Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】Ceres、世界大手72社の水分野評価結果発表。日本企業も5社

 米ESG投資推進NGOのCeresは10月25日、水危機を財務リスクとして評価し企業にアクションを求める新しいイニシアチブ「Valuing Water Finance Initiative」に加盟する72社の水スチュワードシップを評価した初の報告書を発表した。

 同イニシアチブは2022年8月、世界の水危機に対応するため企業にアクションを促進するために発足。水消費量や廃水量の多い世界大手72社を対象に、水を財務リスクとして評価し、水システムを保護するために必要な大規模な変革を促す。具体的な2030年までの達成状況とチェック指標も公表されている。日本企業も対象。

 同イニシアチブの対象企業72社は、ネスレ、ユニリーバ、ダノン、ケロッグ、マース、ハーシー、キャンペル・スープ、コカ・コーラカンパニー、ペプシコ、カールスバーグ、ハイネケン、華潤啤酒、キューリグ・ドクターペッパー、マクドナルド、ヤム・ブランズ、ドミノ・ピザ、チポレ・メキシカン・グリル、オーラム・インターナショナル、ウィルマー・インターナショナル、JBS、VFコーポレーション、リーバイ・ストラウス、H&M、アディダス、バーバリー、GAP、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン等。日本企業では、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリー食品インターナショナル、ファーストリテイリング、ソニーの5社。

【参考】【国際】Ceres、水分野で機関投資家イニシアチブ発足。運用資産1300兆円。日本企業含む72社対象(2022年8月19日)

 世界資源研究所(WRI)は2023年8月、2050年までに世界のGDPの30%以上が高い水ストレスにさらされると予測。現時点で米国の主要株価指数の50%が、水リスクが中程度だと分析された産業で構成されている。

 今回の発表では、企業の評価結果を4段階に分類。最も評価が高い「Leading the Way」に分類された企業はなく、次に評価が高い「On Track」は11社、「On the Way」は19社、「Starting the Journey」は42社だった。日本企業では、「On the Way」にアサヒグループホールディングスとサントリー食品インターナショナルが、「Starting the Journey」にキリンホールディングス、ファーストリテイリング、ソニーが分類された。


(出所)Ceres

 同イニシアチブでは、「水量」「水質」「生態系保護」「水・衛生(WASH)アクセス」「取締役会の監督」「公共政策とのエンゲージメント」の6つの項目に関して対象企業を評価。水量と水質の観点では、評価対象の75%が水の使用量を削減するための目標と期限を設定しているが、水質への影響を削減するための目標を設定している企業は17%しかないと報告した。水資源を適切に管理するため地域社会への影響を考慮している企業は35%に過ぎず、水質リスクの評価時に指標として含めている企業は14%しかなかった。

 生態系保護の観点では、生物多様性に関する具体的な成果に対して期限付きの目標を設定している企業は13%。水と衛生のアクセスの観点では、水と衛生のアクセスを基本的人権として企業方針を定めている企業は28%しかなく、水源に対して公平にアクセスできるようにするための取り組みを行う企業が少ないと指摘した。

 取締役会の監督の観点では、約50%の企業は水管理の戦略に関して取締役会等の監督を実施し、水に関する目標と経営幹部のインセンティブを結びつけていた。一方で、水に関するリスクと機会を事業やサプライチェーンに直接組み込み、事業戦略として位置づけている企業は36%しかなかった。

 公共政策とのエンゲージメントの観点では、政府、企業、社会、その他のステークホルダーに対して水関連の問題に関して明確に提唱している企業は32%しかないと報告した。

 同イニシアチブは、カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)、オーストラリアン・スーパー、南アフリカ公務員年金基金(GEPF)、ニューヨーク州財務長官、イリノイ州財務長官、PGGMインベストメンツ、SEB、國泰金控、ACTIAM、フランクリン・テンプレトン・インベストメンツの12機関が運営メンバーとなっている。

 同イニシアチブには、現在合計で94の機関投資家が署名。総資産額は約17兆米ドル(約2500兆円)。具体的には、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、カリフォルニア州財務長官室、SCOR、フィデリティ・インターナショナル、AVIVA Investos、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、ピクテ、フェデレーテッド・ハーミーズ、DNBアセット・マネジメント、ロンバー・オディエ、三井住友トラスト・アセット・マネジメント等が署名している。

【参照ページ】Companies are making progress on water management, but new report calls for greater action to ensure sustainable water supplies
【参照ページ】Valuing Water Finance Initiative Benchmark

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 米ESG投資推進NGOのCeresは10月25日、水危機を財務リスクとして評価し企業にアクションを求める新しいイニシアチブ「Valuing Water Finance Initiative」に加盟する72社の水スチュワードシップを評価した初の報告書を発表した。

