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【国際】COP28、152ヶ国が持続可能な食料・農業宣言に署名。水資源も焦点

 世界152ヶ国・地域政府は12月10日、「持続可能な農業、レジリエントな食料システム、気候アクションに関するCOP28 UAE宣言」に署名した。12月1日に134ヶ国が署名していたが、新たに18ヶ国も署名した。農業と食料システムを気候変動対策に統合すること宣言した。

【参考】【国際】COP28、リジェネラティブ農業転換に134ヶ国署名。2030年1.6億ha。総額3300億円動員へ(2023年12月2日)

 同宣言では、農民、漁民、食料生産者に対する気候変動適応とレジリエンスの拡大、気候変動によって生計が脅かされている女性と若者を含む農業と食糧システムの労働者に対する包括的でディーセントな雇用を維持ための措置、脆弱な立場の人々に対する支援やイノベーション強化、自然(生物多様性)と気候変動緩和の双方の観点での持続可能な農業への転換、農業と食料システムにおける水の統合管理の強化の5つを目的として設定した。

 さらに同目的の達成に向けたコミットメントとして5つを設定した。

  • COP30開催までに、農業と食料システムを国家適応計画(NAP)、国別削減目標(NDC)、長期戦略(LP)、生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAP)等の関連戦略に統合するため、それぞれの国情に適した、広範で透明性のある、包括的なエンゲージメントを追求する。
  • 
農業と食料システムに関する政策と公的支援を再検討または方向付け、所得増加、温室効果ガス排出量削減、レジリエンス、生産性、生計、栄養、水効率、人間・動物・生態系の健康を強化するアクションを促進する一方、食品ロスと食品廃棄物、生態系の喪失と劣化を削減する。
  • 
気候変動に対応するために農業と食料システムを適応、変革するために、ブレンデッド手法、官民パートナーシップ、その他の連携したアクションを含め、公的機関、慈善団体、民間部門からのあらゆる形態の資金へのアクセスを引き続き拡大し、強化する。
  • 
農業とそれに関連する新たな領域の持続可能な生産性と生産を向上させ、生態系レジリエンスを促進し、農村コミュニティ、小規模農家、家族経営農家、その他の生産者を含む生計を向上させる、科学とエビデンスに基づくイノベーション(地元や先住民の知識を含む)を加速化し、拡大する。
  • 世界貿易機関(WTO)を中核とする、ルールに基づく、非差別的、開放的、公正、包摂的、公平かつ透明な多国間貿易システムを強化する。

 同宣言に署名したのは、米国、カナダ、英国、EU、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ポーランド、ウクライナ、日本、中国、韓国、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、ブラジル、ウルグアイ、チリ、ペルー、ガーナ、エチオピア、ケニア、ナイジェリア、ルワンダ、エジプト、スーダン等。署名国は、2024年のCOP29で2025年移行のステップを検討する。

 今回のCOP28期間中では、食料システム部門における気候変動アクションに、合計71億米ドル(約1兆円)以上の資金コミットメントが発表した。

 またCOP28では、3月の国連水会議で発足した「淡水チャレンジ」に30ヶ国以上が新たに加盟した。同チャレンジの加盟国は、2030年までに劣化した地球上の淡水生態系の30%を保護・再生することにコミットしている。

【参考】【国際】国連水会議2023、SDGs目標6「水・衛生」で新たな活動開始。イノベーション重要(2023年3月24日)

 さらに今回、COP28議長国のアラブ首長国連邦(UAE)、国連食糧農業機関(FAO)、世界銀行、国際農業研究協議グループ(CGIAR)、国際農業開発基金(IFAD)は、共同シャルム・エル・シェイク支援プログラムを発表。政府や地方自治体が、農家、食料生産者、小規模農業関連事業者、地域コミュ ニティに対する資金や支援を加速できるよう3年間のプログラムを展開していく。また、ブラジル、カンボジア、ノルウェー、シエラレオネの4カ国政府は、「フードシステム変革のためのチャンピオン連合(AGF)」を結成し、自国の食料システムを改善していくことを宣言した。

