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【EU】欧州監督機構、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)のRTS最終案公表。考慮必須が14項目に減少

 EUの欧州監督機構(ESAs)を構成する欧州銀行監督機構(EBA)、欧州証券市場機構(ESMA)、欧州保険・年金監督機構(EIOPA)の3者合同委員会は2月4日、欧州委員会に対し、金融機関に課すサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に関する規制テクニカル基準(RTS)規則案を含む最終報告書を提出した。また、導入延期が決まっているRTSの施行日を2022年1月とするよう提言した。

 SFDRは、欧州議会とEU理事会で可決され、2019年12月に官報に掲載。SFDRと関連するEUタクソノミー規則も同様に2020年6月に官報に掲載され、双方が施行されている。SFDRについては、制度概要を定めたSFDR本文(レベル1と呼ばれる)と、別途詳細ルールを定めるRTS(レベル2と呼ばれる)で一体のルールとなっている。

 RTSの原案は、2020年4月20日に発表され、パブリックコメントを募集した後に、2021年3月10日に発効する予定だった。しかし、新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり、2020年10月の時点で3月以降に発効日を延期することを決定。合同委員会は今回、最終的に2022年1月を発効日として欧州委員会に起案した。欧州委員会が最終決定する。

 SFDRは、金融市場関係者である運用会社、銀行、保険会社と、金融仲介サービス会社である証券会社や保険代理店に対し、義務を課している。まず、双方に対し、報酬のサステナビリティリスク連動に関する方針の情報開示義務を設定。また事業方針として、金融市場関係者には、投資意思決定にサステナビリティリスクを統合させる方針の、金融仲介サービス会社に対しては、投資アドバイスや保険アドバイスにサステナビリティリスクを統合させる方針の情報開示を義務化している。

 さらに金融市場関係者には、投資意思決定で主要なサステナビリティ悪影響を考慮することと、デューデリジェンス方針の策定を、従業員500人以上の大企業に関しては義務化。それ以外の企業には「コンプライ・オア・エクスプレイン」型の規範として設定。同様に、金融仲介サービス会社には、投資アドバイスや保険アドバイスでの主要なサステナビリティ悪影響を考慮することを「コンプライ・オア・エクスプレイン」型の規範として設定した。

 考慮すべき項目では、株式や社債への投資に関しては、環境関連で9項目、社会関連で5項目を設定。国債や国際機関債への投資に関しては、環境関連で1項目、社会関連で3項目を設定。これらが「テーブル1」と呼ばれており、考慮が必須とされている。2020年4月の発表の原案では、環境関連が16項目、社会関連が16項目だったが、データ不足もあり、大幅に削減された。

 さらに環境関連22項目の追加指標を示した「テーブル2」と、社会関連24項目の追加指標を示した「テーブル3」も発表し、これらは考慮が「関連性が高い場合」と任意扱いとなっている。こちらも、2020年4月の原案では、テーブル2が11項目、テーブル3が7項目だったが、テーブル1が大幅に減ったため、テーブル2とテーブル3の項目数が増えた形。

 またSFDRでは、上記の企業単位の開示義務とは別に、商品単位での開示義務も課している。開示義務は、商品購入前の開示と、ホームページでの常時開示、商品購入後の定期開示の3つで構成。まず商品購入前の開示とホームページでの常時開示では、社会・環境観点での商品の特徴、投資目的、投資意思決定プロセスを設定。定期開示では、当初の想定指標に対する達成度、「サステナブル」を謳う商品では二酸化炭素排出量の削減度の開示を義務化する。

 欧州委員会は今後3ヶ月以内に、RTSを最終化する。但し、発効については、欧州監督機構からの提案どおり、2022年1月1日となる見込み。

[2021.9.3修正]
一分内容を修正した。

【参照ページ】Joint RTS on ESG disclosure standards for financial market participants
【参照ページ】RTS規則案
【参照ページ】Application of Regulation (EU) 2019/2088 on the sustainability-related disclosures in the financial services sector
【参照ページ】SFDR

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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