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【国際】アパレル世界大手、ジーンズのサーキュラー化進展。エレン・マッカーサー財団報告

 サーキュラーエコノミー推進の英エレン・マッカーサー財団のイニシアチブ「ジーンズ・リデザイン」は7月19日、現状を分析した「インサイト・レポート」を発行した。加盟企業の72%が、自社のジーンズを同イニシアチブのガイドラインに準拠させたことがわかった。

 ジーンズ・リデザインは2019年に発足。現在、25ヶ国から100社が加盟している。参画企業は、リーバイ・ストラウス、LEE、ラングラー、GAP、H&M、C&A、ZARA、Zalando、クロエ、バナナ・リパブリック、ラルフローレン、トミーヒルフィガー、マークス&スペンサー、プライマーク、ESPRIT等。中国、インド、トルコ、ベトナムの企業も参画。日本企業の加盟はゼロ。

 ジーンズは、アパレルの中でも、使用後のリメイクやリサイクルが困難とされてきた製品。そこでジーンズ・リデザインは、困難なジーンズでこそサーキュラーエコノミーを追求する意義が大きいと考え、発足。長寿命化、クローズド・ループ・リサイクル、安全で再生可能な素材の使用の3つを行動分野として定めている。すでにデザインと製法に関するガイドライン「ジーンズ・リデザイン・ガイドライン」も2019年に策定。2021年に改訂され、最低基準が引き上げられた。また、2021年6月には、同ガイドラインを用いた最初の製品が上市している。

 同イニシアチブの参画企業は、自社製品の一部を「ジーンズ・リデザイン・ガイドライン」の最低基準に準拠する義務が課せられており、毎年の報告義務もある。また準拠を検証する手段についても事前に定め、報告しなければならない。最低基準の内容は、まず、家庭洗濯機で30回以上の耐用性の確保。また、洗濯頻度の低減、30℃未満の水温での洗濯、回転式乾燥機の使用忌避の3つに関する方法についてラベル表示もしなければならない。

 すでに自社製品を同ガイドラインに準拠させた加盟企業は72社に上る。さらに自主的にジーンズ以外の製品にも適用を開始した企業も29社あった。そのうち、自社製品の40%以上を同ガイドラインに準拠させた企業が11社。なかには100%を達成した企業もあった。同ガイドラインに準拠したジーンズの数は2023年だけで150万本となり、2021から3倍以上になった。

 製品素材の単一化では、「ジーンズ・リデザイン・ガイドライン」の準拠製品について、素材のセルロース原料比率を98%以上にした企業が62社、すでに100%を達成した企業が20社あった。同ガイドラインが求める洗濯ラベル表示についても遵守を完了した企業が84社となった。

 ジーンズで一般的だったリベットの使用でも、リサイクル性を高めるため、70社以上が廃止を開始。すでに38社は全廃を実現した。有害化学物質、水利用、排水についても、対策が進展してきている。

 消費者が廃棄した製品をリサイクルした再生素材の活用では、製品毎の最大含有割合をたずねたところ、クロエで87%、Triarchyで43%、リーバイ・ストラウスで40%だった。一方、中小規模の企業では、活用が進展しておらず、課題として認識された。バージン原料でのリジェネラティブ農業転換では、9社が着手したと回答した。

 ビジネスモデルの転換では、製品回収を開始した企業が60社。リセール事業を開始した企業が29社。修理サービスを開始した企業が27社あった。

 課題としては、再生素材等の素材価格が比較的高いことや、ガイドラインに準拠するストレッチ・ジーンズを開発することが現状困難なこと、リベット廃止ではデザイン上の理由から廃止できなかったこと等が挙げられた。そこで政府への提言として、公平な競争環境を実現するために、アパレル製品に対する法定最低基準の導入を提唱した。

【参照ページ】Press Release: The Jeans Redesign Insights Report 2023

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 サーキュラーエコノミー推進の英エレン・マッカーサー財団のイニシアチブ「ジーンズ・リデザイン」は7月19日、現状を分析した「インサイト・レポート」を発行した。加盟企業の72%が、自社のジーンズを同イニシアチブのガイドラインに準拠させたことがわかった。

