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【国際】UNEP FI、TNFDパイロットプログラムの結果報告。日本6社含む42社参加。発見と課題

 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は4月、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)開示に関する金融機関パイロットプログラムの結果をまとめた報告書を発行した。世界金融大手42社の知見と洞察をまとめた実践的ケーススタディを紹介した。

【参考】【国際】UNEP FI、TNFD関連で金融機関側の準備状況を整理した報告書発行。課題の方向性を分析(2022年10月24日)

 パイロットプログラムに参画していたのは、アクサ、チューリッヒ保険、バンク・オブ・アメリカ、HSBC、ドイツ銀行、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、バークレイズ、ABNアムロ、ラボバンク、サンコープ、新韓金融グループ、中国信託金控等。日本からは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、農林中央金庫、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランス・グループ・ホールディングスが参画した。またMSCI、FAIRR、TNFD、CDC Biodiversite、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)、地球環境ファシリティ(GEF)、世界自然保護基金(WWF)がサポートメンバーとして入った。

 TNFDは、すでにベータ版第4版が発行されているが、同パイロットプログラムは第2版と第3版に基づき、2022年7月から2023年2月まで実施された。参加者の部門では、サステナビリティ戦略が3割弱で、リスクマネジメントが2割強。他に、金融商品開発、生物多様性スペシャリスト、投資、リサーチ等の部門だった。約40回のパイロット会議の他、4つのウェビナーや研修セッションも実施された。成果を今回まとめた。

【参考】【国際】TNFD、ベータ版第4版発表。開示14項目揃う。指標と目標も大筋確定。9月に最終発表(2023年4月20日)

 同報告書によると、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)開示に慣れている機関では、TNFD開示も比較的容易できたことがわかった。但し、これまで自然資本について検討していない機関にとっては、堅固な評価のために多くに経営資源を割く必要があるということもわかった。

 また、単一セクターの評価について今回トライしたが、複数セクターに関係するポートフォリオやプライベートエクイティやプライベートボンド、さらにはコミットメントライン設定のような金融商品では、検討が難しく、今後ガイダンスが必要になるとの見解も示された。

 充実した評価を行う上では、社内のITシステムを改善する必要があるとの声や、社内部門を横断したスキルセットが必要となることも認識された。気候-自然ネクサスや生物多様性エクスポージャーに関する専門知識をそもそも上げる必要があるとの意見も上がった。

 TNFDに関する専門的なガイダンスが多数必要なるとの意見も出たが、その点はすでにTNFD第4版で多数のガイダンスが実際に用意され、課題が反映されている。PBAFやUNEP-WCMC等の補完ツールも不可欠であることや、データと指標の標準化が極めて重要になるとの声も盛り込まれた。特に、金融機関は、投融資先の事業の位置データを持っておらず、エンゲージメントが重要になることもわかった。

【参照ページ】Unboxing Nature-related Risks: Insights from the UNEP FI-led TNFD Piloting Programme

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 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は4月、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)開示に関する金融機関パイロットプログラムの結果をまとめた報告書を発行した。世界金融大手42社の知見と洞察をまとめた実践的ケーススタディを紹介した。

【参考】【国際】UNEP FI、TNFD関連で金融機関側の準備状況を整理した報告書発行。課題の方向性を分析(2022年10月24日)

 パイロットプログラムに参画していたのは、

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 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は4月、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)開示に関する金融機関パイロットプログラムの結果をまとめた報告書を発行した。世界金融大手42社の知見と洞察をまとめた実践的ケーススタディを紹介した。

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 パイロットプログラムに参画していたのは、

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 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は4月、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)開示に関する金融機関パイロットプログラムの結果をまとめた報告書を発行した。世界金融大手42社の知見と洞察をまとめた実践的ケーススタディを紹介した。

【参考】【国際】UNEP FI、TNFD関連で金融機関側の準備状況を整理した報告書発行。課題の方向性を分析(2022年10月24日)

 パイロットプログラムに参画していたのは、アクサ、チューリッヒ保険、バンク・オブ・アメリカ、HSBC、ドイツ銀行、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、バークレイズ、ABNアムロ、ラボバンク、サンコープ、新韓金融グループ、中国信託金控等。日本からは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、農林中央金庫、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランス・グループ・ホールディングスが参画した。またMSCI、FAIRR、TNFD、CDC Biodiversite、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)、地球環境ファシリティ(GEF)、世界自然保護基金(WWF)がサポートメンバーとして入った。

 TNFDは、すでにベータ版第4版が発行されているが、同パイロットプログラムは第2版と第3版に基づき、2022年7月から2023年2月まで実施された。参加者の部門では、サステナビリティ戦略が3割弱で、リスクマネジメントが2割強。他に、金融商品開発、生物多様性スペシャリスト、投資、リサーチ等の部門だった。約40回のパイロット会議の他、4つのウェビナーや研修セッションも実施された。成果を今回まとめた。

【参考】【国際】TNFD、ベータ版第4版発表。開示14項目揃う。指標と目標も大筋確定。9月に最終発表(2023年4月20日)

 同報告書によると、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)開示に慣れている機関では、TNFD開示も比較的容易できたことがわかった。但し、これまで自然資本について検討していない機関にとっては、堅固な評価のために多くに経営資源を割く必要があるということもわかった。

 また、単一セクターの評価について今回トライしたが、複数セクターに関係するポートフォリオやプライベートエクイティやプライベートボンド、さらにはコミットメントライン設定のような金融商品では、検討が難しく、今後ガイダンスが必要になるとの見解も示された。

 充実した評価を行う上では、社内のITシステムを改善する必要があるとの声や、社内部門を横断したスキルセットが必要となることも認識された。気候-自然ネクサスや生物多様性エクスポージャーに関する専門知識をそもそも上げる必要があるとの意見も上がった。

 TNFDに関する専門的なガイダンスが多数必要なるとの意見も出たが、その点はすでにTNFD第4版で多数のガイダンスが実際に用意され、課題が反映されている。PBAFやUNEP-WCMC等の補完ツールも不可欠であることや、データと指標の標準化が極めて重要になるとの声も盛り込まれた。特に、金融機関は、投融資先の事業の位置データを持っておらず、エンゲージメントが重要になることもわかった。

【参照ページ】Unboxing Nature-related Risks: Insights from the UNEP FI-led TNFD Piloting Programme

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