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【日本】政府、第6次国土利用計画と第3次国土形成計画を閣議決定。ネイチャーポジティブ全面に

 日本政府は7月28日、「第6次国土利用計画(全国計画)」と「第3次国土形成計画(全国計画)」を閣議決定した。ネイチャーポジティブの概念を双方の計画に組み込んだ。

 国土利用計画は、国土利用計画法に基づき、また国土形成計画は、国土形成計画法に基づき、策定される。国土利用計画は、国土の利用に関する基本構想を定めており、都市地域、農村地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の5つの在り方を示しており、閣議決定する全国計画に基づき、都道府県計画が定められる。また、国土形成計画は、実際の利用、整備、保全に関する総合計画が示されており、閣議決定する全国計画に基づき、国土交通相が広域地方計画を決定する。

 今回の第6次国土利用計画では、2050年カーボンニュートラルや、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30by30目標」といった国際公約の実現と地域課題の統合的な解決に向け、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる「ネイチャーポジティブ」の考えに根ざした国土利用・管理を進めていくことが重要であると明記した。

 また、人口減少により、空間的余裕が生まれるため、機会として捉え、生物多様性の確保や自然環境の保全・再生を進めつつ、持続可能で豊かな暮らしを実現する視点も重要とした。それに伴い放棄される土地は、自然の生態系に戻す努力を行うとした。

 具体的には、国立公園等の保護地域の拡張と管理の強化を図るとともに、低未利用土地の自然再生地への転換も含め、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)の設定・管理を促進する考え。さらに、自然環境が有する多様な機能を活用するグリーンインフラや生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)等の自然を軸としたソリューション(NbS)の考え方に根ざした地域社会課題の解決を図る。

 地域資源では、地域におけるカーボンニュートラルの実現に向け、地域共生型の再生可能エネルギー導入促進や、バイオマス等の循環利用を進めるとともに、地域資源の知恵や技術の継承も同時に狙う。環境省が提唱してきた「地域循環共生圏」の考え方も、今回初めて盛り込んだ。鍵となるデータ活用では、各主体が所有するデータを積極的にオープンデータ化することによって利活用を促進するとともに、行政、企業、大学等のデータ利活用者のニーズを反映したデータ連携の仕組みをデータプラットフォーム等を活用して整備していくとした。

 都市地域に関しては、都市機能や居住を中心部や生活拠点等に集約化するコンパクトシティを進める。農村地域では、地域の発意に基づき、優先的に維持したい農地等の土地の明確化や、管理方法の転換等による持続可能な土地の利用・管理を進めていくため、農林水産省と連携する。特に、住宅地の整備に際しては、世帯数が計画期間中に減少に転じると見込まれるため、土地利用の高度化、低未利用土地の活用、空き家の活用・除却を推進し、農地や森林等からの転換は抑制しつつ、必要な用地を確保する。

 一方、防災・減災面では、「気候変動の影響により、極端な降水がより強く、より頻繁に発生する可能性が非常に高くなると予測されており、風水害、土砂災害の激甚化・頻発化が懸念される。その一方で、無降水日数も全国的に増加することが予測されており、渇水の頻発化・長期化・深刻化も懸念される。加えて、雪崩の発生等による集落の孤立、集中的な降雪による交通障害、空き家の倒壊等による被害の発生など雪害による悪影響も懸念される」と指摘。「流域治水」を推進するとともに、災害ハザードエリア7における開発抑制と中長期的な視点でより安全な地域へ都市機能や居住を誘導することも盛り込んだ。森林の再活性化による防災機能強化にも触れた。さらに、渇水対策では、水の効率的な利用と有効利用、水インフラ(河川管理施設、水力発電施設、農業水利施設、工業用水道施設、水道施設、下水道施設等)の適切かつ戦略的な維持管理・更新や安定した水資源の確保のための総合的な対策を推進する。

 国土形成計画では、デジタル技術を活用したリアルの地域空間の質的向上、グリーン国土の創造、持続可能な産業への構造転換、人口減少下の国土利用・管理へのシフト等を重点テーマに据えた。こちらでも「ネイチャーポジティブの考え方に根ざした国土利用・管理の推進」を明記した。

【参照ページ】新たな「国土形成計画(全国計画)」及び 「国土利用計画(全国計画)」を閣議決定

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 日本政府は7月28日、「第6次国土利用計画(全国計画)」と「第3次国土形成計画(全国計画)」を閣議決定した。ネイチャーポジティブの概念を双方の計画に組み込んだ。