 ジーンズ・リデザインは2019年に発足。現在、

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 サーキュラーエコノミー推進の英エレン・マッカーサー財団のイニシアチブ「ジーンズ・リデザイン」は7月19日、現状を分析した「インサイト・レポート」を発行した。加盟企業の72%が、自社のジーンズを同イニシアチブのガイドラインに準拠させたことがわかった。

 ジーンズ・リデザインは2019年に発足。現在、

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 サーキュラーエコノミー推進の英エレン・マッカーサー財団のイニシアチブ「ジーンズ・リデザイン」は7月19日、現状を分析した「インサイト・レポート」を発行した。加盟企業の72%が、自社のジーンズを同イニシアチブのガイドラインに準拠させたことがわかった。

 ジーンズ・リデザインは2019年に発足。現在、25ヶ国から100社が加盟している。参画企業は、リーバイ・ストラウス、LEE、ラングラー、GAP、H&M、C&A、ZARA、Zalando、クロエ、バナナ・リパブリック、ラルフローレン、トミーヒルフィガー、マークス&スペンサー、プライマーク、ESPRIT等。中国、インド、トルコ、ベトナムの企業も参画。日本企業の加盟はゼロ。

 ジーンズは、アパレルの中でも、使用後のリメイクやリサイクルが困難とされてきた製品。そこでジーンズ・リデザインは、困難なジーンズでこそサーキュラーエコノミーを追求する意義が大きいと考え、発足。長寿命化、クローズド・ループ・リサイクル、安全で再生可能な素材の使用の3つを行動分野として定めている。すでにデザインと製法に関するガイドライン「ジーンズ・リデザイン・ガイドライン」も2019年に策定。2021年に改訂され、最低基準が引き上げられた。また、2021年6月には、同ガイドラインを用いた最初の製品が上市している。

 同イニシアチブの参画企業は、自社製品の一部を「ジーンズ・リデザイン・ガイドライン」の最低基準に準拠する義務が課せられており、毎年の報告義務もある。また準拠を検証する手段についても事前に定め、報告しなければならない。最低基準の内容は、まず、家庭洗濯機で30回以上の耐用性の確保。また、洗濯頻度の低減、30℃未満の水温での洗濯、回転式乾燥機の使用忌避の3つに関する方法についてラベル表示もしなければならない。

 すでに自社製品を同ガイドラインに準拠させた加盟企業は72社に上る。さらに自主的にジーンズ以外の製品にも適用を開始した企業も29社あった。そのうち、自社製品の40%以上を同ガイドラインに準拠させた企業が11社。なかには100%を達成した企業もあった。同ガイドラインに準拠したジーンズの数は2023年だけで150万本となり、2021から3倍以上になった。

 製品素材の単一化では、「ジーンズ・リデザイン・ガイドライン」の準拠製品について、素材のセルロース原料比率を98%以上にした企業が62社、すでに100%を達成した企業が20社あった。同ガイドラインが求める洗濯ラベル表示についても遵守を完了した企業が84社となった。

 ジーンズで一般的だったリベットの使用でも、リサイクル性を高めるため、70社以上が廃止を開始。すでに38社は全廃を実現した。有害化学物質、水利用、排水についても、対策が進展してきている。

 消費者が廃棄した製品をリサイクルした再生素材の活用では、製品毎の最大含有割合をたずねたところ、クロエで87%、Triarchyで43%、リーバイ・ストラウスで40%だった。一方、中小規模の企業では、活用が進展しておらず、課題として認識された。バージン原料でのリジェネラティブ農業転換では、9社が着手したと回答した。

 ビジネスモデルの転換では、製品回収を開始した企業が60社。リセール事業を開始した企業が29社。修理サービスを開始した企業が27社あった。

 課題としては、再生素材等の素材価格が比較的高いことや、ガイドラインに準拠するストレッチ・ジーンズを開発することが現状困難なこと、リベット廃止ではデザイン上の理由から廃止できなかったこと等が挙げられた。そこで政府への提言として、公平な競争環境を実現するために、アパレル製品に対する法定最低基準の導入を提唱した。

【参照ページ】Press Release: The Jeans Redesign Insights Report 2023

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