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【EU・アメリカ】EU理事会、米国との重要鉱物協定の交渉権限を欧州委に付与。今後協議

 EU加盟国閣僚級のEU理事会は7月20日、重要鉱物関連で、米政府との交渉を開始する権限を欧州委員会に付与する決定を採択した。今後、米インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関し、重要鉱物要件ルール適用に関する協議が始まる。CMAの締結前にはEU理事会と欧州議会の承認が必要となる。

 2022年8月に米国が制度化したクリーンカー減税では、重要鉱物要件ルールを定めており、「米国または米国と自由貿易協定(FTA)もしくは重要鉱物協定(CMA)を締結している国で抽出または加工されたものの割合」または「北米でリサイクルされたものの割合」で基準値が設定。割合基準は、2024年1月1日以前に使用開始された車両は40%。これが、2024年に50%、2025年に60%、2026年に70%、2026年12月31日以降は80%と年々引き上がることになっている。

【参考】【アメリカ】インフレ抑制法クリーンカー減税、日産リーフ対象から外れる。日本メーカーゼロ(2023年4月18日)

 現在、米国がFTAを締結している国は、北米自由貿易協定(NAFTA)の締約国カナダとメキシコ、米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(CAFTA-DR)の締約国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、ドミニカ共和国の他、イスラエル(1985年)、ヨルダン(2001年)、シンガポール(2004年)、チリ(2004年)、オーストラリア(2005年)、バーレーン(2006年)、モロッコ(2006年)、オマーン(2009年)、ペルー(2009年)、韓国(2012年)、コロンビア(2012年)、パナマ(2012年)の20ヶ国。EUとはFTAを締結していない。

 EU理事会は今回、米国との重要鉱物協定(CMA)締結に関し、交渉指令で欧州委員会に一定に枠を嵌めた。

  • 重要鉱物および関連分野の国際サプライチェーンの強化に関する条項を含むこと
  • 世界貿易機関(WTO)のルールに完全に合致し、EUの重要原材料の安全かつ持続可能な供給を確保するという点で、EU重要原材料法で追求されている目的、および欧州電池同盟に完全に合致していること
  • 貿易を促進し、重要鉱物の貿易における公正な競争と市場志向の条件を促進するという共通のコミットメントを公式なものとすることにより、重要鉱物貿易と国際サプライチェーンの多様化を強化し、EV用電池技術の採用を促進すること
  • 重要鉱物セクターにおける高水準の環境保護と労働者保護を促進し、重要鉱物のサプライチェーン全体における企業の社会的責任を奨励すること
  • 重要鉱物のサプライチェーンにおける歪曲的で保護主義的な慣行を防止すること
  • 持続可能なサプライチェーンを支援する観点から、重要鉱物のライフサイクル評価、抽出、ラベリング、リサイクル、透明性に関する国際基準に関する協力を奨励し、EUと米国の貿易における将来の障壁を防止すること

 日本はすでに3月28日、米国との間で、日米重要鉱物サプライチェーン強化協定を締結しており、日本で抽出・加工された重要鉱物は、同要件をクリアすることになっている。しかし、現在、自動車メーカーの多くは、米国FTAもしくはCMA締約国以外で抽出・加工された重要鉱物を使用していることが多い。さらに、クリーカー減税では、別途「北米組立要件」が設けられており、これらの点で日本の自動車メーカーは減税要件を満たせていないため、現在、日本の自動車メーカーでクリーカー減税の対象となっている車種はない。

【参考】【日本・アメリカ】両政府、重要鉱物協定を締結。サプライチェーンでの環境・人権を確保(2023年3月29日) 

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 EU加盟国閣僚級のEU理事会は7月20日、重要鉱物関連で、米政府との交渉を開始する権限を欧州委員会に付与する決定を採択した。今後、米インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関し、重要鉱物要件ルール適用に関する協議が始まる。CMAの締結前にはEU理事会と欧州議会の承認が必要となる。

