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【国際】PRI、CO2固定・回収技術の市場見通し分析発表。森林関連は石油・ガス上回る市場価値

 国連責任投資原則(PRI)は10月26日、気候変動に関するPRIシナリオ策定プログラム「Inevitable Policy Response(IPR)」の一環として、大気中の二酸化炭素濃度を低減する技術に着目したレポートを発表。とりわけ、森林を活用した炭素固定やバイオエコノミー化が巨大産業となり、2050年までに年間市場規模8,000億米ドル(約84兆円)にまで伸長し、市場価値は現在の石油・ガス産業を凌駕すると算出した。

 同レポートでは、パリ協定が目標とする1.5℃目標を実現するための必須技術となっている「ネガティブ・エミッション・テクノロジー(NET)」の市場見通しを分析。特に、「植林・森林再生」「土壌炭素貯留」「バイオ炭(Biochar)」「鉱物による風化促進(Enhanced Weathering 」「直接空気回収・炭素貯留(DACCS)」「バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)」の6つ技術を分析した。

 時間軸としては、植林・森林再生が最も早く実用技術として普及すると考えられ、森林破壊防止フェーズから森林を増やしていくアクションで2050年までに売上年間8,000億米ドル、現在価値に換算すると1.2兆米ドルの市場価値があり、エネルギー大手16社の企業価値を越える規模となると見通した。また、BECCSについては、2030年頃まで研究開発が続くが、同時に土地利用可能性の問題に直面するため、持続可能な規模での検討が重要と指摘。2030年代からは本格的な安定事業投資の時代に入ると見立てた。

 全体としては、CCSに依存しない自然由来ソリューション(NBS)の「植林・森林再生」「土壌炭素貯留」「バイオ炭(Biochar)」「鉱物による風化促進(Enhanced Weathering 」が比較的コストが安く進められるが、土地利用等の制約があり、徐々にBECCSが浮上し、その後にDACCSが浮上するとした。

 植林・森林再生への投資を加速させる注目のビジネスモデルとしては、劣化用地をディストレスド資産として購入しバリューアップ後に転売、ディストレスド資産のリース保有での価値創出、持続可能な林業スキーム、グリーンボンド、カーボン・オフテイカー保証、森林保険提供、炭素農場スキームの7つを挙げた。

 また機関投資家自身が実施すべきアクションとして、「投資先企業へのエンゲージメント」「サプライチェーンでの森林破壊企業からのダイベストメント(投資引揚げ)」「NBS市場拡大のリード」「政府へのエンゲージメント」「NBSプロジェクトのグローバル基準策定」「BECCSのサステナビリティ基準策定」「DACCS技術開発動向のモニタリング」の7つを挙げた。

【参照ページ】New investor guide to negative emission technologies and land use

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 国連責任投資原則(PRI)は10月26日、気候変動に関するPRIシナリオ策定プログラム「Inevitable Policy Response(IPR)」の一環として、大気中の二酸化炭素濃度を低減する技術に着目したレポートを発表。とりわけ、森林を活用した炭素固定やバイオエコノミー化が巨大産業となり、2050年までに年間市場規模8,000億米ドル(約84兆円)にまで伸長し、市場価値は現在の石油・ガス産業を凌駕すると算出した。

 同レポートでは、

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 国連責任投資原則(PRI)は10月26日、気候変動に関するPRIシナリオ策定プログラム「Inevitable Policy Response(IPR)」の一環として、大気中の二酸化炭素濃度を低減する技術に着目したレポートを発表。とりわけ、森林を活用した炭素固定やバイオエコノミー化が巨大産業となり、2050年までに年間市場規模8,000億米ドル(約84兆円)にまで伸長し、市場価値は現在の石油・ガス産業を凌駕すると算出した。

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 国連責任投資原則(PRI)は10月26日、気候変動に関するPRIシナリオ策定プログラム「Inevitable Policy Response(IPR)」の一環として、大気中の二酸化炭素濃度を低減する技術に着目したレポートを発表。とりわけ、森林を活用した炭素固定やバイオエコノミー化が巨大産業となり、2050年までに年間市場規模8,000億米ドル(約84兆円)にまで伸長し、市場価値は現在の石油・ガス産業を凌駕すると算出した。

 同レポートでは、パリ協定が目標とする1.5℃目標を実現するための必須技術となっている「ネガティブ・エミッション・テクノロジー(NET)」の市場見通しを分析。特に、「植林・森林再生」「土壌炭素貯留」「バイオ炭(Biochar)」「鉱物による風化促進(Enhanced Weathering 」「直接空気回収・炭素貯留(DACCS)」「バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)」の6つ技術を分析した。

 時間軸としては、植林・森林再生が最も早く実用技術として普及すると考えられ、森林破壊防止フェーズから森林を増やしていくアクションで2050年までに売上年間8,000億米ドル、現在価値に換算すると1.2兆米ドルの市場価値があり、エネルギー大手16社の企業価値を越える規模となると見通した。また、BECCSについては、2030年頃まで研究開発が続くが、同時に土地利用可能性の問題に直面するため、持続可能な規模での検討が重要と指摘。2030年代からは本格的な安定事業投資の時代に入ると見立てた。

 全体としては、CCSに依存しない自然由来ソリューション(NBS)の「植林・森林再生」「土壌炭素貯留」「バイオ炭(Biochar)」「鉱物による風化促進(Enhanced Weathering 」が比較的コストが安く進められるが、土地利用等の制約があり、徐々にBECCSが浮上し、その後にDACCSが浮上するとした。

 植林・森林再生への投資を加速させる注目のビジネスモデルとしては、劣化用地をディストレスド資産として購入しバリューアップ後に転売、ディストレスド資産のリース保有での価値創出、持続可能な林業スキーム、グリーンボンド、カーボン・オフテイカー保証、森林保険提供、炭素農場スキームの7つを挙げた。

 また機関投資家自身が実施すべきアクションとして、「投資先企業へのエンゲージメント」「サプライチェーンでの森林破壊企業からのダイベストメント(投資引揚げ)」「NBS市場拡大のリード」「政府へのエンゲージメント」「NBSプロジェクトのグローバル基準策定」「BECCSのサステナビリティ基準策定」「DACCS技術開発動向のモニタリング」の7つを挙げた。

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