Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【EU】運用会社、SFDRの解釈巡る混乱続く。9条ファンドから8条ファンドへの登録転換相次ぐ

 投資運用世界大手の間で、EUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく9条ファンド登録を8条ファンド登録に移行する動きが大きくなっていることがわかった。

【参考】【EU】欧州監督機構、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)のRTS最終案公表。考慮必須が14項目に減少(2021年2月8日)
【参考】【EU】欧州証券市場監督局、加盟国当局向けにESGファンドのウォッシュ監督ガイダンス発行(2022年6月1日)

 欧州では12月、ブルームバーグがモーニングスターのデータを集計したところ、すでに大手だけで運用資産残高(AUM)合計1,250億米ドル(約17兆円)のファンドが9条から8条へ移行していた。アムンディが最大で460億米ドル。ブラックロックで260億米ドル、アクサ・インベストメント・マネージャーズで210億米ドル、BNPパリバ・アセット・マネジメントで160億米ドル、NNインベストメント・パートナーズで70億米ドル、ピムコで60億米ドル、デカ・インベストメンツで30億米ドル、ドイチェ・アセット・マネジメント(DWS)で20億米ドルの順。

 EUで2021年3月にSFDRのレベル1規制が施行された後、欧州証券市場監督局(ESMA)は2021年7月に9条ファンドと8条ファンドに関する定義についてのガイダンスを発表。その中で、9条ファンドでは「幅広い資い資産に投資してよい」との表現があったことを受け、多くの市場関係者の間で、サステナブル投資の組入比率が80%以上と解釈することが一般化。そのため、80%以上のポートフォリ構成で9条ファンドを設定する慣行が生まれていた。

 しかし、その後、EUの欧州金融監督機構(ESAs)を構成する欧州証券市場監督局(ESMA)、欧州銀行監督局(EBA)、欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)は、2022年5月に欧州委員会に対し、「サステナブル投資」の定義を再確認する文書を送付。欧州委員会は同月の回答文書の中で、ヘッジ目的や流動性確保目的の資産を除き100%の組入比率が必要と解釈できる内容を発表(但し、公債は対象から外れる)。そのことが大手法律事務所を通じて紹介されると、運用会社の間で大混乱が始まった。また、8条ファンドや9条ファンドに関するルールを含むレベル2規制は2023年1月1日から適用されることになっている。

 金融情報大手FE fundinfoは9月、9条ファンドとして登録されているファンド1,500本を対象に、組入比率の調査を実施。100%の組入比率がわずか79本、90%以上が168本しかなかった。その報道の前後から、9条ファンドから8条ファンドへと登録変更を当局に申請するファンドが急増。多すぎる申請数からか、変更完了までに数ヶ月待たされた運用会社があった模様。

 この混乱もあり、欧州金融監督機構(ESAs)は再度11月、欧州委員会に対し、再度「サステナブル投資」の定義を明確化するよう照会。欧州委員会からの回答はまだ出ていない。SFDRでの「グッドガバナンス」のポートフォリオ適用対象がどこまでかという解釈に関心が集まっている。

【参照ページ】Question related to Regulation (EU) 2019/2088 of the European Parliament and of the Council of 27 November 2019 on sustainability‐related disclosures in the financial services sector (Sustainable Finance Disclosure Regulation 2019/2088)
【参照ページ】EU SFDR: Commission publishes Q&A with replies to questions from ESAs
【参照ページ】EU: European Supervisory Authorities pose concerning questions on SFDR interpretation, only a few months before the Level 2 standards apply
【参照ページ】EU Sustainable Finance & SFDR: making the framework fit for purpose
【参照ページ】List of additional SFDR queries requiring the interpretation of Union law
【参照ページ】EU: European Supervisory Authorities pose concerning questions on SFDR interpretation, only a few months before the Level 2 standards apply

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 投資運用世界大手の間で、EUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく9条ファンド登録を8条ファンド登録に移行する動きが大きくなっていることがわかった。

【参考】【EU】欧州監督機構、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)のRTS最終案公表。考慮必須が14項目に減少(2021年2月8日)
【参考】【EU】欧州証券市場監督局、加盟国当局向けにESGファンドのウォッシュ監督ガイダンス発行(2022年6月1日)

