Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】日本、政府系金融機関の化石燃料ファイナンス額がG20でワースト1位。NGO調査

 米NGOのOil Change Internationalは11月8日、G20を対象に政府系金融機関による化石燃料ファイナンス額を分析した結果を発表。日本がワースト1位だった。2019年から2021年の間に、輸出信用機関や開発金融機関を通じ、年平均106億米ドル(約1.5兆円)を拠出。特にガスが多く年平均67億米ドルでガス単独でもワースト1位だった。

 G7各国は、5月の気候・エネルギー・環境相会合で、2022年末までに削減努力のない(Unabated)な化石燃料全般に対する新たな直接的公的支援を終了することを宣言。6月に開催された首脳級のG7エルマウ・サミットで再び宣言された。そこで今回、同NGOは、宣言が履行されているかも含めチェックした。

【参考】【国際】G7、気候・エネルギー・環境相会合、気候変動と生物多様性で大きなコミット。日本政府は矛盾も(2022年5月29日)
【参考】【国際】G7エルマウ・サミット「再エネ転換が最も賢明な選択」と確認。ウクライナ戦争でも方針不変(2022年6月28日)

 今回分析では、G20の開発金融機関(DFI)、輸出信用機関(ECA)、国際開発銀行(MDB)の化石燃料とクリーンエネルギーへの資金フローのデータベース構築プロジェクト「Public Finance for Energy Database」を活用。G20各国の2019年から2021年の年平均ファイナンス額を分析した。

 結果、ワースト1位が日本。それ以降、カナダ、韓国、中国と続いた。そこから大きく金額は減り、米国、イタリア、ドイツ、サウジアラビアと続いた。

 Oil Change Internationalは今回、G7エルマウ・サミットの直後に、経済産業省が、「日本はエネルギー安全保障に貢献する石油・ガスの上流開発への融資を継続する」と発言したことにも言及。国際公約違反と批判した。

 日本政府は、サミットで宣言した「削減努力のない(Unabated)な化石燃料」に関し、独自の解釈をしている。具体的には、水素とアンモニアの混焼や、炭素回収・貯留(CCS)の計画がなんらか含まれている場合には、「削減努力のない(Unabated)な化石燃料」と解釈し、プロジェクトを続けている。Oil Change Internatinoalは、「クリーンエネルギーへの移行を支援する代わりに、化石燃料の使用を長引かせる」と苦言を呈した。

 経済産業省は2021年5月、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を表明。アジア版トランジションファイナンスの考え方の提示・普及を打ち出し、再生可能エネルギー、省エネ、天然ガス等のプロジェクトへの100億米ドルのファイナンス支援も掲げ、ガスを含めている。さらに岸田首相は今年初め、アンモニア・水素混焼やCCS等でカーボンニュートラルを実現する「アジア・ゼロエミッション共同体」も提唱。岸田首相は、これらの技術を「化石燃料を使いながら脱炭素化する」と宣言している。

【参考】【日本】経産省、グリーン成長閣僚会合開催。20ヶ国参加。アジア・トランジション・ファイナンスの動きも(2021年10月5日)
【参考】【国際】PRI等、岸田首相に書簡送付。脱石炭要求。ASEAN向けのアンモニア混焼支援も批判(2022年3月30日)
 
【参照ページ】New briefing: Japan is the world’s largest provider of public finance for fossil fuels, spending 10.6 billion USD a year
【参照ページ】日本の汚い秘密

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 米NGOのOil Change Internationalは11月8日、G20を対象に政府系金融機関による化石燃料ファイナンス額を分析した結果を発表。日本がワースト1位だった。2019年から2021年の間に、輸出信用機関や開発金融機関を通じ、年平均106億米ドル(約1.5兆円)を拠出。特にガスが多く年平均67億米ドルでガス単独でもワースト1位だった。

