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【国際】テスコ、FLAG含むネットゼロ・スタンダードで世界初SBTi承認。自然資本や栄養も

 英小売大手テスコは8月10日、スコープ3を含むバリューチェーン全体での2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)目標で、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から、FLAG目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での承認を得たと発表した。FLAG(森林・土地・農業)目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での目標承認は世界初。小売企業でのネットゼロ・スタンダード基準承認も世界初。

 SBTiは、5月1日以降にSBTiの1.5℃目標での初承認もしくは修正目標の承認を申請した場合、及びネットゼロ・スタンダード基準を申請した場合、FLAG目標の設定が義務化。一方、4月30日までに承認申請した企業は、一旦はFLAG目標の設定が免除されるが、2025年12月31日までに承認を得ることが求められる。テスコは、自主的にFLAG目標含みのネットゼロ・スタンダード基準目標の承認を最初から取得しにきていた。

【参考】【国際】SBTi、幅広い業種でFLAG目標設定を義務化。既存企業も承認再申請必須。製造業・小売も(2023年7月16日)

 同社は2009年、世界初のカーボンニュートラル目標を設定した小売企業。2017年にはFTSE100の企業で初めて、スコープ3を含む科学的根拠に基づく削減目標を設定していた。

 今回の発表では、スコープ3を含むバリューチェーン全体での2050年カーボンニュートラルの他、中間目標として、2030年までにスコープ1と2の排出量を総量で2015年比85%削減、2032年までにスコープ3のうちエネルギー資源と資材資源由来の排出量を総量で55%削減、FLAG由来の排出量を総量で39%削減する。

 また同社は、二酸化炭素排出量削減のため、「プラネット・アジェンダ」として優先課題を設定。「製品の改善」「輸送のカーボンニュートラル化」「店舗での二酸化炭素排出量削減」「サステナブル消費の支援」「廃棄物削減」「自然の保全」の6分野に注力するとした。

 製品の改善では、2025年までに高リスクの主要コモディティで100%森林破壊ゼロ、同年までに全青果物サプライヤーでの持続可能な農業推進Linking Environment and Farming(LEAF)の環境認証「LEAF Marque」取得、低炭素肥料等、持続可能な農業イノベーションの主要青果物サプライヤーへの展開、2030年までに全天然水産物でのMSC認証の取得、2023年末までにサプライヤーのカーボンニュートラルへのコミットを目指す。

【参考】【イギリス】テスコ、英国青果物全サプライヤーでLEAF Marque認証取得完了。世界全体へ展開(2023年3月2日)

 輸送のカーボンニュートラル化では、2030年までに輸送車両の100%EV転換、大型トラック(HGV)輸送でのEV展開、可能な限り鉄道輸送の活用を挙げた。

 店舗での二酸排出量削減では、英国最大の補助金無しでの再生可能電力購入契約、風力発電所5ヶ所と太陽光発電所4ヶ所への出資を含む、全事業での100%再生可能エネルギーの採用、ヒートポンプを含むイノベーティブな技術の全店舗への展開、エアロフォイル技術、低炭素冷媒への転換等による冷媒由来の排出量の削減を進める。

 サステナブル消費の支援では、2025年までに健康的な食品の売上比率65%の達成、消費者へより良い食品選択を推奨するキャンペーン「Better Baskets」の展開を掲げた他、高脂質・高糖質・高食塩(HFSS)の食品のセット販売を引き続き自主的に禁止する。

【参考】【イギリス】テスコ、HFSS食品の販促自主規制。健康的な食品アクセスにコミット(2022年6月1日)

 廃棄物削減では、2025年までに自社事業でのフードロス50%削減、家庭での食品廃棄の削減に向けた消費者啓蒙「Use-Up Day」の展開、2025年までに100%リサイクル可能にな包装・容器をへの転換、同年までに100%持続可能な紙と板紙への転換を行う。

 自然の保全では、英国ワイ川、アスク川、カム川、イーリー川、ソア川、南アフリカ、ケニア、スペイン南部等の優先地域で、土壌、水、送粉者等の保全を進める。同社はすでに、科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブScience Based Targets Network(SBTN)の試験運用や、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の大豆およびパーム油のテストプロジェクトにも参画済み。今後もサプライチェーンのトレーサビリティ確保の促進、農薬使用量の削減、野草の植栽、土地の再野生化を通じた同社の敷地全体の自然改善等を進める。

【参考】【国際】SBTN、SBTs for Natureのメソドロジー発表。まず17社が実証。2024年から全面展開(2023年5月24日)
【参考】【国際】TNFD、テストプロジェクト開始。大豆をテーマ。マクドナルド、テスコ等が参加(2021年10月24日)

【参照ページ】Tesco’s ambitious net zero targets validated by Science Based Targets Initiative (SBTi)
【画像】Tesco

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 英小売大手テスコは8月10日、スコープ3を含むバリューチェーン全体での2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)目標で、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から、FLAG目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での承認を得たと発表した。FLAG(森林・土地・農業)目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での目標承認は世界初。小売企業でのネットゼロ・スタンダード基準承認も世界初。

