Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【日本】G7広島サミット、首脳コミュニケ発表、閣僚会合の内容をとりまとめ

 G7首脳は5月20日も、広島市でサミットを開催。終了後に「G7広島首脳コミュニケ」を発表した。G7の各閣僚会合声明に盛り込まれた内容がダイジェストでまとめられた。

 気候変動に関しては、「ロシアによるウクライナに対する侵略戦争が世界のエネルギー市場とサプライチェーンに影響を与えているが、遅くとも2050年までに温室効果ガス(GHG)排出ネット・ゼロを達成するという我々の目標は揺るがない」と表現。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(AR6)の最新の見解を踏まえ、世界の二酸化炭素排出量を2019年比で2030年までに約43%減、2035年までに約60%削減することの緊急性が高まっていることを強調した。環境・エネルギー相会合の中で表現された文章を首脳コミュニケの中にも盛り込んだ。

 さらに、G7諸国全てがすでに二酸化炭素排出量をピークアウトしたことを確認するとともに、2025年までに全ての主要経済国がピークアウトさせるべきと言及した。この観点で、2030年の国別削減目標(NDC)又は長期低GHG排出発展戦略(LTS)が1.5℃パスウェイ及び2050年までのカーボンニュートラル目標に整合していない全ての締約国、特に主要経済国に対し、可及的速やかに、かつ国連気候変動枠組条約第28回アブダビ締約国会議(COP28)より十分に先立って、NDCを再検討し、LTSを再提出することを求めた。

 新興国や発展途上国に関しても、気候レジリエントで、サーキュラーエコノミー型でネイチャーポジティブな経済への転換を加速させるためにG7諸国が関与することで一致。「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想」「脱石炭同盟(PPCA)」「2050パスウェイ・プラットフォーム、ネット・ゼロ・ワールド(NZW)」「グローバル・カーボンプライシング・チャレンジ」等のイニシアチブを通じたアクションを進めていくとした。実効性の高いカーボンプライシングの役割も強調した。

 また、環境・エネルギー相会合と同様に、削減対策が講じられていない(Unabated)石炭火力発電については、新規の建設の終了、既存の発電所の段階的廃止の加速を謳った。化石燃料全般では、期限を特定しないながらも段階的廃止の加速を盛り込み、加えてロシア依存の段階的廃止を加速させるとした。足元のガス投資については、「現下の危機及びこの危機により引き起こされ得る将来的なガス市場の不足に対応するために、適切であり得ることを認識する」とした。

 洋上風力発電は2030年までに設備容量を各国の既存目標に基づき合計で150GW増加させ、太陽光発電の容量を、各国の既存目標や政策措置の手段を通じて、国際エネルギー機関(IEA)や国際再生可能エネルギー機関(IRENA)で推計された2030年までに合計で1TW以上に増加させることも確認した。

 原子力発電については、「現在のエネルギー危機に対処するため、安全な長期運転を推進することを含め、既存の原子炉の安全、確実、かつ効率的な最大限の活用にコミットする。これらの諸国はまた、国内及びパートナー国において、高度な安全システムを有する小型モジュール炉及びその他の革新炉などの原子炉の開発及び建設の支援、核燃料を含む強固で強靭な原子力サプライチェーンの構築並びに原子力技術及び人材の維持・強化にコミットする」とした。

 モビリティでも同様に、陸上交通でのカーボンニュートラルを2050年までに達成し、2035年までに乗用車の新車販売を100%電動車にすることと、2035年までにG7の保有車両からの二酸化炭素排出量を2000年比で50%以上削減することを盛り込んだ。海運でも2050年までにライフサイクル全体での排出量をゼロにすることにもあらためてコミットした。そのため、国際海事機関(IMO)が、2030年と2040年の中間目標を導入することを支持した。航空では、国際民間航空機関(ICAO)が進める2050年カーボンニュートラル目標と、国際航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(CORSIA)を支持した。

【参考】【国際】G7環境・エネルギー相会合、天然ガス促進盛り込まれず。化石燃料段階的廃止も時期示せず(2023年4月17日)