 G7各国は、5月の気候・エネルギー・環境相会合で、2022年末までに削減努力のない(Unabated)な化石燃料全般に対する新たな直接的公的支援を終了することを宣言。6月に開催された首脳級のG7エルマウ・サミットで再び宣言された。そこで今回、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 米NGOのOil Change Internationalは11月8日、G20を対象に政府系金融機関による化石燃料ファイナンス額を分析した結果を発表。日本がワースト1位だった。2019年から2021年の間に、輸出信用機関や開発金融機関を通じ、年平均106億米ドル(約1.5兆円)を拠出。特にガスが多く年平均67億米ドルでガス単独でもワースト1位だった。

 G7各国は、5月の気候・エネルギー・環境相会合で、2022年末までに削減努力のない(Unabated)な化石燃料全般に対する新たな直接的公的支援を終了することを宣言。6月に開催された首脳級のG7エルマウ・サミットで再び宣言された。そこで今回、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 米NGOのOil Change Internationalは11月8日、G20を対象に政府系金融機関による化石燃料ファイナンス額を分析した結果を発表。日本がワースト1位だった。2019年から2021年の間に、輸出信用機関や開発金融機関を通じ、年平均106億米ドル(約1.5兆円)を拠出。特にガスが多く年平均67億米ドルでガス単独でもワースト1位だった。

 G7各国は、5月の気候・エネルギー・環境相会合で、2022年末までに削減努力のない(Unabated)な化石燃料全般に対する新たな直接的公的支援を終了することを宣言。6月に開催された首脳級のG7エルマウ・サミットで再び宣言された。そこで今回、同NGOは、宣言が履行されているかも含めチェックした。

【参考】【国際】G7、気候・エネルギー・環境相会合、気候変動と生物多様性で大きなコミット。日本政府は矛盾も(2022年5月29日)
【参考】【国際】G7エルマウ・サミット「再エネ転換が最も賢明な選択」と確認。ウクライナ戦争でも方針不変(2022年6月28日)

 今回分析では、G20の開発金融機関(DFI)、輸出信用機関(ECA)、国際開発銀行(MDB)の化石燃料とクリーンエネルギーへの資金フローのデータベース構築プロジェクト「Public Finance for Energy Database」を活用。G20各国の2019年から2021年の年平均ファイナンス額を分析した。

 結果、ワースト1位が日本。それ以降、カナダ、韓国、中国と続いた。そこから大きく金額は減り、米国、イタリア、ドイツ、サウジアラビアと続いた。

 Oil Change Internationalは今回、G7エルマウ・サミットの直後に、経済産業省が、「日本はエネルギー安全保障に貢献する石油・ガスの上流開発への融資を継続する」と発言したことにも言及。国際公約違反と批判した。

 日本政府は、サミットで宣言した「削減努力のない(Unabated)な化石燃料」に関し、独自の解釈をしている。具体的には、水素とアンモニアの混焼や、炭素回収・貯留(CCS)の計画がなんらか含まれている場合には、「削減努力のない(Unabated)な化石燃料」と解釈し、プロジェクトを続けている。Oil Change Internatinoalは、「クリーンエネルギーへの移行を支援する代わりに、化石燃料の使用を長引かせる」と苦言を呈した。

 経済産業省は2021年5月、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を表明。アジア版トランジションファイナンスの考え方の提示・普及を打ち出し、再生可能エネルギー、省エネ、天然ガス等のプロジェクトへの100億米ドルのファイナンス支援も掲げ、ガスを含めている。さらに岸田首相は今年初め、アンモニア・水素混焼やCCS等でカーボンニュートラルを実現する「アジア・ゼロエミッション共同体」も提唱。岸田首相は、これらの技術を「化石燃料を使いながら脱炭素化する」と宣言している。

【参考】【日本】経産省、グリーン成長閣僚会合開催。20ヶ国参加。アジア・トランジション・ファイナンスの動きも(2021年10月5日)
【参考】【国際】PRI等、岸田首相に書簡送付。脱石炭要求。ASEAN向けのアンモニア混焼支援も批判(2022年3月30日)
 
【参照ページ】New briefing: Japan is the world’s largest provider of public finance for fossil fuels, spending 10.6 billion USD a year
【参照ページ】日本の汚い秘密

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。