Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【日本】三井住友FG、自動車や鉄鋼でファイナンスドエミッション目標設定。石炭ポリシーも引上げ

 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は3月29日、サステナビリティの取組強化として、気候変動観点でのセクターポリシーの改訂等を発表した。

 まず、運輸・自動車セクターと鉄鋼セクター向けの温室効果ガス排出削減(ファイナンスド・エミッション)での中間目標を設定。運輸・自動車セクターでは、燃費基準として、2030年までに2℃シナリオ水準の1km当たり161g-CO2eを達成し、さらに1.5℃水準の120g-CO2eを目指すべき。但し「エネルギー資源を始めとした地域特性を踏まえた取組が必要」と注釈を入れた。

 鉄鋼セクターでは、1t生産当たりの排出基準として、2030年までに1.8t-CO2を達成し、さらに1.5℃水準の1.2t-CO2を目指すべきとした。ゆとりを設けた基準を設定した背景については「アジアは脱炭素化に時間を要する高炉が多く、地域特性を踏まえた目標設定が必要」と付言した。

 また、セクターポリシーでは、期限が2040年を超える石炭火力発電所向けのファイナンスを禁止した。但し、「脱炭素社会への移行と実現に資するお客さまの取組みは除きます」との留保は入ったままとなっている。また、期限が経済協力開発機構(OECD)諸国では2030年度、非OECD諸国では2040年度を超える一般炭採掘事業者に対するファイナンスも禁止した。こちらでも「化石燃料事業からの転換に資するお客さまの取組みは除きます」との留保が入っている。

 バイオマス発電では、木質バイオマス発電事業の新設及び拡張案件に関し、未利用材・製材残渣含め原生林由来ではなく、地域住民等の人権侵害も行っていないと確認できる燃焼材のが使用されることを確認できない場合はファイナンスを禁止する。

 さらにセクター横断ポリシーとして、児童労働、強制労働、人身取引を引き起こしている事業に対するファイナンスも禁止した。

 さらに傘下の三井住友銀行については、2024年度から、グローバル統一で「環境社会審査」を導入し、気候変動、生物多様性、人権、地域社会等の観点でデュデリジェンスを行っていくことを発表。同社は2月にプロジェクトファイナンスでの環境・社会原則「エクエーター原則(赤道原則)」から脱退している模様だが、それについては説明せず、独自の手法でデューデリジェンスを行っていくと思われる。

 また同じく三井住友銀行は3月29日、「自然資本経営推進分析融資」の取扱も開始している。同融資は、三井住友銀行と日本総合研究所が作成した独自基準に基づき、融資先の自然資本に経営に関する状況を診断し、助言も同時に受けられるというもの。さらに同社は4月1日、神奈川県伊勢原市日向地区の森林約220ha を「SMBCの森」として取得することも発表している。森林由来のJ-クレジットを創出しつつ、木材や間伐材を、自社の建築物材料や、自社で使う家具、紙製品、バイオエネルギー等に幅広く活用していく考え。

【参考】【日本】三井住友銀行、エクエーター原則から脱退。NGOは再加盟を要求(2024年3月7日)

【参照ページ】サステナビリティへの取組強化について
【参照ページ】「自然資本経営推進分析融資」の取扱開始について
【参照ページ】伊勢原市日向地区の森林取得とその活用について

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 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は3月29日、サステナビリティの取組強化として、気候変動観点でのセクターポリシーの改訂等を発表した。

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 まず、運輸・自動車セクターと鉄鋼セクター向けの温室効果ガス排出削減(ファイナンスド・エミッション)での中間目標を設定。運輸・自動車セクターでは、燃費基準として、2030年までに2℃シナリオ水準の1km当たり161g-CO2eを達成し、さらに1.5℃水準の120g-CO2eを目指すべき。但し「エネルギー資源を始めとした地域特性を踏まえた取組が必要」と注釈を入れた。

 鉄鋼セクターでは、1t生産当たりの排出基準として、2030年までに1.8t-CO2を達成し、さらに1.5℃水準の1.2t-CO2を目指すべきとした。ゆとりを設けた基準を設定した背景については「アジアは脱炭素化に時間を要する高炉が多く、地域特性を踏まえた目標設定が必要」と付言した。

 また、セクターポリシーでは、期限が2040年を超える石炭火力発電所向けのファイナンスを禁止した。但し、「脱炭素社会への移行と実現に資するお客さまの取組みは除きます」との留保は入ったままとなっている。また、期限が経済協力開発機構(OECD)諸国では2030年度、非OECD諸国では2040年度を超える一般炭採掘事業者に対するファイナンスも禁止した。こちらでも「化石燃料事業からの転換に資するお客さまの取組みは除きます」との留保が入っている。

 バイオマス発電では、木質バイオマス発電事業の新設及び拡張案件に関し、未利用材・製材残渣含め原生林由来ではなく、地域住民等の人権侵害も行っていないと確認できる燃焼材のが使用されることを確認できない場合はファイナンスを禁止する。

 さらにセクター横断ポリシーとして、児童労働、強制労働、人身取引を引き起こしている事業に対するファイナンスも禁止した。

 さらに傘下の三井住友銀行については、2024年度から、グローバル統一で「環境社会審査」を導入し、気候変動、生物多様性、人権、地域社会等の観点でデュデリジェンスを行っていくことを発表。同社は2月にプロジェクトファイナンスでの環境・社会原則「エクエーター原則(赤道原則)」から脱退している模様だが、それについては説明せず、独自の手法でデューデリジェンスを行っていくと思われる。

 また同じく三井住友銀行は3月29日、「自然資本経営推進分析融資」の取扱も開始している。同融資は、三井住友銀行と日本総合研究所が作成した独自基準に基づき、融資先の自然資本に経営に関する状況を診断し、助言も同時に受けられるというもの。さらに同社は4月1日、神奈川県伊勢原市日向地区の森林約220ha を「SMBCの森」として取得することも発表している。森林由来のJ-クレジットを創出しつつ、木材や間伐材を、自社の建築物材料や、自社で使う家具、紙製品、バイオエネルギー等に幅広く活用していく考え。

【参考】【日本】三井住友銀行、エクエーター原則から脱退。NGOは再加盟を要求(2024年3月7日)

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