 エネルギー関連では、別途「G7クリーン・エネルギー経済行動計画」を採択。カーボンニュートラル化を促進する通商政策を追求し、不当に競争優位を得るために環境基準を引き下げるべきではないことを確認した。サプライチェーンを通じた生産時の排出量に関する情報流通等を強化する。さらに、地域及び世界のエネルギー移行のため、安全で、強靱で、廉価で、かつ、持続可能なクリーン・エネルギー・サプライチェーンを構築する上で重要な役割を果たす低・中所得国との新しいパートナーシップを確立することにコミットし、恩恵が低・中所得国に及ぶようにすることでも合意した。サプライチェーンでは人権尊重遵守することでも一致した。重要鉱物市場に関する技術的な国際標準の開発では、国際標準化機構(ISO)を中心に進めることも確認した。

 生態系に関しても、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の市場枠組みの発表を期待し、その開発を支援するよう市場参加者、政府及び当局に強く求める」と表現。2021年のG7グラスゴー・サミットからの表現を踏襲し、あらためてTNFDへの支持を盛り込んだ。特に、関連商品の生産に関する森林減少や森林及び土地の劣化のリスクを低減し、この問題に対する様々なステークホルダーとの協力を強化する取組を継続することにコミットした。

 サーキュラーエコノミーへの転換では、2022年のG7エルマウ・サミットで「循環経済・資源効率性原則(CEREP)」を策定することを確認したことを踏まえ、4月の環境・エネルギー相会合でCEREPを発表。首脳コミュニケでも支持した。CEREPでは、サーキュラーエコノミー政策を、カーボンニュートラル及びネイチャーポジティブの政策と統合させることや、企業に対し、バリューチェーン全体での、政策・法的影響、技術、競争力、付加価値、企業評価等、循環・資源効率ビジネスへの移行に関するリスクと機会を特定させ、価値創造、ビジネスモデル、リスクと機会、効果、戦略、指標と目標、ガバナンス等の分野において、サステナビリティレポート等の全社的な情報開示に組み込むこと等を謳っている。

 食料安全保障では、発展途上国への緊急食糧援助や、国連及びトルコが仲介している黒海穀物イニシアティブ(BSGI)の継続かつ拡充した実施を確認。食料・農業市場の開放を維持するために、ルールに基づく、開かれた、公正で、透明性のある、予測可能で無差別な貿易を確保し、不当な貿易制限的措置を回避する重要性を改めて表明し、G20諸国にも同様のコミットを求めた。

 将来の食料安全保障に向けては、農業市場情報システム(AMIS)を、対象を肥料や植物油に拡大するとともに、G20を通じ、在庫に関する情報を含むデータ提供を改善することを確認。国際穀物理事会(IGC)を含む国際機関によるデータ収集・分析、国連食糧農業機関(FAO)の早期警告モデルの開発を支援し、深刻な食料不安のモニタリングと分析のための世界標準として総合的食料安全保障レベル分類(IPC)を確立していくこと等で合意した。「肥料の効率性と土壌の健全性の向上に関する取組に注力する」とも特記した。栄養に関しては、「農業、保健、社会保護、水と衛生、教育などの関連政策に栄養目標を組み入れることを支持する」とした。

 加えて、「責任ある投資を促進しつつ、食料システム(製造並びに加工、流通、消費、コールドチェーン、持続可能な食料環境及び消費者行動等を含む食料サプライチェーンなど)への投資を増やす」「農業関連のインフラ整備例.特に後発開発途上国のための、また輸出競争に関するナイロビ閣僚決定に対するWTOのコミットメントに沿った貯蔵、灌漑、輸送、コネクティビティ等の農村インフラを含む農業関連インフラの開発」「農業のための水の入手可能性と安全への対処」「適切な場合には、有機農業、気候スマートな、アグロエコロジカルな、自然に基づく解決策及びエコシステムを基盤とするアプローチ並びにその他の革新的アプローチの推進」「大規模農産物市場と結び付けるための、女性及び若者を含む小規模農家や零細農家への支援の強化を含む中長期的な活動を支持する」の5つの産業対策も盛り込んだ。ワンヘルス・アプローチの採用や、生物多様性の保全を支援できるような環境中への栄養損失を低減するための効率的な肥料の使用及びアグロフォレストリー並びにその他の革新的なアプローチを促進することも謳った。

 雇用面では、デジタル・トランスフォーメーション及びグリーン・トランスフォーメーション並びに出生率の低下などに起因し高齢化が進む社会を含む人口動態の変化などの構造変化に対応しつつ、公正な移行(ジャスト・トランジション)を確保するための人への投資の重要性を強調した。グローバル・バリューチェーンにおける国際労働基準及び人権、特に国際労働機関(ILO)によって採択された基本条約の尊重を確保するとともに、4月の労働雇用相会合で策定された「労働者のキャリア形成と構造変化に対応するレジリエンスを促進する行動計画」を支持した。