 2022年8月に米国が制度化したクリーンカー減税では、

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 EU加盟国閣僚級のEU理事会は7月20日、重要鉱物関連で、米政府との交渉を開始する権限を欧州委員会に付与する決定を採択した。今後、米インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関し、重要鉱物要件ルール適用に関する協議が始まる。CMAの締結前にはEU理事会と欧州議会の承認が必要となる。

 2022年8月に米国が制度化したクリーンカー減税では、

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 EU加盟国閣僚級のEU理事会は7月20日、重要鉱物関連で、米政府との交渉を開始する権限を欧州委員会に付与する決定を採択した。今後、米インフレ抑制法の「クリーンカー減税」に関し、重要鉱物要件ルール適用に関する協議が始まる。CMAの締結前にはEU理事会と欧州議会の承認が必要となる。

 2022年8月に米国が制度化したクリーンカー減税では、重要鉱物要件ルールを定めており、「米国または米国と自由貿易協定(FTA)もしくは重要鉱物協定(CMA)を締結している国で抽出または加工されたものの割合」または「北米でリサイクルされたものの割合」で基準値が設定。割合基準は、2024年1月1日以前に使用開始された車両は40%。これが、2024年に50%、2025年に60%、2026年に70%、2026年12月31日以降は80%と年々引き上がることになっている。

【参考】【アメリカ】インフレ抑制法クリーンカー減税、日産リーフ対象から外れる。日本メーカーゼロ(2023年4月18日)

 現在、米国がFTAを締結している国は、北米自由貿易協定(NAFTA)の締約国カナダとメキシコ、米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(CAFTA-DR)の締約国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、ドミニカ共和国の他、イスラエル(1985年)、ヨルダン(2001年)、シンガポール(2004年)、チリ(2004年)、オーストラリア(2005年)、バーレーン(2006年)、モロッコ(2006年)、オマーン(2009年)、ペルー(2009年)、韓国(2012年)、コロンビア(2012年)、パナマ(2012年)の20ヶ国。EUとはFTAを締結していない。

 EU理事会は今回、米国との重要鉱物協定(CMA)締結に関し、交渉指令で欧州委員会に一定に枠を嵌めた。

  • 重要鉱物および関連分野の国際サプライチェーンの強化に関する条項を含むこと
  • 世界貿易機関(WTO)のルールに完全に合致し、EUの重要原材料の安全かつ持続可能な供給を確保するという点で、EU重要原材料法で追求されている目的、および欧州電池同盟に完全に合致していること
  • 貿易を促進し、重要鉱物の貿易における公正な競争と市場志向の条件を促進するという共通のコミットメントを公式なものとすることにより、重要鉱物貿易と国際サプライチェーンの多様化を強化し、EV用電池技術の採用を促進すること
  • 重要鉱物セクターにおける高水準の環境保護と労働者保護を促進し、重要鉱物のサプライチェーン全体における企業の社会的責任を奨励すること
  • 重要鉱物のサプライチェーンにおける歪曲的で保護主義的な慣行を防止すること
  • 持続可能なサプライチェーンを支援する観点から、重要鉱物のライフサイクル評価、抽出、ラベリング、リサイクル、透明性に関する国際基準に関する協力を奨励し、EUと米国の貿易における将来の障壁を防止すること

 日本はすでに3月28日、米国との間で、日米重要鉱物サプライチェーン強化協定を締結しており、日本で抽出・加工された重要鉱物は、同要件をクリアすることになっている。しかし、現在、自動車メーカーの多くは、米国FTAもしくはCMA締約国以外で抽出・加工された重要鉱物を使用していることが多い。さらに、クリーカー減税では、別途「北米組立要件」が設けられており、これらの点で日本の自動車メーカーは減税要件を満たせていないため、現在、日本の自動車メーカーでクリーカー減税の対象となっている車種はない。

【参考】【日本・アメリカ】両政府、重要鉱物協定を締結。サプライチェーンでの環境・人権を確保(2023年3月29日) 

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