%以上を掲げた。さらに、使用済み自動車のリサイクル量は2023年比約2倍、中古車の取引量を2023年比で45%増、使用済み家電のリサイクル量を2023年比で30%増、資源供給における再生材料の割合を増加するとした。

 同政策では、買換とともに廃品の回収・リサイクルを組み合わせて進めていく考え。そのため自動車の下取り、家電の下取りと、再販売やリサイクルに関して政策で後押ししていく。

【参照ページ】习近平在中共中央政治局第十二次集体学习时强调 大力推动我国新能源高质量发展 为共建清洁美丽世界作出更大贡献
【参照ページ】政府工作报告
【参照ページ】关于2023年国民经济和社会发展计划执行情况与2024年国民经济和社会发展计划草案的报告
【参照ページ】碳排放权交易管理暂行条例
【参照ページ】为碳市场健康发展提供法律保障——有关部门解读《碳排放权交易管理暂行条例》
【参照ページ】工业和信息化部等七部门关于加快推动制造业绿色化发展的指导意见
【参照ページ】关于印发《绿色低碳转型产业指导目录(2024年版)》的通知
【参照ページ】郑栅洁主任在十四届全国人大二次会议经济主题记者会上答记者问
【参照ページ】国务院关于印发《推动大规模设备更新和消费品以旧换新行动方案》的通知

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