 ジェンダーについては、「ジェンダー平等及びあらゆる女性及び女児のエンパワーメントの実現は、強靭で公正かつ豊かな社会のための基本」「あらゆる多様性をもつ女性及び女児、そしてLGBTQIA+の人々の政治、経済、教育及びその他社会のあらゆる分野への完全かつ平等で意義ある参加を確保し、全ての政策分野に一貫してジェンダー平等を主流化させるため、社会のあらゆる層と共に協働していくことに努める」とした。安全で合法な中絶と中絶後のケアへのアクセスへの対応によるものを含む、全ての人の包括的な性と生殖に関する健康と権利(SRHR)を達成することへの完全なコミットメントも再確認した。女子の科学、技術、工学及び数学(STEM)教育の促進も盛り込んだ。さらに、ジェンダーに基づく偏見とステレオタイプを撲滅し、ジェンダー平等を妨げる根本的な原因を除去するために、教育が社会規範や構造的障壁に取り組むための重要な手段であることでも一致した。

 対外関係では、対中国に多くの文言を割き、東シナ海及び南シナ海における状況への深刻な懸念を示すとともに、力又は威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対すると明記。チベットや新疆ウイグルにおける人権侵害への懸念もあらためて表明した。パリ協定及び昆明・モントリオール生物多様性枠組に沿った気候及び生物多様性の危機への対処並びに天然資源の保全、脆弱な国々の債務持続可能性と資金需要への対処、国際保健並びにマクロ経済の安定等でのG7諸国との関与や、労働者及び企業のための公平な競争条件も求めた。中台問題の平和的解決も求めた。コミュニティの安全と安心、民主的制度の健全性及び経済的繁栄を損なうことを目的とした、干渉行為を中国が実施しないことも求めた。

【参照ページ】G7広島サミット
【参照ページ】循環経済及び資源効率性原則(CEREP)
【画像】首相官邸

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 G7首脳は5月20日も、広島市でサミットを開催。終了後に「G7広島首脳コミュニケ」を発表した。G7の各閣僚会合声明に盛り込まれた内容がダイジェストでまとめられた。

 気候変動に関しては、

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 G7首脳は5月20日も、広島市でサミットを開催。終了後に「G7広島首脳コミュニケ」を発表した。G7の各閣僚会合声明に盛り込まれた内容がダイジェストでまとめられた。

 気候変動に関しては、

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 G7首脳は5月20日も、広島市でサミットを開催。終了後に「G7広島首脳コミュニケ」を発表した。G7の各閣僚会合声明に盛り込まれた内容がダイジェストでまとめられた。

 気候変動に関しては、「ロシアによるウクライナに対する侵略戦争が世界のエネルギー市場とサプライチェーンに影響を与えているが、遅くとも2050年までに温室効果ガス(GHG)排出ネット・ゼロを達成するという我々の目標は揺るがない」と表現。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(AR6)の最新の見解を踏まえ、世界の二酸化炭素排出量を2019年比で2030年までに約43%減、2035年までに約60%削減することの緊急性が高まっていることを強調した。環境・エネルギー相会合の中で表現された文章を首脳コミュニケの中にも盛り込んだ。

 さらに、G7諸国全てがすでに二酸化炭素排出量をピークアウトしたことを確認するとともに、2025年までに全ての主要経済国がピークアウトさせるべきと言及した。この観点で、2030年の国別削減目標(NDC)又は長期低GHG排出発展戦略(LTS)が1.5℃パスウェイ及び2050年までのカーボンニュートラル目標に整合していない全ての締約国、特に主要経済国に対し、可及的速やかに、かつ国連気候変動枠組条約第28回アブダビ締約国会議(COP28)より十分に先立って、NDCを再検討し、LTSを再提出することを求めた。

 新興国や発展途上国に関しても、気候レジリエントで、サーキュラーエコノミー型でネイチャーポジティブな経済への転換を加速させるためにG7諸国が関与することで一致。「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想」「脱石炭同盟(PPCA)」「2050パスウェイ・プラットフォーム、ネット・ゼロ・ワールド(NZW)」「グローバル・カーボンプライシング・チャレンジ」等のイニシアチブを通じたアクションを進めていくとした。実効性の高いカーボンプライシングの役割も強調した。

