Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【日本】花王、金利引上げ型リンクボンド発行。詰替えパックの再生素材含有でライオンと協働も

 花王は5月17日、同社初のサステナビリティ・リンクボンドを250億円発行すると発表した。年限は5年。SPTは、2026年度までのスコープ1、スコープ2での二酸化炭素排出量2017年比39%削減。ストラクチャーエージェントは大和証券。主幹事は、大和証券、野村證券、ゴールドマン・サックス。

 今回のサステナビリティ・リンクボンドは、日本で従来採用されてきた寄付型スキームではなく、SPT未達成時のペナルティとして、グローバルで一般的な金利引上げを採用した。国際資本市場協会(ICMA)のサステナビリティ・リンク・ボンド原則2020と、環境省のサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)の適合性について、格付投資情報センター(R&I)からのセカンドオピニオンも取得済み。

 同社は、2040年までにスコープ3を含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル、2050年までにカーボンネガティブを目標として掲げている。また2030年目標としては、スコープ1、スコープ2での二酸化炭素排出量を2017年比55%削減することを掲げており、今回の2026年時点をターゲットに、SPTとした形。

 さらに花王は5月16日、ライオンとともに、使用済み容器をマテリアルリサイクルした原料を活用した両社洗剤商品の詰替えパックを販売すると発表した。再生原料含有率は10%。

 両社は2020年9月、洗剤やヘアケア商品等の詰替え用パック等で活用されているフィルム容器のリサイクルでの協働を発表済み。今回のアクションもその一環。

【参考】【日本】花王とライオン、詰替え用パックのリサイクルに向け協働。水平リサイクル目指す(2020年9月11日)

 両社は今回、花王の衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO つめかえ用(1620g)」及びライオンの洗濯用液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOX ニオイ専用 つめかえ用超特大」を対象に、フィルム容器の再生原料を採用した。

 フィルム容器は、内容物を温度や湿度、紫外線等から守るため、異なる素材で何層もの薄いフィルムを重ねて作られている。そのためリサイクルすると、多種類の成分からなる不均質なフィルムになり、製造の過程で孔が開いてしまう。また、日用品のプラスチック包装容器では、分別回収のしくみが確立していないことや、消費者にリサイクルの必要性が浸透していない等の課題もあった。

 花王は2021年6月に、フィルム容器リサイクルの実証プラントを和歌山研究所に導入。フィルム容器の一括リサイクルの開発・検証を進め、詰替えパックの一括リサイクル技術を確立した。再生原料は、中間層の一部に使用する。

 使用済み容器は、花王が自治体との協働で回収したものに加え、花王とライオンが協働し、イトーヨーカドー曳舟店、ウエルシア薬局実証回収したものを一部活用。今回販売の商品の再生原料含有率10%のうち、これらが1%を占める。残り約9%は、製品として使用されなかった詰替えパックを活用する。

 両社は今後、フィルム容器の分別回収の仕組みの改良、イトーヨーカドー曳舟店、ウエルシア薬局の店頭回収の継続、消費者の啓発、リサイクル技術の向上と確立、容器の設計ガイドラインの策定等を進める。

 また花王は同日、2040年までにプラスチック包装・容器ごみゼロ、2050年までに「ごみネガティブ」達成に向けたロードマップを公表。打ち手として「リデュースイノベーション」と「リサイクルイノベーション」を掲げた。

 リデュースイノベーションでは、包装・容器での再生プラスチック、植物由来プラスチック使用を促進し、化石燃料由来プラスチック使用量を2030年までにピークアウト 、2050年までにゼロにするとした。

 リサイクルイノベーションでは、廃棄プラスチックを、花王の製品・サービスとして再利用するとし、2030年までに花王が関与したプラスチックのリサイクル率を50%まで高める。アプローチとしては、花王の独自技術による使用済みのプラスチックの価値あるものへの転換(ポジティブリサイクル)、包装・容器での再生プラスチック使用、花王が社会との協働で回収した使用済み包装・容器の社会での活用の3つを挙げた。

【参照ページ】花王が初のサステナビリティ・リンク・ボンドを発行
【参照ページ】花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル 再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化
【参照ページ】花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル 再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化
【参照ページ】花王、使用済みつめかえパックの水平リサイクル技術を具現化
【参照ページ】プラスチック包装容器2040年「ごみゼロ」、2050年「ごみネガティブ」実現に向けたロードマップを公表

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 花王は5月17日、同社初のサステナビリティ・リンクボンドを250億円発行すると発表した。年限は5年。SPTは、2026年度までのスコープ1、スコープ2での二酸化炭素排出量2017年比39%削減。ストラクチャーエージェントは大和証券。主幹事は、大和証券、野村證券、ゴールドマン・サックス。

