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【アメリカ】NGO、メキシコ湾LNGプロジェクトの損害保険引受35社公表。日本の大手3社も

 国際環境NGOの保険会社への脱炭素推進ネットワーク「Insure Our Future」は2月21日、米メキシコ湾南部での液化天然ガス(LNG)輸出ターミナル・プロジェクト7件に関し、損害保険を引き受けている保険会社35社を公表した。米情報公開法(FOIA)を通じて情報を入手した。

 国際環境NGOは、気候変動1.5℃目標の達成のためには、天然ガスの消費量もゼロにする必要があると考えている。一方、メキシコ湾南部ではLNG輸出ターミナルの建設プロジェクトが複数動いている。同時に、保険世界大手は、保険引受でのカーボンニュートラルについても宣言する傾向にあり、環境NGOは今回、実態把握に動いた。もともとは損害保険各社は、天然ガス関連プロジェクトへの損害引受について禁止を表明していないところも多い。

 今回の情報の入手は、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワークとパブリック・シチズンが約1年をかけ、連邦エネルギー規制委員会(FERC)、州政府、地方自治体、ターミナル港事業者等に情報開示を要求してきた。50件の開示要求のうち、15件回答があり、保険証書も7件が提供された。今回7件の保険証書に記載されていた保険会社を公表した形。引き受けている保険には、損害賠償責任、一般賠償責任、超過賠償責任、環境/汚染賠償責任等があった。従来、保険引受の情報開示要求は却下される傾向にあったが、今回大規模な情報入手に成功した。

 調査対象となったプロジェクト7件は、テキサス州のフリーポートLNG、リオ・グランデLNG、ルイジアナ州のキャメロンLNG、レイク・チャールズLNG、サビン・パスLNG、ジョージア州のサザンLNG、そしてメキシコ湾ではないがワシントン州のタコマLNG。

 7件のプロジェクトに対し、AIG、Chubb、リバティ・ミューチュアル、SCORは大半の保険証書に名を連ねていた。ロイズ・オブ・ロンドンも20のシンジケートが保険を引き受けていた。他に、QBE保険、アクサ、アリアンツ、チューリッヒ保険、アルゴ再保険、トラベラーズ、バークシャー・ハサウェイ、ハートフォード生命、スイス再保険傘下のXL Insurance America、ミュンヘン再保険傘下のGreat Lakes insurance、オールド・リパブリック等が保険を引き受けていた。日本の損保大手、東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスも傘下の企業を通じ、保険を引き受けていた。

 Insuramoreの試算によると、化石燃料の保険料は2022年に約212億5000万米ドル。ChubbとAIGの2社は、化石燃料保険会社の世界トップ10に入っており、2022年の化石燃料保険料はそれぞれ7億米ドルと5億5000万米ドル。一方、気候関連の災害に対する保険金の支払額は、2017年以降倍増し、毎年平均1,100億米ドルに達している。

【参照ページ】Risk Exposure: The Insurers Secretly Backing The Methane Gas Boom in the U.S. Gulf South

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 国際環境NGOの保険会社への脱炭素推進ネットワーク「Insure Our Future」は2月21日、米メキシコ湾南部での液化天然ガス(LNG)輸出ターミナル・プロジェクト7件に関し、損害保険を引き受けている保険会社35社を公表した。米情報公開法(FOIA)を通じて情報を入手した。

 国際環境NGOは、

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 国際環境NGOの保険会社への脱炭素推進ネットワーク「Insure Our Future」は2月21日、米メキシコ湾南部での液化天然ガス(LNG)輸出ターミナル・プロジェクト7件に関し、損害保険を引き受けている保険会社35社を公表した。米情報公開法(FOIA)を通じて情報を入手した。

 国際環境NGOは、

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 国際環境NGOの保険会社への脱炭素推進ネットワーク「Insure Our Future」は2月21日、米メキシコ湾南部での液化天然ガス(LNG)輸出ターミナル・プロジェクト7件に関し、損害保険を引き受けている保険会社35社を公表した。米情報公開法(FOIA)を通じて情報を入手した。

 国際環境NGOは、気候変動1.5℃目標の達成のためには、天然ガスの消費量もゼロにする必要があると考えている。一方、メキシコ湾南部ではLNG輸出ターミナルの建設プロジェクトが複数動いている。同時に、保険世界大手は、保険引受でのカーボンニュートラルについても宣言する傾向にあり、環境NGOは今回、実態把握に動いた。もともとは損害保険各社は、天然ガス関連プロジェクトへの損害引受について禁止を表明していないところも多い。

 今回の情報の入手は、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワークとパブリック・シチズンが約1年をかけ、連邦エネルギー規制委員会(FERC)、州政府、地方自治体、ターミナル港事業者等に情報開示を要求してきた。50件の開示要求のうち、15件回答があり、保険証書も7件が提供された。今回7件の保険証書に記載されていた保険会社を公表した形。引き受けている保険には、損害賠償責任、一般賠償責任、超過賠償責任、環境/汚染賠償責任等があった。従来、保険引受の情報開示要求は却下される傾向にあったが、今回大規模な情報入手に成功した。

 調査対象となったプロジェクト7件は、テキサス州のフリーポートLNG、リオ・グランデLNG、ルイジアナ州のキャメロンLNG、レイク・チャールズLNG、サビン・パスLNG、ジョージア州のサザンLNG、そしてメキシコ湾ではないがワシントン州のタコマLNG。

 7件のプロジェクトに対し、AIG、Chubb、リバティ・ミューチュアル、SCORは大半の保険証書に名を連ねていた。ロイズ・オブ・ロンドンも20のシンジケートが保険を引き受けていた。他に、QBE保険、アクサ、アリアンツ、チューリッヒ保険、アルゴ再保険、トラベラーズ、バークシャー・ハサウェイ、ハートフォード生命、スイス再保険傘下のXL Insurance America、ミュンヘン再保険傘下のGreat Lakes insurance、オールド・リパブリック等が保険を引き受けていた。日本の損保大手、東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスも傘下の企業を通じ、保険を引き受けていた。

 Insuramoreの試算によると、化石燃料の保険料は2022年に約212億5000万米ドル。ChubbとAIGの2社は、化石燃料保険会社の世界トップ10に入っており、2022年の化石燃料保険料はそれぞれ7億米ドルと5億5000万米ドル。一方、気候関連の災害に対する保険金の支払額は、2017年以降倍増し、毎年平均1,100億米ドルに達している。

【参照ページ】Risk Exposure: The Insurers Secretly Backing The Methane Gas Boom in the U.S. Gulf South

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