 また、環境・エネルギー相会合と同様に、削減対策が講じられていない(Unabated)石炭火力発電については、新規の建設の終了、既存の発電所の段階的廃止の加速を謳った。化石燃料全般では、期限を特定しないながらも段階的廃止の加速を盛り込み、加えてロシア依存の段階的廃止を加速させるとした。足元のガス投資については、「現下の危機及びこの危機により引き起こされ得る将来的なガス市場の不足に対応するために、適切であり得ることを認識する」とした。

 洋上風力発電は2030年までに設備容量を各国の既存目標に基づき合計で150GW増加させ、太陽光発電の容量を、各国の既存目標や政策措置の手段を通じて、国際エネルギー機関(IEA)や国際再生可能エネルギー機関(IRENA)で推計された2030年までに合計で1TW以上に増加させることも確認した。

 原子力発電については、「現在のエネルギー危機に対処するため、安全な長期運転を推進することを含め、既存の原子炉の安全、確実、かつ効率的な最大限の活用にコミットする。これらの諸国はまた、国内及びパートナー国において、高度な安全システムを有する小型モジュール炉及びその他の革新炉などの原子炉の開発及び建設の支援、核燃料を含む強固で強靭な原子力サプライチェーンの構築並びに原子力技術及び人材の維持・強化にコミットする」とした。

 モビリティでも同様に、陸上交通でのカーボンニュートラルを2050年までに達成し、2035年までに乗用車の新車販売を100%電動車にすることと、2035年までにG7の保有車両からの二酸化炭素排出量を2000年比で50%以上削減することを盛り込んだ。海運でも2050年までにライフサイクル全体での排出量をゼロにすることにもあらためてコミットした。そのため、国際海事機関(IMO)が、2030年と2040年の中間目標を導入することを支持した。航空では、国際民間航空機関(ICAO)が進める2050年カーボンニュートラル目標と、国際航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(CORSIA)を支持した。

【参考】【国際】G7環境・エネルギー相会合、天然ガス促進盛り込まれず。化石燃料段階的廃止も時期示せず(2023年4月17日)

 エネルギー関連では、別途「G7クリーン・エネルギー経済行動計画」を採択。カーボンニュートラル化を促進する通商政策を追求し、不当に競争優位を得るために環境基準を引き下げるべきではないことを確認した。サプライチェーンを通じた生産時の排出量に関する情報流通等を強化する。さらに、地域及び世界のエネルギー移行のため、安全で、強靱で、廉価で、かつ、持続可能なクリーン・エネルギー・サプライチェーンを構築する上で重要な役割を果たす低・中所得国との新しいパートナーシップを確立することにコミットし、恩恵が低・中所得国に及ぶようにすることでも合意した。サプライチェーンでは人権尊重遵守することでも一致した。重要鉱物市場に関する技術的な国際標準の開発では、国際標準化機構(ISO)を中心に進めることも確認した。

 生態系に関しても、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の市場枠組みの発表を期待し、その開発を支援するよう市場参加者、政府及び当局に強く求める」と表現。2021年のG7グラスゴー・サミットからの表現を踏襲し、あらためてTNFDへの支持を盛り込んだ。特に、関連商品の生産に関する森林減少や森林及び土地の劣化のリスクを低減し、この問題に対する様々なステークホルダーとの協力を強化する取組を継続することにコミットした。

 サーキュラーエコノミーへの転換では、2022年のG7エルマウ・サミットで「循環経済・資源効率性原則(CEREP)」を策定することを確認したことを踏まえ、4月の環境・エネルギー相会合でCEREPを発表。首脳コミュニケでも支持した。CEREPでは、サーキュラーエコノミー政策を、カーボンニュートラル及びネイチャーポジティブの政策と統合させることや、企業に対し、バリューチェーン全体での、政策・法的影響、技術、競争力、付加価値、企業評価等、循環・資源効率ビジネスへの移行に関するリスクと機会を特定させ、価値創造、ビジネスモデル、リスクと機会、効果、戦略、指標と目標、ガバナンス等の分野において、サステナビリティレポート等の全社的な情報開示に組み込むこと等を謳っている。

 食料安全保障では、発展途上国への緊急食糧援助や、国連及びトルコが仲介している黒海穀物イニシアティブ(BSGI)の継続かつ拡充した実施を確認。食料・農業市場の開放を維持するために、ルールに基づく、開かれた、公正で、透明性のある、予測可能で無差別な貿易を確保し、不当な貿易制限的措置を回避する重要性を改めて表明し、G20諸国にも同様のコミットを求めた。