 今回のサステナビリティ・リンクボンドは、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 花王は5月17日、同社初のサステナビリティ・リンクボンドを250億円発行すると発表した。年限は5年。SPTは、2026年度までのスコープ1、スコープ2での二酸化炭素排出量2017年比39%削減。ストラクチャーエージェントは大和証券。主幹事は、大和証券、野村證券、ゴールドマン・サックス。

 今回のサステナビリティ・リンクボンドは、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 花王は5月17日、同社初のサステナビリティ・リンクボンドを250億円発行すると発表した。年限は5年。SPTは、2026年度までのスコープ1、スコープ2での二酸化炭素排出量2017年比39%削減。ストラクチャーエージェントは大和証券。主幹事は、大和証券、野村證券、ゴールドマン・サックス。

 今回のサステナビリティ・リンクボンドは、日本で従来採用されてきた寄付型スキームではなく、SPT未達成時のペナルティとして、グローバルで一般的な金利引上げを採用した。国際資本市場協会(ICMA)のサステナビリティ・リンク・ボンド原則2020と、環境省のサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)の適合性について、格付投資情報センター(R&I)からのセカンドオピニオンも取得済み。

 同社は、2040年までにスコープ3を含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル、2050年までにカーボンネガティブを目標として掲げている。また2030年目標としては、スコープ1、スコープ2での二酸化炭素排出量を2017年比55%削減することを掲げており、今回の2026年時点をターゲットに、SPTとした形。

 さらに花王は5月16日、ライオンとともに、使用済み容器をマテリアルリサイクルした原料を活用した両社洗剤商品の詰替えパックを販売すると発表した。再生原料含有率は10%。

 両社は2020年9月、洗剤やヘアケア商品等の詰替え用パック等で活用されているフィルム容器のリサイクルでの協働を発表済み。今回のアクションもその一環。

【参考】【日本】花王とライオン、詰替え用パックのリサイクルに向け協働。水平リサイクル目指す(2020年9月11日)

 両社は今回、花王の衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO つめかえ用(1620g)」及びライオンの洗濯用液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOX ニオイ専用 つめかえ用超特大」を対象に、フィルム容器の再生原料を採用した。

 フィルム容器は、内容物を温度や湿度、紫外線等から守るため、異なる素材で何層もの薄いフィルムを重ねて作られている。そのためリサイクルすると、多種類の成分からなる不均質なフィルムになり、製造の過程で孔が開いてしまう。また、日用品のプラスチック包装容器では、分別回収のしくみが確立していないことや、消費者にリサイクルの必要性が浸透していない等の課題もあった。

 花王は2021年6月に、フィルム容器リサイクルの実証プラントを和歌山研究所に導入。フィルム容器の一括リサイクルの開発・検証を進め、詰替えパックの一括リサイクル技術を確立した。再生原料は、中間層の一部に使用する。

 使用済み容器は、花王が自治体との協働で回収したものに加え、花王とライオンが協働し、イトーヨーカドー曳舟店、ウエルシア薬局実証回収したものを一部活用。今回販売の商品の再生原料含有率10%のうち、これらが1%を占める。残り約9%は、製品として使用されなかった詰替えパックを活用する。

 両社は今後、フィルム容器の分別回収の仕組みの改良、イトーヨーカドー曳舟店、ウエルシア薬局の店頭回収の継続、消費者の啓発、リサイクル技術の向上と確立、容器の設計ガイドラインの策定等を進める。

 また花王は同日、2040年までにプラスチック包装・容器ごみゼロ、2050年までに「ごみネガティブ」達成に向けたロードマップを公表。打ち手として「リデュースイノベーション」と「リサイクルイノベーション」を掲げた。

 リデュースイノベーションでは、包装・容器での再生プラスチック、植物由来プラスチック使用を促進し、化石燃料由来プラスチック使用量を2030年までにピークアウト 、2050年までにゼロにするとした。

 リサイクルイノベーションでは、廃棄プラスチックを、花王の製品・サービスとして再利用するとし、2030年までに花王が関与したプラスチックのリサイクル率を50%まで高める。アプローチとしては、花王の独自技術による使用済みのプラスチックの価値あるものへの転換(ポジティブリサイクル)、包装・容器での再生プラスチック使用、花王が社会との協働で回収した使用済み包装・容器の社会での活用の3つを挙げた。

【参照ページ】花王が初のサステナビリティ・リンク・ボンドを発行
【参照ページ】花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル 再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化
【参照ページ】花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル 再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化
【参照ページ】花王、使用済みつめかえパックの水平リサイクル技術を具現化
【参照ページ】プラスチック包装容器2040年「ごみゼロ」、2050年「ごみネガティブ」実現に向けたロードマップを公表

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。