 FAO、世界資源保護基金(WWF)、NDCパートナーシップ、Climate Focus、Global Alliance for the Future of Foodで構成されるタスクフォースも、ドイツ政府と協力し、「国別適応計画(NAP)及び国別削減目標(NDC)のためのCOP28食料・農業気候国別行動ツールキット」を発表。各国政府向けのガイダンスを提供した。

 COP28は同日、国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)議長国の中国と協働し、「気候、自然、人に関するCOP28共同声明」も発表。各国政府の気候変動、生物多様性、国土再生計画等において、関係省庁内及び関係省庁間の一貫性、調整、組織資源の効率的利用を主とする政府全体アプローチを重視すること等を宣言した。同声明には18ヶ国が署名した。

【参照ページ】COP28’s Food, Agriculture and Water Day secures major commitments to address climate impacts and keep 1.5C within reach
【参照ページ】COP28 UAE DECLARATION ON SUSTAINABLE AGRICULTURE, RESILIENT FOOD SYSTEMS, AND CLIMATE ACTION
【参照ページ】UNITED FOR NATURE: COP28 MOBILIZES ACTION TO PROTECT AND RESTORE FORESTS, MANGROVES, LAND AND OCEAN
【参照ページ】COP28 JOINT STATEMENT ON CLIMATE, NATURE AND PEOPLE

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 世界152ヶ国・地域政府は12月10日、「持続可能な農業、レジリエントな食料システム、気候アクションに関するCOP28 UAE宣言」に署名した。12月1日に134ヶ国が署名していたが、新たに18ヶ国も署名した。農業と食料システムを気候変動対策に統合すること宣言した。

【参考】【国際】COP28、リジェネラティブ農業転換に134ヶ国署名。2030年1.6億ha。総額3300億円動員へ(2023年12月2日)

 同宣言では、

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 世界152ヶ国・地域政府は12月10日、「持続可能な農業、レジリエントな食料システム、気候アクションに関するCOP28 UAE宣言」に署名した。12月1日に134ヶ国が署名していたが、新たに18ヶ国も署名した。農業と食料システムを気候変動対策に統合すること宣言した。

【参考】【国際】COP28、リジェネラティブ農業転換に134ヶ国署名。2030年1.6億ha。総額3300億円動員へ(2023年12月2日)

 同宣言では、

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 世界152ヶ国・地域政府は12月10日、「持続可能な農業、レジリエントな食料システム、気候アクションに関するCOP28 UAE宣言」に署名した。12月1日に134ヶ国が署名していたが、新たに18ヶ国も署名した。農業と食料システムを気候変動対策に統合すること宣言した。

【参考】【国際】COP28、リジェネラティブ農業転換に134ヶ国署名。2030年1.6億ha。総額3300億円動員へ(2023年12月2日)

 同宣言では、農民、漁民、食料生産者に対する気候変動適応とレジリエンスの拡大、気候変動によって生計が脅かされている女性と若者を含む農業と食糧システムの労働者に対する包括的でディーセントな雇用を維持ための措置、脆弱な立場の人々に対する支援やイノベーション強化、自然(生物多様性)と気候変動緩和の双方の観点での持続可能な農業への転換、農業と食料システムにおける水の統合管理の強化の5つを目的として設定した。

