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【日本】環境省、「ESG地域金融実践ガイド3.0」公表。農水省や金融庁も改訂

 環境省は3月29日、「ESG地域金融実践ガイド3.0」を公表した。今年度の調査から浮かび上がってきた課題として実践の「入口」に特に焦点を当て、初動でのポイントや、先行者が実践時に苦労した点を掲げた。

 同省は同日、2023年度のESG地域金融に関するアンケート調査結果も公表している。同調査にはメガバンクから信用組合まで509社に調査票を送付し、447社から回答を得た。回答率は前年度の69.7%から今回は87.6%へと大幅に上昇した。

 調査の状況では、足もとでは、半数以上の金融機関がESG資金需要の伸びを感じており、ESG関連融資商品の融資実行が増加したとの回答も20%程度となった。さらに先行きでは、約6割の金融機関がESG資金需要について「加速度的」または「現状程度」のペースで増加するとみている。取引先への事業性評価にESG要素を体系的に組み込んでいる金融機関も25%あった。

 一方、カーボンニュートラルに関するファイナンスでの支店・営業店への浸透や戦略への組み込みに至っている機関が前年度の42%から今回は51%に伸長した。ESG金融の継続的推進に向けて、知見・ノウハウを組織内で蓄積できている機関は24%に留まった。また、サーキュラーエコノミー、生物多様性を経営課題として認識し、戦略に組み込んでいる機関は20%未満と低く、テーマが広がっていないことが明らかとなった。さらに、実践に向けた主な課題としては「環境課題に関する専門人材の不足」「リスクや機会に係るノウハウ不足」「取引先企業への意識醸成」が挙がった。

 今回の改訂では、ガイド本編から事例集を分割。ページ数を減らすことで、導入時の企業にとっての抵抗感を減らした。また、同ガイドの要約版として「ESG地域金融ハンドブック」も作成した。さらに、ESG地域金融の「入口」となる、ESG要素を勘案した取引先企業との対話実践にフォーカスし、職員による対話実践の初動やESG地域金融の基礎的な理解に軸足を置いた基礎編を作成した。

 他には、多くの地域金融機関に共通するキーワードとして、「地域資源・産業へのアプローチ」「ESG要素を考慮した対話の実践」「地域へのインパクト」を抽出。今年度事業での成果や教訓等を踏まえて一部説明を修正及び説明資料を追加した。

 同省は別途同日、気候変動に特化した形で「金融機関におけるTCFD開示に基づくエンゲージメント実践ガイダンス」も公表している。こちらでも取引先に対するエンゲージメントの初動を重点的に解説した。

 ESG地域金融では、農林水産省が同日、環境省と連携し、「農林水産業・食品産業に関するESG地域金融実践ガイダンス」の第3版と「農林水産業・食品産業に関するESG地域金融モデル事例集」を発表した。第3版では、制度情報等をアップデートした。

 一方、金融庁も同日、地域金融機関の事業者支援能力の向上を後押しするため、「業種別支援の着眼点」の業種追加版を発行。前年度に用意した建設業、飲食業、小売業、卸売業、運送業に加え、製造業、サービス業、医療業を掲載した。しかしこちらにはESGの観点はあまり盛り込まれなかった。

【参照ページ】「ESG地域金融実践ガイド3.0」の公表について
【参照ページ】2023年度ESG地域金融に関するアンケート調査結果の公表について
【参照ページ】金融機関におけるTCFD開示に基づくエンゲージメント実践ガイダンス」の公表について
【参照ページ】「農林水産業・食品産業に関するESG地域金融モデル事例集」の公表について
【参照ページ】「業種別支援の着眼点」(追加業種)の公表について

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 環境省は3月29日、「ESG地域金融実践ガイド3.0」を公表した。今年度の調査から浮かび上がってきた課題として実践の「入口」に特に焦点を当て、初動でのポイントや、先行者が実践時に苦労した点を掲げた。