 同イニシアチブは2022年8月、

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 米ESG投資推進NGOのCeresは10月25日、水危機を財務リスクとして評価し企業にアクションを求める新しいイニシアチブ「Valuing Water Finance Initiative」に加盟する72社の水スチュワードシップを評価した初の報告書を発表した。

 同イニシアチブは2022年8月、

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 米ESG投資推進NGOのCeresは10月25日、水危機を財務リスクとして評価し企業にアクションを求める新しいイニシアチブ「Valuing Water Finance Initiative」に加盟する72社の水スチュワードシップを評価した初の報告書を発表した。

 同イニシアチブは2022年8月、世界の水危機に対応するため企業にアクションを促進するために発足。水消費量や廃水量の多い世界大手72社を対象に、水を財務リスクとして評価し、水システムを保護するために必要な大規模な変革を促す。具体的な2030年までの達成状況とチェック指標も公表されている。日本企業も対象。

 同イニシアチブの対象企業72社は、ネスレ、ユニリーバ、ダノン、ケロッグ、マース、ハーシー、キャンペル・スープ、コカ・コーラカンパニー、ペプシコ、カールスバーグ、ハイネケン、華潤啤酒、キューリグ・ドクターペッパー、マクドナルド、ヤム・ブランズ、ドミノ・ピザ、チポレ・メキシカン・グリル、オーラム・インターナショナル、ウィルマー・インターナショナル、JBS、VFコーポレーション、リーバイ・ストラウス、H&M、アディダス、バーバリー、GAP、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン等。日本企業では、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリー食品インターナショナル、ファーストリテイリング、ソニーの5社。

【参考】【国際】Ceres、水分野で機関投資家イニシアチブ発足。運用資産1300兆円。日本企業含む72社対象(2022年8月19日)

 世界資源研究所(WRI)は2023年8月、2050年までに世界のGDPの30%以上が高い水ストレスにさらされると予測。現時点で米国の主要株価指数の50%が、水リスクが中程度だと分析された産業で構成されている。

 今回の発表では、企業の評価結果を4段階に分類。最も評価が高い「Leading the Way」に分類された企業はなく、次に評価が高い「On Track」は11社、「On the Way」は19社、「Starting the Journey」は42社だった。日本企業では、「On the Way」にアサヒグループホールディングスとサントリー食品インターナショナルが、「Starting the Journey」にキリンホールディングス、ファーストリテイリング、ソニーが分類された。


(出所)Ceres

 同イニシアチブでは、「水量」「水質」「生態系保護」「水・衛生(WASH)アクセス」「取締役会の監督」「公共政策とのエンゲージメント」の6つの項目に関して対象企業を評価。水量と水質の観点では、評価対象の75%が水の使用量を削減するための目標と期限を設定しているが、水質への影響を削減するための目標を設定している企業は17%しかないと報告した。水資源を適切に管理するため地域社会への影響を考慮している企業は35%に過ぎず、水質リスクの評価時に指標として含めている企業は14%しかなかった。

 生態系保護の観点では、生物多様性に関する具体的な成果に対して期限付きの目標を設定している企業は13%。水と衛生のアクセスの観点では、水と衛生のアクセスを基本的人権として企業方針を定めている企業は28%しかなく、水源に対して公平にアクセスできるようにするための取り組みを行う企業が少ないと指摘した。

 取締役会の監督の観点では、約50%の企業は水管理の戦略に関して取締役会等の監督を実施し、水に関する目標と経営幹部のインセンティブを結びつけていた。一方で、水に関するリスクと機会を事業やサプライチェーンに直接組み込み、事業戦略として位置づけている企業は36%しかなかった。

 公共政策とのエンゲージメントの観点では、政府、企業、社会、その他のステークホルダーに対して水関連の問題に関して明確に提唱している企業は32%しかないと報告した。

 同イニシアチブは、カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)、オーストラリアン・スーパー、南アフリカ公務員年金基金(GEPF)、ニューヨーク州財務長官、イリノイ州財務長官、PGGMインベストメンツ、SEB、國泰金控、ACTIAM、フランクリン・テンプレトン・インベストメンツの12機関が運営メンバーとなっている。

 同イニシアチブには、現在合計で94の機関投資家が署名。総資産額は約17兆米ドル(約2500兆円)。具体的には、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、カリフォルニア州財務長官室、SCOR、フィデリティ・インターナショナル、AVIVA Investos、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、ピクテ、フェデレーテッド・ハーミーズ、DNBアセット・マネジメント、ロンバー・オディエ、三井住友トラスト・アセット・マネジメント等が署名している。

【参照ページ】Companies are making progress on water management, but new report calls for greater action to ensure sustainable water supplies
【参照ページ】Valuing Water Finance Initiative Benchmark

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