 さらに同目的の達成に向けたコミットメントとして5つを設定した。

  • COP30開催までに、農業と食料システムを国家適応計画(NAP)、国別削減目標(NDC)、長期戦略(LP)、生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAP)等の関連戦略に統合するため、それぞれの国情に適した、広範で透明性のある、包括的なエンゲージメントを追求する。
  • 
農業と食料システムに関する政策と公的支援を再検討または方向付け、所得増加、温室効果ガス排出量削減、レジリエンス、生産性、生計、栄養、水効率、人間・動物・生態系の健康を強化するアクションを促進する一方、食品ロスと食品廃棄物、生態系の喪失と劣化を削減する。
  • 
気候変動に対応するために農業と食料システムを適応、変革するために、ブレンデッド手法、官民パートナーシップ、その他の連携したアクションを含め、公的機関、慈善団体、民間部門からのあらゆる形態の資金へのアクセスを引き続き拡大し、強化する。
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農業とそれに関連する新たな領域の持続可能な生産性と生産を向上させ、生態系レジリエンスを促進し、農村コミュニティ、小規模農家、家族経営農家、その他の生産者を含む生計を向上させる、科学とエビデンスに基づくイノベーション(地元や先住民の知識を含む)を加速化し、拡大する。
  • 世界貿易機関(WTO)を中核とする、ルールに基づく、非差別的、開放的、公正、包摂的、公平かつ透明な多国間貿易システムを強化する。

 同宣言に署名したのは、米国、カナダ、英国、EU、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ポーランド、ウクライナ、日本、中国、韓国、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、ブラジル、ウルグアイ、チリ、ペルー、ガーナ、エチオピア、ケニア、ナイジェリア、ルワンダ、エジプト、スーダン等。署名国は、2024年のCOP29で2025年移行のステップを検討する。

 今回のCOP28期間中では、食料システム部門における気候変動アクションに、合計71億米ドル(約1兆円)以上の資金コミットメントが発表した。

 またCOP28では、3月の国連水会議で発足した「淡水チャレンジ」に30ヶ国以上が新たに加盟した。同チャレンジの加盟国は、2030年までに劣化した地球上の淡水生態系の30%を保護・再生することにコミットしている。

【参考】【国際】国連水会議2023、SDGs目標6「水・衛生」で新たな活動開始。イノベーション重要(2023年3月24日)

 さらに今回、COP28議長国のアラブ首長国連邦(UAE)、国連食糧農業機関(FAO)、世界銀行、国際農業研究協議グループ(CGIAR)、国際農業開発基金(IFAD)は、共同シャルム・エル・シェイク支援プログラムを発表。政府や地方自治体が、農家、食料生産者、小規模農業関連事業者、地域コミュ ニティに対する資金や支援を加速できるよう3年間のプログラムを展開していく。また、ブラジル、カンボジア、ノルウェー、シエラレオネの4カ国政府は、「フードシステム変革のためのチャンピオン連合(AGF)」を結成し、自国の食料システムを改善していくことを宣言した。

 FAO、世界資源保護基金(WWF)、NDCパートナーシップ、Climate Focus、Global Alliance for the Future of Foodで構成されるタスクフォースも、ドイツ政府と協力し、「国別適応計画(NAP)及び国別削減目標(NDC)のためのCOP28食料・農業気候国別行動ツールキット」を発表。各国政府向けのガイダンスを提供した。

 COP28は同日、国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)議長国の中国と協働し、「気候、自然、人に関するCOP28共同声明」も発表。各国政府の気候変動、生物多様性、国土再生計画等において、関係省庁内及び関係省庁間の一貫性、調整、組織資源の効率的利用を主とする政府全体アプローチを重視すること等を宣言した。同声明には18ヶ国が署名した。

【参照ページ】COP28’s Food, Agriculture and Water Day secures major commitments to address climate impacts and keep 1.5C within reach
【参照ページ】COP28 UAE DECLARATION ON SUSTAINABLE AGRICULTURE, RESILIENT FOOD SYSTEMS, AND CLIMATE ACTION
【参照ページ】UNITED FOR NATURE: COP28 MOBILIZES ACTION TO PROTECT AND RESTORE FORESTS, MANGROVES, LAND AND OCEAN
【参照ページ】COP28 JOINT STATEMENT ON CLIMATE, NATURE AND PEOPLE

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