 同省は同日、

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 環境省は3月29日、「ESG地域金融実践ガイド3.0」を公表した。今年度の調査から浮かび上がってきた課題として実践の「入口」に特に焦点を当て、初動でのポイントや、先行者が実践時に苦労した点を掲げた。

 同省は同日、

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 環境省は3月29日、「ESG地域金融実践ガイド3.0」を公表した。今年度の調査から浮かび上がってきた課題として実践の「入口」に特に焦点を当て、初動でのポイントや、先行者が実践時に苦労した点を掲げた。

 同省は同日、2023年度のESG地域金融に関するアンケート調査結果も公表している。同調査にはメガバンクから信用組合まで509社に調査票を送付し、447社から回答を得た。回答率は前年度の69.7%から今回は87.6%へと大幅に上昇した。

 調査の状況では、足もとでは、半数以上の金融機関がESG資金需要の伸びを感じており、ESG関連融資商品の融資実行が増加したとの回答も20%程度となった。さらに先行きでは、約6割の金融機関がESG資金需要について「加速度的」または「現状程度」のペースで増加するとみている。取引先への事業性評価にESG要素を体系的に組み込んでいる金融機関も25%あった。

 一方、カーボンニュートラルに関するファイナンスでの支店・営業店への浸透や戦略への組み込みに至っている機関が前年度の42%から今回は51%に伸長した。ESG金融の継続的推進に向けて、知見・ノウハウを組織内で蓄積できている機関は24%に留まった。また、サーキュラーエコノミー、生物多様性を経営課題として認識し、戦略に組み込んでいる機関は20%未満と低く、テーマが広がっていないことが明らかとなった。さらに、実践に向けた主な課題としては「環境課題に関する専門人材の不足」「リスクや機会に係るノウハウ不足」「取引先企業への意識醸成」が挙がった。

 今回の改訂では、ガイド本編から事例集を分割。ページ数を減らすことで、導入時の企業にとっての抵抗感を減らした。また、同ガイドの要約版として「ESG地域金融ハンドブック」も作成した。さらに、ESG地域金融の「入口」となる、ESG要素を勘案した取引先企業との対話実践にフォーカスし、職員による対話実践の初動やESG地域金融の基礎的な理解に軸足を置いた基礎編を作成した。

 他には、多くの地域金融機関に共通するキーワードとして、「地域資源・産業へのアプローチ」「ESG要素を考慮した対話の実践」「地域へのインパクト」を抽出。今年度事業での成果や教訓等を踏まえて一部説明を修正及び説明資料を追加した。

 同省は別途同日、気候変動に特化した形で「金融機関におけるTCFD開示に基づくエンゲージメント実践ガイダンス」も公表している。こちらでも取引先に対するエンゲージメントの初動を重点的に解説した。

 ESG地域金融では、農林水産省が同日、環境省と連携し、「農林水産業・食品産業に関するESG地域金融実践ガイダンス」の第3版と「農林水産業・食品産業に関するESG地域金融モデル事例集」を発表した。第3版では、制度情報等をアップデートした。

 一方、金融庁も同日、地域金融機関の事業者支援能力の向上を後押しするため、「業種別支援の着眼点」の業種追加版を発行。前年度に用意した建設業、飲食業、小売業、卸売業、運送業に加え、製造業、サービス業、医療業を掲載した。しかしこちらにはESGの観点はあまり盛り込まれなかった。

【参照ページ】「ESG地域金融実践ガイド3.0」の公表について
【参照ページ】2023年度ESG地域金融に関するアンケート調査結果の公表について
【参照ページ】金融機関におけるTCFD開示に基づくエンゲージメント実践ガイダンス」の公表について
【参照ページ】「農林水産業・食品産業に関するESG地域金融モデル事例集」の公表について
【参照ページ】「業種別支援の着眼点」(追加業種)の公表について

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