 欧州では12月、

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 投資運用世界大手の間で、EUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく9条ファンド登録を8条ファンド登録に移行する動きが大きくなっていることがわかった。

【参考】【EU】欧州監督機構、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)のRTS最終案公表。考慮必須が14項目に減少(2021年2月8日)
【参考】【EU】欧州証券市場監督局、加盟国当局向けにESGファンドのウォッシュ監督ガイダンス発行(2022年6月1日)

 欧州では12月、

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 投資運用世界大手の間で、EUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく9条ファンド登録を8条ファンド登録に移行する動きが大きくなっていることがわかった。

【参考】【EU】欧州監督機構、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)のRTS最終案公表。考慮必須が14項目に減少(2021年2月8日)
【参考】【EU】欧州証券市場監督局、加盟国当局向けにESGファンドのウォッシュ監督ガイダンス発行(2022年6月1日)

 欧州では12月、ブルームバーグがモーニングスターのデータを集計したところ、すでに大手だけで運用資産残高(AUM)合計1,250億米ドル(約17兆円)のファンドが9条から8条へ移行していた。アムンディが最大で460億米ドル。ブラックロックで260億米ドル、アクサ・インベストメント・マネージャーズで210億米ドル、BNPパリバ・アセット・マネジメントで160億米ドル、NNインベストメント・パートナーズで70億米ドル、ピムコで60億米ドル、デカ・インベストメンツで30億米ドル、ドイチェ・アセット・マネジメント(DWS)で20億米ドルの順。

 EUで2021年3月にSFDRのレベル1規制が施行された後、欧州証券市場監督局(ESMA)は2021年7月に9条ファンドと8条ファンドに関する定義についてのガイダンスを発表。その中で、9条ファンドでは「幅広い資い資産に投資してよい」との表現があったことを受け、多くの市場関係者の間で、サステナブル投資の組入比率が80%以上と解釈することが一般化。そのため、80%以上のポートフォリ構成で9条ファンドを設定する慣行が生まれていた。

 しかし、その後、EUの欧州金融監督機構(ESAs)を構成する欧州証券市場監督局(ESMA)、欧州銀行監督局(EBA)、欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)は、2022年5月に欧州委員会に対し、「サステナブル投資」の定義を再確認する文書を送付。欧州委員会は同月の回答文書の中で、ヘッジ目的や流動性確保目的の資産を除き100%の組入比率が必要と解釈できる内容を発表(但し、公債は対象から外れる)。そのことが大手法律事務所を通じて紹介されると、運用会社の間で大混乱が始まった。また、8条ファンドや9条ファンドに関するルールを含むレベル2規制は2023年1月1日から適用されることになっている。

 金融情報大手FE fundinfoは9月、9条ファンドとして登録されているファンド1,500本を対象に、組入比率の調査を実施。100%の組入比率がわずか79本、90%以上が168本しかなかった。その報道の前後から、9条ファンドから8条ファンドへと登録変更を当局に申請するファンドが急増。多すぎる申請数からか、変更完了までに数ヶ月待たされた運用会社があった模様。

 この混乱もあり、欧州金融監督機構(ESAs)は再度11月、欧州委員会に対し、再度「サステナブル投資」の定義を明確化するよう照会。欧州委員会からの回答はまだ出ていない。SFDRでの「グッドガバナンス」のポートフォリオ適用対象がどこまでかという解釈に関心が集まっている。

【参照ページ】Question related to Regulation (EU) 2019/2088 of the European Parliament and of the Council of 27 November 2019 on sustainability‐related disclosures in the financial services sector (Sustainable Finance Disclosure Regulation 2019/2088)
【参照ページ】EU SFDR: Commission publishes Q&A with replies to questions from ESAs
【参照ページ】EU: European Supervisory Authorities pose concerning questions on SFDR interpretation, only a few months before the Level 2 standards apply
【参照ページ】EU Sustainable Finance & SFDR: making the framework fit for purpose
【参照ページ】List of additional SFDR queries requiring the interpretation of Union law
【参照ページ】EU: European Supervisory Authorities pose concerning questions on SFDR interpretation, only a few months before the Level 2 standards apply

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