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【ブラジル】世界経済フォーラム、セラードでの持続可能な農業で10兆円のGDP押上げ効果

 世界経済フォーラム(WEF)の「熱帯林アライアンス・イニシアチブ」とSystemiqは2月27日、ブラジル高原に広がるサバナ地帯「カンポ・セラード」で持続可能な農業を実施することでブラジル経済に年間720億米ドル(約10兆円)のGDP押上げ効果をもたらすと発表した。

 ブラジルは、2024年のG20議長国であり、2025年の国連気候変動枠組条約第30回ベレン締約国会議(COP30)の議長国となり、気候変動対策の面で重要な立場にある国とみなされている。今回のレポートも、それらを意識し、ブラジルに焦点を当てた。

 カンポ・セラードは、世界の主要な穀物生産地帯であり、ブラジルの農業生産の60%、世界の大豆輸出の22%、サトウキビ輸出の23%、養牛の6%を占めている。しかし、アマゾンの熱帯雨林に比べ、注目度や法的保護が著しく低く、政府のデータによると、昨年のセラードの森林伐採面積は43%増加。アマゾン地帯の50%と比べても同等の規模で生態系破壊が進んでいる。すでにカンポ・セラードの自然植生面積の50%が農地に転換されている。ブラジルの全品目での輸出先は、中国が最大となっており27%。他にEU15%、米国11%、アルゼンチン5%となっている。

 同レポートは、現在の傾向が続くと、ブラジルの大豆、家畜、サトウキビ、トウモロコシの生産が依存している生態系が被害を受け、世界的な食糧不足と甚大な経済的被害を引き起こすと予測した。

 反対に、ブラジル政府の生態変革計画(ETP)に向けて提言した自主的タスクフォースの分析によると、カンポ・セラードでの農地を集約することで、今後数十年間の食料増産需要を満たしながら、約1,400万haの農地の生態系を再生できるとしている。実現に向けた年間投資額は1,600億米ドルで、年間の経済効果は4,300億米ドル、雇用創出効果も1,000万人となるという。

 今回のレポートは、それらのデータも踏まえ、カンポ・セラードで自然を再生しながら、創出できる経済効果を試算。まず、持続可能な集約的な農業の実現で170億米ドルから190億米ドル。バイオ産業、カーボン市場、エコツーリズム等の関連産業でも110億米ドルから200億米ドルのGDPが生まれる。さらにバイオエネルギーや再生可能エネルギーで120億米ドルから190億米ドル。グリーンケミカルで70億米ドルから140億米ドルと見立てた。

 今回のプランを実現するためには、政府、企業、金融機関、テクノロジー企業等の連携が必要となる。

【参照ページ】Environmental Protection and Sustainable Food Production in the Cerrado Could Create $72bn for Brazil, Says New Report

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 世界経済フォーラム(WEF)の「熱帯林アライアンス・イニシアチブ」とSystemiqは2月27日、ブラジル高原に広がるサバナ地帯「カンポ・セラード」で持続可能な農業を実施することでブラジル経済に年間720億米ドル(約10兆円)のGDP押上げ効果をもたらすと発表した。

 ブラジルは、

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 世界経済フォーラム(WEF)の「熱帯林アライアンス・イニシアチブ」とSystemiqは2月27日、ブラジル高原に広がるサバナ地帯「カンポ・セラード」で持続可能な農業を実施することでブラジル経済に年間720億米ドル(約10兆円)のGDP押上げ効果をもたらすと発表した。

 ブラジルは、

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 世界経済フォーラム(WEF)の「熱帯林アライアンス・イニシアチブ」とSystemiqは2月27日、ブラジル高原に広がるサバナ地帯「カンポ・セラード」で持続可能な農業を実施することでブラジル経済に年間720億米ドル(約10兆円)のGDP押上げ効果をもたらすと発表した。

 ブラジルは、2024年のG20議長国であり、2025年の国連気候変動枠組条約第30回ベレン締約国会議(COP30)の議長国となり、気候変動対策の面で重要な立場にある国とみなされている。今回のレポートも、それらを意識し、ブラジルに焦点を当てた。

 カンポ・セラードは、世界の主要な穀物生産地帯であり、ブラジルの農業生産の60%、世界の大豆輸出の22%、サトウキビ輸出の23%、養牛の6%を占めている。しかし、アマゾンの熱帯雨林に比べ、注目度や法的保護が著しく低く、政府のデータによると、昨年のセラードの森林伐採面積は43%増加。アマゾン地帯の50%と比べても同等の規模で生態系破壊が進んでいる。すでにカンポ・セラードの自然植生面積の50%が農地に転換されている。ブラジルの全品目での輸出先は、中国が最大となっており27%。他にEU15%、米国11%、アルゼンチン5%となっている。

 同レポートは、現在の傾向が続くと、ブラジルの大豆、家畜、サトウキビ、トウモロコシの生産が依存している生態系が被害を受け、世界的な食糧不足と甚大な経済的被害を引き起こすと予測した。

 反対に、ブラジル政府の生態変革計画(ETP)に向けて提言した自主的タスクフォースの分析によると、カンポ・セラードでの農地を集約することで、今後数十年間の食料増産需要を満たしながら、約1,400万haの農地の生態系を再生できるとしている。実現に向けた年間投資額は1,600億米ドルで、年間の経済効果は4,300億米ドル、雇用創出効果も1,000万人となるという。

 今回のレポートは、それらのデータも踏まえ、カンポ・セラードで自然を再生しながら、創出できる経済効果を試算。まず、持続可能な集約的な農業の実現で170億米ドルから190億米ドル。バイオ産業、カーボン市場、エコツーリズム等の関連産業でも110億米ドルから200億米ドルのGDPが生まれる。さらにバイオエネルギーや再生可能エネルギーで120億米ドルから190億米ドル。グリーンケミカルで70億米ドルから140億米ドルと見立てた。

 今回のプランを実現するためには、政府、企業、金融機関、テクノロジー企業等の連携が必要となる。

【参照ページ】Environmental Protection and Sustainable Food Production in the Cerrado Could Create $72bn for Brazil, Says New Report

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