 将来の食料安全保障に向けては、農業市場情報システム(AMIS)を、対象を肥料や植物油に拡大するとともに、G20を通じ、在庫に関する情報を含むデータ提供を改善することを確認。国際穀物理事会(IGC)を含む国際機関によるデータ収集・分析、国連食糧農業機関(FAO)の早期警告モデルの開発を支援し、深刻な食料不安のモニタリングと分析のための世界標準として総合的食料安全保障レベル分類(IPC)を確立していくこと等で合意した。「肥料の効率性と土壌の健全性の向上に関する取組に注力する」とも特記した。栄養に関しては、「農業、保健、社会保護、水と衛生、教育などの関連政策に栄養目標を組み入れることを支持する」とした。

 加えて、「責任ある投資を促進しつつ、食料システム(製造並びに加工、流通、消費、コールドチェーン、持続可能な食料環境及び消費者行動等を含む食料サプライチェーンなど)への投資を増やす」「農業関連のインフラ整備例.特に後発開発途上国のための、また輸出競争に関するナイロビ閣僚決定に対するWTOのコミットメントに沿った貯蔵、灌漑、輸送、コネクティビティ等の農村インフラを含む農業関連インフラの開発」「農業のための水の入手可能性と安全への対処」「適切な場合には、有機農業、気候スマートな、アグロエコロジカルな、自然に基づく解決策及びエコシステムを基盤とするアプローチ並びにその他の革新的アプローチの推進」「大規模農産物市場と結び付けるための、女性及び若者を含む小規模農家や零細農家への支援の強化を含む中長期的な活動を支持する」の5つの産業対策も盛り込んだ。ワンヘルス・アプローチの採用や、生物多様性の保全を支援できるような環境中への栄養損失を低減するための効率的な肥料の使用及びアグロフォレストリー並びにその他の革新的なアプローチを促進することも謳った。

 雇用面では、デジタル・トランスフォーメーション及びグリーン・トランスフォーメーション並びに出生率の低下などに起因し高齢化が進む社会を含む人口動態の変化などの構造変化に対応しつつ、公正な移行(ジャスト・トランジション)を確保するための人への投資の重要性を強調した。グローバル・バリューチェーンにおける国際労働基準及び人権、特に国際労働機関(ILO)によって採択された基本条約の尊重を確保するとともに、4月の労働雇用相会合で策定された「労働者のキャリア形成と構造変化に対応するレジリエンスを促進する行動計画」を支持した。

 ジェンダーについては、「ジェンダー平等及びあらゆる女性及び女児のエンパワーメントの実現は、強靭で公正かつ豊かな社会のための基本」「あらゆる多様性をもつ女性及び女児、そしてLGBTQIA+の人々の政治、経済、教育及びその他社会のあらゆる分野への完全かつ平等で意義ある参加を確保し、全ての政策分野に一貫してジェンダー平等を主流化させるため、社会のあらゆる層と共に協働していくことに努める」とした。安全で合法な中絶と中絶後のケアへのアクセスへの対応によるものを含む、全ての人の包括的な性と生殖に関する健康と権利(SRHR)を達成することへの完全なコミットメントも再確認した。女子の科学、技術、工学及び数学(STEM)教育の促進も盛り込んだ。さらに、ジェンダーに基づく偏見とステレオタイプを撲滅し、ジェンダー平等を妨げる根本的な原因を除去するために、教育が社会規範や構造的障壁に取り組むための重要な手段であることでも一致した。

 対外関係では、対中国に多くの文言を割き、東シナ海及び南シナ海における状況への深刻な懸念を示すとともに、力又は威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対すると明記。チベットや新疆ウイグルにおける人権侵害への懸念もあらためて表明した。パリ協定及び昆明・モントリオール生物多様性枠組に沿った気候及び生物多様性の危機への対処並びに天然資源の保全、脆弱な国々の債務持続可能性と資金需要への対処、国際保健並びにマクロ経済の安定等でのG7諸国との関与や、労働者及び企業のための公平な競争条件も求めた。中台問題の平和的解決も求めた。コミュニティの安全と安心、民主的制度の健全性及び経済的繁栄を損なうことを目的とした、干渉行為を中国が実施しないことも求めた。

【参照ページ】G7広島サミット
【参照ページ】循環経済及び資源効率性原則(CEREP)
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