 SBTiは、

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 英小売大手テスコは8月10日、スコープ3を含むバリューチェーン全体での2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)目標で、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から、FLAG目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での承認を得たと発表した。FLAG(森林・土地・農業)目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での目標承認は世界初。小売企業でのネットゼロ・スタンダード基準承認も世界初。

 SBTiは、

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 英小売大手テスコは8月10日、スコープ3を含むバリューチェーン全体での2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)目標で、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から、FLAG目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での承認を得たと発表した。FLAG(森林・土地・農業)目標を含むネットゼロ・スタンダード基準での目標承認は世界初。小売企業でのネットゼロ・スタンダード基準承認も世界初。

 SBTiは、5月1日以降にSBTiの1.5℃目標での初承認もしくは修正目標の承認を申請した場合、及びネットゼロ・スタンダード基準を申請した場合、FLAG目標の設定が義務化。一方、4月30日までに承認申請した企業は、一旦はFLAG目標の設定が免除されるが、2025年12月31日までに承認を得ることが求められる。テスコは、自主的にFLAG目標含みのネットゼロ・スタンダード基準目標の承認を最初から取得しにきていた。

【参考】【国際】SBTi、幅広い業種でFLAG目標設定を義務化。既存企業も承認再申請必須。製造業・小売も(2023年7月16日)

 同社は2009年、世界初のカーボンニュートラル目標を設定した小売企業。2017年にはFTSE100の企業で初めて、スコープ3を含む科学的根拠に基づく削減目標を設定していた。

 今回の発表では、スコープ3を含むバリューチェーン全体での2050年カーボンニュートラルの他、中間目標として、2030年までにスコープ1と2の排出量を総量で2015年比85%削減、2032年までにスコープ3のうちエネルギー資源と資材資源由来の排出量を総量で55%削減、FLAG由来の排出量を総量で39%削減する。

 また同社は、二酸化炭素排出量削減のため、「プラネット・アジェンダ」として優先課題を設定。「製品の改善」「輸送のカーボンニュートラル化」「店舗での二酸化炭素排出量削減」「サステナブル消費の支援」「廃棄物削減」「自然の保全」の6分野に注力するとした。

 製品の改善では、2025年までに高リスクの主要コモディティで100%森林破壊ゼロ、同年までに全青果物サプライヤーでの持続可能な農業推進Linking Environment and Farming(LEAF)の環境認証「LEAF Marque」取得、低炭素肥料等、持続可能な農業イノベーションの主要青果物サプライヤーへの展開、2030年までに全天然水産物でのMSC認証の取得、2023年末までにサプライヤーのカーボンニュートラルへのコミットを目指す。

【参考】【イギリス】テスコ、英国青果物全サプライヤーでLEAF Marque認証取得完了。世界全体へ展開(2023年3月2日)

 輸送のカーボンニュートラル化では、2030年までに輸送車両の100%EV転換、大型トラック(HGV)輸送でのEV展開、可能な限り鉄道輸送の活用を挙げた。

 店舗での二酸排出量削減では、英国最大の補助金無しでの再生可能電力購入契約、風力発電所5ヶ所と太陽光発電所4ヶ所への出資を含む、全事業での100%再生可能エネルギーの採用、ヒートポンプを含むイノベーティブな技術の全店舗への展開、エアロフォイル技術、低炭素冷媒への転換等による冷媒由来の排出量の削減を進める。

 サステナブル消費の支援では、2025年までに健康的な食品の売上比率65%の達成、消費者へより良い食品選択を推奨するキャンペーン「Better Baskets」の展開を掲げた他、高脂質・高糖質・高食塩(HFSS)の食品のセット販売を引き続き自主的に禁止する。

【参考】【イギリス】テスコ、HFSS食品の販促自主規制。健康的な食品アクセスにコミット(2022年6月1日)

 廃棄物削減では、2025年までに自社事業でのフードロス50%削減、家庭での食品廃棄の削減に向けた消費者啓蒙「Use-Up Day」の展開、2025年までに100%リサイクル可能にな包装・容器をへの転換、同年までに100%持続可能な紙と板紙への転換を行う。

 自然の保全では、英国ワイ川、アスク川、カム川、イーリー川、ソア川、南アフリカ、ケニア、スペイン南部等の優先地域で、土壌、水、送粉者等の保全を進める。同社はすでに、科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブScience Based Targets Network(SBTN)の試験運用や、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の大豆およびパーム油のテストプロジェクトにも参画済み。今後もサプライチェーンのトレーサビリティ確保の促進、農薬使用量の削減、野草の植栽、土地の再野生化を通じた同社の敷地全体の自然改善等を進める。

【参考】【国際】SBTN、SBTs for Natureのメソドロジー発表。まず17社が実証。2024年から全面展開(2023年5月24日)
【参考】【国際】TNFD、テストプロジェクト開始。大豆をテーマ。マクドナルド、テスコ等が参加(2021年10月24日)

【参照ページ】Tesco’s ambitious net zero targets validated by Science Based Targets Initiative (SBTi)
【画像】Tesco

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