 国土利用計画は、

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 日本政府は7月28日、「第6次国土利用計画(全国計画)」と「第3次国土形成計画(全国計画)」を閣議決定した。ネイチャーポジティブの概念を双方の計画に組み込んだ。

 国土利用計画は、

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 日本政府は7月28日、「第6次国土利用計画(全国計画)」と「第3次国土形成計画(全国計画)」を閣議決定した。ネイチャーポジティブの概念を双方の計画に組み込んだ。

 国土利用計画は、国土利用計画法に基づき、また国土形成計画は、国土形成計画法に基づき、策定される。国土利用計画は、国土の利用に関する基本構想を定めており、都市地域、農村地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の5つの在り方を示しており、閣議決定する全国計画に基づき、都道府県計画が定められる。また、国土形成計画は、実際の利用、整備、保全に関する総合計画が示されており、閣議決定する全国計画に基づき、国土交通相が広域地方計画を決定する。

 今回の第6次国土利用計画では、2050年カーボンニュートラルや、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30by30目標」といった国際公約の実現と地域課題の統合的な解決に向け、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる「ネイチャーポジティブ」の考えに根ざした国土利用・管理を進めていくことが重要であると明記した。

 また、人口減少により、空間的余裕が生まれるため、機会として捉え、生物多様性の確保や自然環境の保全・再生を進めつつ、持続可能で豊かな暮らしを実現する視点も重要とした。それに伴い放棄される土地は、自然の生態系に戻す努力を行うとした。

 具体的には、国立公園等の保護地域の拡張と管理の強化を図るとともに、低未利用土地の自然再生地への転換も含め、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)の設定・管理を促進する考え。さらに、自然環境が有する多様な機能を活用するグリーンインフラや生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)等の自然を軸としたソリューション(NbS)の考え方に根ざした地域社会課題の解決を図る。

 地域資源では、地域におけるカーボンニュートラルの実現に向け、地域共生型の再生可能エネルギー導入促進や、バイオマス等の循環利用を進めるとともに、地域資源の知恵や技術の継承も同時に狙う。環境省が提唱してきた「地域循環共生圏」の考え方も、今回初めて盛り込んだ。鍵となるデータ活用では、各主体が所有するデータを積極的にオープンデータ化することによって利活用を促進するとともに、行政、企業、大学等のデータ利活用者のニーズを反映したデータ連携の仕組みをデータプラットフォーム等を活用して整備していくとした。

 都市地域に関しては、都市機能や居住を中心部や生活拠点等に集約化するコンパクトシティを進める。農村地域では、地域の発意に基づき、優先的に維持したい農地等の土地の明確化や、管理方法の転換等による持続可能な土地の利用・管理を進めていくため、農林水産省と連携する。特に、住宅地の整備に際しては、世帯数が計画期間中に減少に転じると見込まれるため、土地利用の高度化、低未利用土地の活用、空き家の活用・除却を推進し、農地や森林等からの転換は抑制しつつ、必要な用地を確保する。

 一方、防災・減災面では、「気候変動の影響により、極端な降水がより強く、より頻繁に発生する可能性が非常に高くなると予測されており、風水害、土砂災害の激甚化・頻発化が懸念される。その一方で、無降水日数も全国的に増加することが予測されており、渇水の頻発化・長期化・深刻化も懸念される。加えて、雪崩の発生等による集落の孤立、集中的な降雪による交通障害、空き家の倒壊等による被害の発生など雪害による悪影響も懸念される」と指摘。「流域治水」を推進するとともに、災害ハザードエリア7における開発抑制と中長期的な視点でより安全な地域へ都市機能や居住を誘導することも盛り込んだ。森林の再活性化による防災機能強化にも触れた。さらに、渇水対策では、水の効率的な利用と有効利用、水インフラ(河川管理施設、水力発電施設、農業水利施設、工業用水道施設、水道施設、下水道施設等)の適切かつ戦略的な維持管理・更新や安定した水資源の確保のための総合的な対策を推進する。

 国土形成計画では、デジタル技術を活用したリアルの地域空間の質的向上、グリーン国土の創造、持続可能な産業への構造転換、人口減少下の国土利用・管理へのシフト等を重点テーマに据えた。こちらでも「ネイチャーポジティブの考え方に根ざした国土利用・管理の推進」を明記した。

【参照ページ】新たな「国土形成計画(全国計画)」及び 「国土利用計画(全国計画)」を閣議決定

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